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 声優アイドル「ピュアリーモンスター」西門志織が2年ぶりの最新シングル「しゅがぴゅあ」のリリースを記念して、スポニチ東京本社でソロインタビューを受けた。かつて独りで物語を紡いでいた少女が、声優、そしてアイドルという光の世界へ飛び込み、幾度もの挫折を血肉に変えながら「表現者」として覚醒していく精神の軌跡に迫った。(「推し面」取材班)

 窓を打ちつける大粒の雨。外の荒天を気にも留めず、西門はかつて自身が過ごした静かな光景を脳内でたどった。

 ​すべての始まりは、華やかなステージではなく、真っ白なノートに向き合う孤独な作業の中にあった。

​ 「元々作家になりたくて、脚本を書きたかったんです」

​ 激しい雨音とは対照的に、静かに声を発する。小中学生の頃、自身の内側からあふれ出る物語を白紙に書き殴っていた。だが、文字で書かれた登場人物たちに、命を吹き込む役者がどこにもいなかったのだ。

 ​「どうしてもその頃って、演じる人がいないじゃないですか。自分の作ったものを形にしたいと思った時に、自分が入った方が早い。5人必要だったら、自分が入ることによってあと4人そろえるだけで良くなる、っていうところからスタートしてて(笑)」

 ​物語を形にするためなら、自らが身代わりになって舞台へ上がることも辞さない。表現の扉をこじ開けた瞬間だった。

 やがてアニメ「絶対可憐チルドレン」に出演した人気声優・平野綾の芝居に衝撃を受け、「この人の隣に立ってお芝居をしてみたい」という確固たる北極星を見出した。

​ 「女優になるには爆発的なビジュアルが必要なんじゃないか」という子どもながらの不安から選んだ声優の道。その後、マネージャーからピュアモンのオーディションを薦められた時は、「まさか自分が!」と困惑したという。

 アイドルという未知の領域への恐怖を抱えながらも、「まずはレッスンを受けてみよう」と運命の濁流に身を投じた。

 これまで歩んできた道のりは決して成功譚だけではない。活動の中で悔しかったことについて問いかけた瞬間、部屋の空気が張り詰めた。

​ 「一番大きいのは、アニメーションの仕事をした時にうまくいかなくて、すごく『できてないよ』って言われちゃったことがあるんです……」

 ​急に視線が宙をさまよい、長い指先が膝の上の生地を強くキュッと握りしめた。

 声優としてマイクの前で立ち尽くし、周囲に迷惑をかけてしまったという猛烈な悔しさと無力感が、生々しい記憶となって蘇っていた。

 ​「できてないってこともよくわかってるし、周りに迷惑をかけてしまっているってことも全部がすごく悔しくて。とにかく『二度とあの時みたいな状況にしたくない』っていう気持ちで……」

 ​言葉を絞り出す唇がかすかに震える。だが、逃げ出したくなるような過去の敗北から、目を背けようとはしなかった。

​ 「全く同じ状況って二度と起こらないんですよ。だから、似たような壁にぶつかった時に、成功体験を積んでいくしかないんですよね。だから今、『あの時と似ているな』と思った時は、絶対に目をそらさないようにしています」

​ さまよっていた視線が、真っ直ぐにこちらへと定まった。

 かつての涙を燃料にして、一歩ずつ新しい選択を積み重ねていく。その自己変革こそが、周囲からの「役者然としてきた」「アイドルらしくなった」という賞賛の声へと繋がっている。

 孤独な脚本家だった少女を支え、変えたのは、絶対的な確信だった。

 「緊張している時や不安な時に、メンバーが『大丈夫、みんながいるから』と言ってくれることにすごく救われています。ファンの方も『応援することしかできないけど』と言ってくださいますが、それが一番の支えなんです。皆さんがいてくれるから、私は絶対にひとりじゃない。だからこそ、それ以上の気持ちでお芝居やパフォーマンスで返していきたいんです」

 パープルに染まる客席のペンライトの海は、かつて独りでノートに向き合っていた少女への最大の回答だ。

 そして今、西門の瞳には、次なる明確な「野心」が燃え盛っている。

​「個人としては、女の子である以上、ヒロイン的なポジションにグイグイ食い込んでいけるくらい成長し、ヒロインとしてお芝居ができるようになることが目標です。そしてグループとしては、今の7人だからこそのグループなので、地方出身のメンバーも多いのでそれぞれの凱旋ライブや海外遠征など、もっといろんな場所へ行きたいです」

​ 来年にはグループ結成10周年という巨大な節目を迎える。

 運命の巡り合わせに感謝しながら、「支えてくれるすべての人に恩返しをしたい」と語るその背中は、驚くほど大きく、そして頼もしかった。

 ​かつて独りで物語を紡いでいた少女は今、自分を含めた7人の仲間と、数え切れないほどのファンと共に、光の物語を描いている。

 いつか、誰もが認める「ヒロイン」として世界の中心で微笑むその日まで。客席に灯るパープルのペンライトが、西門の描く未来を照らし続ける。