オランダとの激戦で手応えを掴み、日本代表にとって7大会中1勝3敗3分の“鬼門”グループリーグ第2節のチュニジア戦へ。GK鈴木彩艶(パルマ)は「前回の悔しさを繰り返さないというところを話したなかでいい練習ができたと思うので、しっかり戦っていきたい」と力を込めた。

 2試合目に向けて、チームは再び結束を強めている。前回大会も初戦ドイツ戦で勝利した後の2試合目でコスタリカに敗戦。その経験を知る選手を中心に、オフ明けとなったこの日の練習前に今大会2度目の選手ミーティングを実施したという。

「前回大会を経験した選手が強く思っているところが、この2戦目の重要性。そういったところは感じることができた。チームとして同じ絵を持って次に臨める」(鈴木)

 対するチュニジアのことはまだ分析前だというが、鈴木は慢心はせず。「個のレベルは高いのはもちろんそう。引いてくることが予想されるけど、その中でもカウンターの準備や、海外のチームだったら高さはどこも変わりない」。初戦でスウェーデンに1-5と大敗を喫したものの、過小評価はしていない。

 その冷静さはW杯デビュー戦となったオランダ戦でも発揮された。後半アディショナルタイム3分過ぎ、サイドからのボールを胸で抱えて前のめりに倒れた鈴木は、起き上がってリスタートへ。前方を見ると、すかさずサイドラインを割るように大きく蹴り出した。本来はGKによるボール保持時の時間稼ぎを防止するための8秒カウントだが、ゴールキック時の新ルールと混同した主審が5秒からカウントを始めていたという。

 鈴木は急いで味方の立ち位置を確認し、「本来であればもう少し余裕があるが、いきなりカウントされたので。味方のポジションも取り切れていなかった」と判断。自陣から遠く離れたラインにボールを出す選択を取った。「審判が間違えて5秒いきなりカウントしてきた。焦ったけど、そういった部分でも切るプレーを選択した。切るところは切るという判断はできたので継続したい」。2-2で迎えた最終盤でも、あわてることはなかった。

 試合後には、レフェリー目線で撮影された「レフェリービュー」が公開されている。整列時、主審から「急がせて本当にすまない」と謝罪。鈴木は「気にしないで」と答えていた。

 2失点こそ喫したが、W杯デビュー戦でオランダの猛攻を阻んだことはひとつの自信になった。「前回(オランダ戦)も最初の立ち上がりでしっかりとセーブできた。そういったプレーで相手に勢いを与えさせないことでチームに勢いを持たせられる。そこは引き続き継続して、チームにいい影響を与えられるような準備をしたい」。冷静な23歳の守護神は、チュニジア戦での躍動も誓った。

(取材・文 石川祐介)