「モームリ」の運営会社「アルバトロス」元社長の谷本慎二被告 写真/産経新聞社

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退職代行サービス最大手「モームリ」をめぐる弁護士法違反事件で、東京地裁は6月5日、弁護士法人「オーシャン」の代表弁護士に懲役1年6か月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。法人にも求刑通り罰金150万円が科された。
退職代行サービスそのものが違法と判断されたわけではない。しかし、モームリと継続的に提携していた弁護士が有罪となったことで、業界最大手の信用に傷がついたことは避けられない。この判決はどう評価されるべきか。モームリはどうなるのか。そして、利用者は何を気をつければいいのか。アディーレ法律事務所の南澤毅吾弁護士に聞いた。

◆「量刑は妥当」1年6か月という刑期をどう見るか

今回の判決について、南澤弁護士はまず量刑の妥当性を指摘する。

「非弁提携は犯罪ではありますが、弁護士法上の法定刑は『2年以下の懲役(拘禁刑)又は300万円以下の罰金』と定められており、その範囲内では、1年6か月という判決は標準的な刑期といえます」

判決の背景にある事実はこうだ。代表弁護士は2023年から2025年にかけて、モームリの運営会社「アルバトロス」側から退職希望者85人の紹介を受け、虚偽の名目で計約110万円の報酬を支払っていたという。

執行猶予がついた点についても、南澤弁護士は「妥当」とみる。

「近年の弁護士の不祥事では、顧客の金銭を横領するような悪質なケースも見られますが、今回の件は顧客への直接的な損害はありません。逮捕報道によって社会的な制裁も十分に受けていると考えられます」

◆他業界では普通の「紹介料」が、なぜ弁護士だと違法なのか

今回の事件の核心は「非弁提携」と呼ばれる行為だ。モームリ側が退職希望者を提携弁護士に紹介し、弁護士側はその見返りとして金銭を受け取っていた。弁護士を紹介すること自体は違法ではないが、そこに対価が伴うことで弁護士法27条違反となる。南澤弁護士はこの規制の趣旨をこう説明する。

「紹介料を払うこと自体は、他の業界では慣行的に行われていることです。しかし弁護士については、他業種への支払いが特に規制されています。その理由は、弁護士の判断よりも提携先の会社が力を持ってしまうこと、紹介料目当てに不必要な弁護士への誘導が行われることを予防するためです」

つまり、弁護士が金銭的な利害関係によって独立性を損なうことを防ぐための規制である。本来、弁護士は依頼者の利益を最優先に判断しなければならない。しかし紹介元の業者に経済的に依存する構造になれば、その独立性が揺らぐ。それが法律によって特に禁じられている理由だ。

◆提携弁護士の有罪判決が、モームリの信用を直撃する理由

刑事処罰とは別に、弁護士には弁護士会による懲戒制度がある。南澤弁護士はその行方についても厳しい見通しを示す。

「弁護士会内での処分には、軽いものは戒告という注意のみで済む反面、業務停止や退会処分など、弁護士の活動を中止しなければならない処分もあります。このような会内の規律によって、不祥事を起こした弁護士や悪質な弁護士は排除される仕組みとなっています」

今回の件については、刑事上有罪となった点が重大な要因であると、南澤弁護士は言う。

「軽微な不祥事であれば、一定期間の業務停止処分で済み、活動を再開できることはあります。しかし、今回のモームリの件では、執行猶予が付くとはいっても、実刑判決が下されています。このことにより、弁護士法上の欠格事由に該当するため、会内の処分を経ることなく、当然に弁護士名簿から登録が取り消されることとなります。もはや弁護士として活動することは困難でしょう」

◆モームリへの打撃はどこまで及ぶか――信頼回復のカギ