[6.14 W杯F組第1節 日本 2-2 オランダ ダラス]

 世界最高峰の舞台のデビュー戦で、強豪のオランダを相手に90分間戦い抜いた。日本代表MF佐野海舟(マインツ)に派手なプレーや決定的な見せ場こそなかったが、日本の勝ち点1発進に確かな足跡を残した。 

 試合は日本が2度リードを許しながらも、そのたびに追いつく粘り強さを発揮。「失点したあとも崩れることなく、チーム全員で同じ方向を向いて最後までやれた。(勝ち点)0と1では違うと思うので、次につながる結果だと思う」と振り返る表情には力強さがあった。

 オランダに主導権を握られる時間が長くなることは想定内だった。「ボールを持たれる展開になるというのは理解していた。持たれていたけど、持たせている感覚もあったし、やられる気はチームとしてなかった。その中で距離感よく守備から入って、カウンターにつなげようというチームの狙いがあった」。

 試合前には先制した場合、失点した場合、相手が戦い方を変えてきた場合など、あらゆる状況を想定したミーティングを重ね、即座に全員が意思統一できるための準備をしてきた。

「本当にいろんなパターンを想定して積み重ねてきたものがある。チーム全員で同じ方向を向いてやれるのは自分たちの良さだと思う」。これこそ世界に誇る日本の強み。綿密な準備が、劣勢の時間帯でも慌てない戦いにつながった。

 大会直前にはチームとして大きな試練にも直面した。第2次森保ジャパンのキャプテンを務め、長らくボランチの主軸だったMF遠藤航がオランダ戦3日前に負傷の影響でチームを離脱。「チームとして動揺していたというのは確かにあると思う」。決して小さくない衝撃を佐野も感じていた。だが、それでも立ち止まるわけにはいかなかった。

「(遠藤)航くんの思いは到底自分には計り知れないところもあるし、自分が何か言える立場でもない。そこは本当にプレーで示すしかないと思うし、こうやって乗り越えて、チーム全員でやっていくしかない」。苦しい状況を全員で乗り越え、価値ある勝ち点1を手にした日本代表。その一員として戦った充実感を力に変え、次のチュニジア戦に向かう。

(取材・文 矢内由美子)