“12人目の選手”として一緒に戦っている。日本代表DF長友佑都(FC東京)はオランダ戦でもチュニジア戦でも、ベンチの一番前で、時にはベンチも飛び出してピッチ上の選手たちを鼓舞し続けた。

「ピッチの中は実質、12人で戦っている」。そう冗談めかしながらも、「一緒に戦っているんだ、一人じゃないんだと。孤独感を味わわせない」ための言動であることを強調した。

 前に出すぎるがあまり、チュニジア戦では試合開始早々に主審からも注意されたという。「試合が始まって2分で注意された」。そう苦笑いで明かすと、「主審に目を付けられて、出すぎだって言われたけど、まあまあって主審のことも包み込みました」と報道陣を笑わせたが、それだけ目立つ姿は選手たちにも勇気を与えていたはずだ。

「戦っている選手は孤独に感じることがある。ミスをしたらどうしようという怖さが出る瞬間もたくさんある」。過去4大会、ピッチ上でW杯を戦ってきた長友だからこそ、ピッチ上の気持ちも分かる。実際、オランダ戦後にはDF谷口彰悟から「前半ベンチを見たら強くなれた」と感謝されたという。

オランダ戦のDF長友佑都

チュニジア戦のDF長友佑都

 ベンチで共に戦う39歳のベテランをチームメイトのだれもが頼もしく、心強く思っている。チュニジア戦に向けた選手ミーティングで、長友から自分と同じようにベンチの前で声を張り上げ、チームのために行動する姿勢を称えられたFW後藤啓介は、その言葉に感謝するとともに、「次は(長友)佑都くんと一緒に戦って、佑都くんからのボールで決めたい」と、ピッチ上で共闘できることを願った。

 メンターとしてチームに帯同しているMF南野拓実は長友に言ったという。「(長友)佑都くんが(試合に)出たら、ベンチも含めてエグいくらい応援しますよ」。そうしたメンバー外の選手、ベンチの選手の思いも背負っている。だからこそ、このチームにはまだまだ余力があると長友は信じている。「まだ全然。まだまだいけますよ。僕が出たら一気にボルテージ上がるので。上げさせるので」。自分がピッチに立つことで、チームのギアをさらにもう一段階上げてみせるつもりだ。

(取材・文 西山紘平)