相場展望6月4日号 米国株: トランプ氏にイラン攻撃の収拾ができるか?疑問 日本株: 新高値・新安値数は、日経平均の強さに比べて、弱い状況を示す
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)6/1、NYダウ+46ドル高、51,078ドル 2)6/2、NYダウ+228ドル高、51,307ドル 3)6/3、NYダウ▲620ドル安、50,687ドル【前回は】相場展望6月1日号 米国株: 米国・イラン「停戦一時交渉の最終判断」に期待して米国株上昇 日本株: 割安感ある電子部品分野に物色が広がり日経平均を押し上げた
●2.米国株: トランプ氏にイラン攻撃の収拾ができるか? 疑問
1)中東情勢の悪化で、悪いスパイラル ⇒ 原油先物価格の上昇 ⇒ 金利上昇 ⇒ インフレ(物価上昇) ⇒ 株安の流れを危惧する2)イランが米国との対話停止・攻撃の応酬再開 ⇒ 原油相場は急騰・金利上昇 ・イランは和平交渉の前提として、イスラエルによるレバノン攻撃停止を要求。 ・レバノン国営通信は6/1、レバノン南部にイスラエルが空爆を複数実行と報道。 ・トランプ米国大統領はイスラエルのネタニヤフ首相に電話をかけたが交戦は続いた。(ネタニヤフ首相の考えは、米国は利用するもので、米国の指揮下にない) ・イラン国営テレビは6/3、イラン軍がオマーン湾でイラン領海に接近しようとした米国軍艦船を攻撃したと報じた。(共同通信) ↓ ・原油先物価格・金利が上昇 WTI原油先物 10年債金利 6/1 91.32ドル 4.443% 6/2 93.76 4.448 6/3 96.20 4.499 ↓ ・NYダウ6/3下落 6/3 ▲620ドル下落・▲1.20%安
3)トランプ氏にイラン攻撃の収拾ができるか? 疑問 1. 2024年11月、米国大統領選のトランプ発言 (1)1日で戦争(ウクライナ戦争を念頭)を終わらせる ⇒ しかし、戦争5年目に突入。 (2) エネルギー価格・電気料金を半分に引き下げる ⇒ ガソリン価格はほぼ倍増。
2. トランプ氏がかかわった紛争3つあるが、いずれも解決できず放置 (1)ウクライナ戦争: 24時間以内に解決できると広言したが、戦闘継続中。 プーチン氏と終戦に向け会談したが軽くあしらわれた。 (2)ガザ地区の戦闘: 停戦の進展なし。 (3)イラン戦闘 : 空爆でイランを屈服させられると簡単に思ったが、 一時的停戦さえも交渉が難航し、攻撃の応酬が続く。
3. トランプ氏の米国内政策は行き詰まりが多い (1)政府効率化省(DOGE): イーロン・マスク氏が長官だったが途中放棄 ・削減目標1〜2兆ドル⇒0.175兆ドルと実績誇示も「誇張」との見方。 ・人員削減したが支障をきたし、原状回復に0.135兆ドルのコスト増。 ・悪い効果 ・国際的信用の失墜 ・米国の対外影響力の低下 ・結論 : 得るモノより、失ったモノの方がはるかに大きい悪政とみる。
(2)反武器化基金の創設断念 ・「政治的捜査」補償が目的の基金(トランプ支持者の国会議事堂襲撃者の訴追救済含む)で、連邦地裁が基金の設立を一時差し止め命令。 ・基金の規模は18億ドル(約2,870億円)。 ・基金設立に対し、与党・共和党と野党・民主党ともに反発。
(3)関税(相互関税)が最高裁で違法判決。
(4)反移民政策、強制捜査で国民からの反感強い。
(5)ホワイトハウスの宴会場建設に強い執着も、共和党からも「虚栄的な事業」と懸念の声。
(6)建国記念コンサート、出演者が大量辞退し、空中分解。
4. 同盟国からも非難を受ける (1)カナダを、米国の51番目の州にと発言し、カナダと深い溝。米国離れ招く。 (2)ウクライナ領土を、ロシアに分割の和平案示したが、EUから強い反対。 (3)グリーンランド(デンマーク領)を米国領と提案も、EU等から反対。
5. 以上のことから、トランプ氏主導のイラン停戦の道は遠いと判断 (1)トランプ氏は、落としどころを考えないで、突撃一本槍の手法。それも、短期的思考で、熟慮しないタイプ。加えて、自分の力を誇示する形で終結しないと気が済まない。 (2)トランプ氏の性格から、物事の決着は難しい。物事を決着しないで、放置してきている。逃げてきているともいえる。 (3)以上のことから、トランプ氏主導のイラン停戦の道は遠いと判断する。
●3.米国大統領とネタニヤフ氏、あつれき(Yahoo)
●4.米国通商代表部(USTR)は6/2、日本に12.5%の追加関税の方針(共同通信)
1)日本が強制労働で生産された製品の輸入を禁じる措置を取っていないなどとして、通商法301条に基づき12.5%の追加関税を課す方針を明らかにした。●5.米国求人件数、4月は前月から73.1万件増の761.8万件、予想688万件(ロイター)
1)4月は約2年ぶりの高水準で、予想以上に増加した。 2)採用件数は▲41.9万件減の511.6万件。経済の先行き不透明感がなお残るなかで、採用が抑制された可能性を示した。 3)今回の統計は、求人が予想以上に増加し、解雇も減少した一方、採用は減少している。労働需要は底堅いものの、企業が新規採用には慎重な姿勢を維持していることを示唆している。●6.FOMCは近く行動の必要性も、クリーブランド連銀総裁が高インフレを警告(ブルームバーグ)
1)次回FOMC(連邦公開市場委員会)は6/16〜17に開催される。●7.米国人工知能開発会社Anthropic、上場に向けIPO申請、米国AI企業の競争が激化(朝日新聞)
1)アンソロピックは、競合するオープンAIに先んじて株式上場することを目指す。AI投資に膨大な資金が流れている現在を上場の好機とし、先行した方がその資金をひきつけやすくなる可能性があるためだ。スペースXは6月にも上場を予定する。●8.プーチン大統領に異例の進言、戦費維持が困難とロシア財務省・中銀高官(TBS)
1)プーチン大統領は財務省当局者に対し、国防費に手を付ける前に他の分野で歳出を削減するよう求めた。■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)6/1、上海総合▲10安、4,057 2)6/2、上海総合+17高、4,075 3)6/3、上海総合+8高、4,083■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)6/1、日経平均+604円高、66,934円 2)6/2、日経平均▲200円安、66,734円 3)6/3、日経平均+1,667円高、68,402円●2.日本株: 新高値・新安値銘柄数は、日経平均の強さ比べて、弱い状況を示す
1)ソフトバンクG、時価総額48兆円でトヨタを抜き国内首位へ、新しい時代の幕開け2)日経平均寄与上位 (1)6/1、日経平均+604円高、寄与上位5銘柄+1,177円高、占有率1.94倍 ・寄与上位 寄与額 上昇率 株価上昇幅 ソフトバンクG +845円高 +14.02%高 +1,050円高 キオクシア +156 +10.10 +6,650 村田製作所 +70 +8.99 +865 東京エレクトロン +64 +1.22 +640 太陽誘電 +42 +8.40 +1,245 合計 +1,177
・ソフトバンクGの1銘柄の寄与+845円高が無ければ、日経平均はマイナス圏となった。それぐらい、ソフトバンクGの貢献は大きい。ソフトバンクGは時価総額で、トヨタを抜いてトップに躍り出た。
(2)6/2、日経平均▲200円安、寄与上位5銘柄▲375円安、占有率1.87倍 ・寄与上位 寄与額 下落率 株価下落幅 TDK ▲128円安 ▲6.21%安 ▲255円安 ファナック ▲82 ▲6.04 ▲488 ファーストリテイ▲67 ▲1.03 ▲830 信越化学 ▲54 ▲4.11 ▲320 イビデン ▲44 ▲3.03 ▲660 合計 ▲375
・一方、人工知能(AI)・半導体関連株に買いが入り下支えし、下げ渋った。アドバンテスト+156円高、キオクシア+118円高、ソフトバンクG+73円高、東京エレクトロン+65円高
(3)6/3、日経平均+1,667円高、寄与上位5銘柄+1,268円高、占有率76.06% ・寄与上位 寄与額 上昇率 株価上昇幅 東京エレクトロン +723 +13.39 +7,190 アドバンテスト +323 +5.09 +1,340 フジクラ +86 +9.34 +427 京セラ +72 +7.59 +269 ファナック +64 +5.03 +382 合計 +1,268
・下落寄与では、ソフトバンクG(SBG)▲255円安、ファーストリテイ▲101円安が上位2銘柄。
3)海外短期投機筋の暗躍が目立つ相場が継続 ・6/1、海外短期投機筋が大暴れでSBGに買いが入り、日経平均は6万7,000円に初乗せ。 ・6/2、日経平均は前場で一時▲1,383円安、後場に+1,183円高と戻したのは海外短期投機筋の主導によるもの。 ・6/3、日経平均+1,667円高も、海外短期投機筋の活躍によるもの。
4)6/3、日経平均は6万8,402円、6/1からでは株価指数はマイナスもありまちまち ・株価指数の推移 6/1 6/2 6/3 日経平均 +0.91%高 ▲0.30%安 +2.50%高 TOPIX ▲0.42%安 ▲0.42 +1.83 日経400 ▲0.41 ▲0.58 +1.91 グロース250 ▲4.25 ▲1.52 ▲1.00%安 ・日経平均の強さが目立っている。 ・ただ、従前は株価指数が全て強かったことからすると、かつての主力株の勢いは失われつつある。
5)新高値・新安値銘柄数は、日経平均の強さ比べて、弱い状況を示している ・値上がり・値下がり、新高値・新安値銘柄数の推移 値上がり 値下がり 日経平均 新高値 新安値 6/1 425 1,115 +604円高 82 228 6/2 439 1,091 ▲200円安 34 367 6/3 1,018 512 +1,667円高 75 160
・6/1、値下がり銘柄数は1,115と全体の71%を占め、全体的に弱い展開となった。値下がり・新安値銘柄数が多数を占め、全体としては相場は弱い。にもかかわらず、6/3 日経平均がすっ飛んでいる。値がさの人工知能(AI)と半導体関連株のうち一部の銘柄と株価先物が主導している相場である。別の角度で言えば、海外短期投機筋に操られた相場展開ともいえる。
●3.消費減税、税率は1%を軸、来年4月開始で政府調整(毎日新聞)
●4.キッコーマン、9/1から291品目を2〜22%値上げ(TBS)
1)原材料や物流費、包装材料費の上昇などが理由で、家庭用の醤油は2023年4月以来およそ3年半ぶりの値上げ。■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・7011 三菱重工 業績好調 ・8306 三菱UFJ 利上げ効果 ・8308 りそな 利上げ効果執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou
