先月28日、米人気ドラマ「Xファイル」で主演を務める俳優デビッド・ドゥカブニーが、セックス依存症のため、米国内の治療施設に入所したと自ら公表した。「セックス依存症」と聞くとただの好色と思われる人も少なくない。しかし問題はそんな単純ではない。精神疾患であるセックス依存症の症例、その恐怖、さらには自らが「セックス依存症」か否か、判定の参考となるチェックリストを紹介したい。

最近元気がなくなってきたというお父さん達からは「そんな病気ならなってみたい」なんて声も聞こえてきそうだ。しかし、事実は決してうらやましい話ではない。セックス依存症はアルコール依存症、薬物依存症などと同じれっきとした病気なのだ。

「あんな真面目そうな人が・・」「教職者にあるまじき・・」一見、「そこ」から縁遠い(もしくはそうあるべき)人々が性犯罪を犯す。そこには常にこのセックス依存症の影が付きまとう。

セックス依存症というと、ともすると「淫乱」「エッチ好き」などと混同されることがまだ日本では多い。先日、巨人の二岡選手と不倫スキャンダルを起こした山本モナのことを、同じ所属事務所のタレント・なべやかんが自身のブログで「モナはセックス依存症にしちゃえば」と発言しているが、ことはそんなに単純ではない。不倫スキャンダルを連発する女性タレントをそれだけでセックス依存症と断ずるのは早計だ。

セックス依存症の闇は深い。
この精神疾患は「性依存症」とも呼ばれ、相手がいる・いないに関わらず、性的な興奮・刺激におぼれ
それが慣習化する。強迫観念にかられた自慰行為や露出症、窃視症(のぞき)、乱交、ペドフィリア(小児性愛)、サドマゾヒズムなども性依存症の一種だ。

セックス依存症の一番恐ろしいところは、これらの欲求を満たすために、心身に危険を及ぼす行為、
反社会的な行動を起こすこともいとわない点だ。
性依存症患者の多くが性交時にコンドームなどの装着をせず、無防備な状態でセックスを行っていると言われている。それにより、望まない妊娠や性病感染などの危険性が高まる。これは先進国で唯一HIV感染率が上昇している日本では無視できない現実だ。他にも合法ではない売買春に足を踏み入れる、不特定多数の人間と性交を持つ。強迫観念にかられて自慰行為がやめられないなど。

最終的には自己で性衝動を抑えることができなくなり、ときには強制わいせつや迷惑防止条例違反などの犯罪にまで発展することがある。

もちろんこれは男性に限った問題ではない。女性にもセックス依存症患者は存在する。1997年に渋谷のラブホテル街で遺体で発見された女性が、昼間は東京電力の幹部社員として働き、夜になると円山町で売春行為をしていたという衝撃的な事件。いわゆる「東電OL殺人事件」はいまだ記憶に新しい。この被害者の女性も、強迫観念にとりつかれ不特定多数の人間と性交渉を行っていたことからセックス依存症であったと言われている。

驚くのは、当時、この事件に共感する同世代の女性が多くいたということだ。事件を克明にレポートした佐野眞一氏のノンフィクション『東電OL殺人事件』によると同著を読んだ女性読者から「東電OLは私自身」といった感想が多く寄せられたという。

【以下、「セックス依存症」セルフチェックリスト】

・セックスを得るためなら、たとえそれが嘘でも平気で「愛している」と言える。
・性欲を感じているわけではないのに、セックスやマスターベーションをせずにはいられなくなる。
・セックスへの衝動が高まると、自分を抑えることができなくなる。
・性犯罪を犯した、もしくはすんでのところで犯しそうになったことがある。
・セックスを終えた瞬間、罪悪感や自己嫌悪感、後悔などいやな感情に襲われることが多い。
・セックスだけが、異性を求める唯一の動機になっている。
・セックスを得るためなら、ありとあらゆる手段を用いるし、どんな努力でもいとわない。(特に男性の場合)初めての相手の女性とのセックスにまで持ちこめた時「勝ち誇った」感じや「自分は大した人物だ」という感じをもつことができる。
・初めて出会ったばかりで、性的関係をもってしまうことが多い。
・不特定多数との性的関係の経験がある。
・セックスしている時だけが 唯一「やすらぎ」を感じられる時である。
・セックスしている時だけが 唯一「生きている」という実感を得られる時である。
・セックスしている時だけが 唯一「愛されている」という実感を得られる時である。
・セックスする前、セックスしている時は相手のことを「愛している」と思えるが、終わった途端にその感情は消え去ってしまう
・「性」に関して「誰も知らない自分だけの秘密」が多い。
・セックスへの衝動に駆られると、リスクやデメリットのことがきれいさっぱり頭から抜け落ちてしまう。
・仕事のことなどでイライラしている時、セックスによってそれを鎮めようとする。
・異性とのコミュニケーションが苦手で、セックスがほとんど唯一のコミュニケーション手段になっている。
・ポルノ商品や風俗などに費やす金額がばく大で、生活を圧迫するほどになっている。
・性的なこと(不倫・複数恋愛・性的趣味など)が原因で、大きなトラブルに巻き込まれたことがある。

(以上「恋愛依存症」 伊藤 明 著より)

もちろん上記にひとつでも当てはまればすぐに「セックス依存症」と診断されるわけではない。ときには「満たされない心を身体の快感で満たそうとする」そんな経験がある人もいるだろう。が、常にそこに依存し続けることは文字通り「依存症」と言わざるを得ないのかもしれない。

いわゆる依存症と診断される人は、自覚していない、問題意識がないケースが多く「否認の病」とも言われる。国内ではまだ「セックス依存症」への認知度が低く、「正常」と「依存症」の境界線もあいまいだ。それだけに非常に難しくかつ繊細な問題でもある。強い強迫観念にかられて、なにかに依存せざるを得ない状況に追い込まれるとしたら、そこにはやはり何かしらの原因があると考えるのが普通である。

近年では日本国内でも欧米にならい、患者同士による自助グループなども発足しており、依存症の専門外来を設ける医療機関も多数ある。
もし上記のチェックリストで「もしかしたら・・」と感じたら、まずは医療機関など専門家に相談されることをお薦めしたい。

-ITからセレブ、オタク、事件・事故まで。スルーできないニュース満載-
TechinsightJapan(テックインサイトジャパン)はコチラから!