ママ友から「共働きで年収800万円なら余裕がありそう」と言われました。片働きで「年収800万円」の家庭と比べると、手取りは本当に多いのでしょうか?
共働き世帯の方が手取りが多い可能性がある
夫婦共働きで800万円の年収があるケースと、夫婦の一方だけが働いていて年収800万円のケースでは、共働きの方が手取りが多くなる可能性が高いです。その理由は、共働きの方が多く控除を受けられるためです。具体的にどのような控除の差があるか見ていきましょう。
なお、前提条件として、共働きの世帯も一方だけが働いている世帯(以後「片働き世帯」)も、収入源は給与所得のみとします。
給与所得控除
給与所得控除は、給与収入から一定額を差し引いて、課税所得額を軽減する制度です。控除額は収入額に応じて、表1のように決まります。
表1
出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.1410 給与所得控除」を基に筆者作成
仮に今回のケースで、共働き世帯が夫婦それぞれ400万円ずつ稼いでいるとします。この場合、「収入額×20%+44万円」にあたる「124万円」が控除額です。夫婦それぞれ控除されると、合計248万円も控除されます。
一方、片働き世帯では、「収入額×10%+110万円」にあたる「190万円」が控除額であり、共働き世帯より58万円も少なくなります。
基礎控除
基礎控除は、所得税の計算をする際に、所得金額から一定の額を差し引いて課税対象額を軽減する制度です。
基礎控除の額は、事業所得や給与所得、不動産所得などを合わせた「合計所得金額」に応じて決定されます。収入が給与のみの場合は、給与所得控除を適用した額が合計所得金額です。表2に、合計所得金額に対する基礎控除額の一部をまとめました。
表2
出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問) No.1199 基礎控除」を基に筆者作成
前述の通り、給与所得控除を考慮した合計所得金額は、共働き世帯が夫婦それぞれ276万円です。この合計所得金額に対する令和8年分の基礎控除額は「88万円」です。夫婦それぞれに88万円の基礎控除が適用され、合計だと176万円も控除されます。
一方、片働き世帯では、合計所得金額が610万円であり、令和8年分の基礎控除額を基に計算すると「63万円」しか控除がありません。
所得税の累進税率
税金の控除のほかに、累進税率の影響も考慮する必要があります。この制度では、課税対象の所得金額が高いほど、所得税額が多くなります。表3に、課税対象の所得金額に対する税率および控除額の一部をまとめました。
表3
出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.2260 所得税の税率」を基に筆者作成
給与所得控除と基礎控除を給与収入から引いたものを課税所得金額とした場合、共働き世帯は夫婦それぞれ「188万円」、片働き世帯は「547万円」です。共働き世帯に対する税率は5%ですが、片働き世帯では20%になります。
このように、同じ世帯年収800万円でも、共働き世帯の方が控除額が多くなる分、手取りが多くなる計算です。
ただし片働き世帯では、配偶者(特別)控除が適用される可能性があるほか、社会保険料負担が夫のみですむ可能性もあります。総合的に考える必要があるでしょう。
同じ世帯年収800万円なら共働き世帯の方が手取りが多い傾向にある
世帯年収が同じでも、共働きなのか片働きなのかによって手取りに差が出ます。その理由は控除額の適用が異なる点にあるといえます。
共働きの場合は、給与所得控除や基礎控除が2人分適用されるため、課税対象額が少なくなる傾向があります。また累進課税制度により、課税対象の所得が多いと、所得税額も多くなってしまいます。
ただし、片働き世帯の方が配偶者(特別)控除が適用できる可能性がある点や、社会保険料の支払いにおいて共働き世帯より負担が少ないこともある点に注意が必要です。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.1410 給与所得控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.1199 基礎控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.2260 所得税の税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
