落語や漫才などが生で楽しめる「寄席」。ほとんどが東京や大阪など大都市圏に集中しています。その中で披露される伝統芸能「紙切り」です。寄席文化を地方や若い世代に伝えたいとたった1人で取り組む鹿児島県内の大学生を取材しました。

ハサミを使い、1枚の紙から様々な絵柄を切り出す「紙切り」。寄席で披露される伝統芸能のひとつです。

鹿児島大学農学部4年・鬼束倫太朗さんです。寄席文化の魅力を発信するため、定期的に、紙切りや落語会を開いています。

芸名は師走亭 弐質(しわすてい・にしち)です。

きっかけは、大学2年生のころ、初めて見た落語の面白さ

きっかけは、大学2年生のころ。初めて見た落語の面白さに惹かれ、自ら落語研究会を立ち上げました。

(鹿児島大学4年 鬼束倫太朗さん(22))「落語は昔のお笑いというイメージだったが、実際に見てみたらそんなことは全然なくて。ギャグも現代的なものも多く、20代や10代の方が聞いても楽しめる」

部員は鬼束さん1人。独学で腕を磨く

鹿児島大学落語研究会の部員は鬼束さん1人。部室もないため活動拠点は自宅です。落語も紙切りも独学で腕を磨いています。

(鬼束倫太朗さん)「頭で描いて切れるだろうと思って切ったものでも思っていたのと違うことはよくある。難しい」

この日も、練習は日付をまたぐ時間まで続きました。

トークイベントに登壇し“寄席の楽しみ方″を発表

鹿児島市で開かれた多彩なジャンルの発信者が集うトークイベント。鬼束さんもその一人として登壇しました。

最初に発表したのは“寄席の楽しみ方″について。

(鬼束さん)「寄席ではどんなことをやっているのかというと、中心は落語、講談、浪曲、紙切りなど。寄席に少しでも興味を持ってもらえたら」

いよいよ練習してきた技を披露

いよいよ練習してきた技を披露します。落語と比べて「紙切り」は子どもでも分かる楽しさと驚きがあります。

(鬼束さん)「(紙切りは)目で見て楽しめるという・・そういう芸でございますので・・」

(司会者)「息が切れていますが。大学は何学部?」

(鬼束さん)「すいませんちょっと・・・口の中がカラカラで」

観客から飲み物が差し入れされ、司会者が鬼束さんの口元に運びます。

(鬼束さん)「生き返った」

一生懸命な姿とユーモア溢れる語り

一生懸命な姿とユーモア溢れる語りに、会場は和やかな雰囲気に包まれます。

(鬼束さん)「出来上がりました。紙切りはお子さんにも楽しんでもらえる芸なので、お子さんに向けて紙切りをしているところ」

「話しながら切れるのが本当にすごい」

作品は会場の中学生にプレゼント。

(中学1年生)「うれしかった。話しながら切れるのが本当にすごい」

(高校3年生)「紙切りも初めて知ったので、あの技術はすごいと思った」

孤軍奮闘。これからも寄席文化を鹿児島で

(鬼束さん)「発表前はすごく緊張したけれど、楽しいイベントだった。1人でやっているので不安なところもあるが、新作落語を作ったり前のめりに挑戦していきたい」

1人だけの落語研究会は、大学4年の鬼束さんが卒業したら後を継ぐ後輩はいません。

孤軍奮闘の鬼束さんですが、これからも寄席文化を鹿児島で伝えていきます。