過失運転致死傷の疑いで逮捕された若山哲夫容疑者(左・関係者提供)と磐越道で大破したマイクロバス(右・共同通信)

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 5月6日朝、磐越自動車道の上り線で新潟市の私立北越高校のソフトテニス部の部員が乗ったマイクロバスが絡む事故が発生した。郡山市方面に向かっていたバスは、高速道路上のガードレールに衝突し、後続のワゴン車も追突。事故により部員の稲垣尋斗(ひろと)さん(17)が死亡し、その他の部員など26名も重軽傷を負った。

【写真】「逮捕時とはまったく顔つきが...」陸上部のコーチとして、部員らと写真に写る若山哲夫容疑者ほか

 バスを運転していたのは新潟県胎内市に住む無職・若山哲夫容疑者(68)だった。福島県警は7日、過失運転致死傷の疑いで男を逮捕し、捜査を進めている。

 NEWSポストセブン取材班が現地で話を聞いた地元住民や容疑者の知人は口をそろえてこう話した。

「先生(若山容疑者)はとても車を運転できる様子じゃなかった」

 子どもを巻き込む大事故を起こしてしまった若山容疑者に起きていた"異変"とはなんだったのか──。

若山容疑者はなぜドライバーに?

 北越高校がバスの依頼をした蒲原鉄道(新潟県五泉市)は、高校側から「費用を安くするためレンタカーを使い、ドライバーも紹介してほしい」と依頼を受けたと説明。その後、7日の会見で北越高校が「事実ではない。レンタカーを出してとか、運転手がいないから出してとお願いはしていない」と否定しているが、蒲原鉄道がドライバーを探したことは事実のようだ。同社によって、「営業担当の知人の知人」である若山容疑者が運転手に抜擢されたという。

「若山容疑者は、新潟県の陸上界をけん引し、名を知られる人物でした。自身も大学まで砲丸投げなどで活躍し、2009年ごろまでは東京学館新潟高校の陸上部監督として生徒を指導。その後も県内の開志国際高校や新潟医療福祉大学で陸上コーチを務めるなど、長い間、選手の育成に貢献していた。

 当時も、生徒の引率のためにバスを運転することがあったそうです。そうした経験から、ドライバーとして適任だと判断された可能性もある」(大手紙社会部記者)

 若山容疑者が胎内市近辺で暮らすようになったのは、2014年に開志国際高校が創立されたことがきっかけとみられる。知人の男性が話す。

「開志ができたときに、『コーチとして呼ばれたんだ』と話していました。もともとは学校の寮に住んでいたけど、生徒が増えて退寮することになり、開志の近くへ引っ越した。

 だいぶ前に離婚しちゃったけど、若山さんには離れて暮らすお子さんもいます。7〜8年前からは古い戸建てでひとり暮らしをされている」

 若山容疑者は長い間、陸上の指導者だったことから、現在も地元では「先生」と呼ばれ慕われていたようだ。

「昔の部員なんかは彼を町で見かけると『先生!』と言って必ず挨拶をする。人気者ですよ。先生自身も、子どもが大好きで繋がりを大事にしていた。少し前もかつての教え子の赤ちゃんを抱っこしに、わざわざ新潟市内まで出向いていましたね」(若山容疑者の行きつけの飲食店店主)

 そんな若山容疑者も2022年までに指導者の道から退いている。その後、同年度からは胎内市の非常勤職員として総務課に所属し、マイクロバスの運転を担当するようになった。イベントなどの際に月に4、5回、職員や参加者の送迎を行なっていた。前出の社会部記者によれば、容疑者は「無事故・無違反」で2024年度末まで市の仕事を続けたようだ。

 容疑者が運転するバスに複数回、乗車したという男性が言う。

乗車していた生徒らも「運転が荒かった」

「スキー場の送迎で山の方へ行ったり、毎年夏にやっている高齢者の運動会イベントなどで人を運んだりしていました。当時は、スピードを出しすぎることもなく安心できる運転でしたが……」

 他方、今回の運転は「安全」とは言い難いものだった。

「逮捕前の民放の取材に容疑者は『90〜100キロくらい出していた。スピードの見極めが甘かった』などと話しています。関係者によれば、当時バスに乗っていた生徒が『荒い運転でスピードが出ていた。怖かった』などと警察に証言しており、かなり車を飛ばしていた可能性もある。

 また、現場には目立ったブレーキ痕はありませんでした。亡くなった生徒は衝撃でバスの外に身を放り出されるほどだったことから、県警は男が適切な運転をできる状態だったかも含めて調べている」(前出・社会部記者)

 事件の前日、容疑者を目撃したという男性からも話を聞くことができた。20時ごろ、容疑者が現れたのは馴染みのスナックだった。

「若山さんはすり足というか、半歩ずつしか歩けないようなヨロヨロの状態でお店に入ってきました。ママに聞いたところ若山さんは痛風の発作をやって、最近、薬を飲んでいたようなんです。

 そのときママはお客さんが多かったのと体を心配して、『今はごめん』と入店を断った。あんな足の状態で、椅子から倒れられでもしたら困ると思ったんでしょう。若山さんは『じゃあ一周してくるねー』と言って、そのまま去っていきました。歩くのもままならない状態で、バスの運転をしたとは本当に信じ難いですよ」

 事故の原因解明はまだ始まったばかり。捜査の進展が待たれる。

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