コロナ禍で急増したオンライン会議だが…

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 2020年から2023年頃までのいわゆる“コロナ時代”では、「Zoom」や「teams」などといったアプリを利用したリモート会議が活況を呈した。が、時を経て、現在は対面での会議が復活し、リモート会議は減少傾向に。国の専門家会合など、居住地も勤務先もバラバラの大人数で行う会議や、テレビに出演する忙しい専門家、出張経費を抑えたい本社で支社とのやりとりはともかく、最近では、地方在住者が東京で行われる会議に参加する場合でも、リモート参加ではなく、対面を求められがちだという。私自身、地方在住(佐賀県唐津市)のため、この傾向を実感しているし、全国各地に移住者の知り合いがいるため、彼らからも同様の話を耳にするようになった。【中川淳一郎・ネットニュース編集者】

【写真】今後は減少?パソコン、小型カメラを駆使して…コロナ禍で急速に普及した「オンライン会議」の模様

対面の方がいいアイデアが生まれる

 例えば、とある企業の定例会。5人以上の社員が参加する定例会では、遠方の外注先や支社からの参加者が1人しかいない場合は対面を要求されるそうだ。というのも、「こちらは同じ建物にいるからオンラインにする必要がないし、あなた1人のためにオンライン会議を準備するのは煩わしい」という事情があるらしい。

コロナ禍で急増したオンライン会議だが…

 確かに、1人の参加者のためにネット環境の整った会議室を押さえる必要が生じ、一つの部屋に複数のPCを配備して会議をするとハウリングが生じることもある。それではと一台のPCでやると、スクリーンで画面共有はできるものの、進行役と遠方の参加者だけが画面に映る設定になり、それも煩わしい。一人だけオンライン参加にすることで、思いのほか煩雑な作業が発生する上、会議の質も下がるのだ。

 リモートワークやオンライン会議が普及したことで、会議の数自体が急増したとの指摘もある。合理化、省力化のために導入したシステムによって、無駄な会議が増えたのであれば本末転倒だろう。

 他方、全員が対面参加した方が、会議が活性化し、良いアイデアが生まれやすいということも理由の一つらしい。

 また、業界の重鎮や高名な専門家との会議や打ち合わせ/取材でも、彼らが対面を所望するケースが多く、面会場所がたとえ遠方であっても、スタッフ側が出張をすることとなっているそうだ。

 コメンテーターのテレビへの出演も、2020年はリモート出演をすることが多かった。が、複数の識者が同時に意見を切り出し、「どうぞどうぞ」「いえ、××さんこそどうぞ」と譲り合い、進行が滞ることも少なくなかった。そこで、翌年にはアクリル板を立てた上でスタジオでの生放送・収録と変わっていった。

 そもそも、コロナ禍の最中でも、現場に赴かなければならない職業の人は、一次産業従事者、サービス業従事者、医療従事者など、数多く存在するわけで、事務系のみがオンラインでというのは不自然な話ではあったのだ。現場に出る人からすれば、自分が感染のリスクがある場所に行かされるのに、事務系の人は家で安全に仕事ができるという状態に対して、違和感を覚えていたのではなかろうか。

課金をやめる流れに

 また、事務系の職業であっても、外食産業やメーカーなどでは、本社の従業員が、各店舗や製造工場を直接訪れ、様々なことを確認する必要が生じる。当然ながらオンラインでは対応できないことは多々あり、いつしか「そろそろ対面に戻そう」という流れが加速し、2024年になると冒頭で述べたように対面に戻っていったのだろう。

 そうなると、オンライン会議にかかる課金をやめる流れになっていく。例えばZoomの場合、課金すると40分の制限時間が最大30時間になり、さらに、会議内容をクラウドへ保存できるようにもなる。また、字幕機能の追加や、最大100人の参加も可能に。会議が途中で強制終了されることを回避できるし、ウェビナー(ウェブセミナー)の主催すらできるようになるという仕様だ。

 このような課金のメリットは「人と人の接触を減らす」時代には存分にあったが、2024年以降、対面が増えたことと、オンライン会議を煩わしく感じる人が増えたことからそのメリットが減少。千葉県在住の30代フリーランスの男性編集者は、こう語る。

「こちらから取材のお願いをし、時間を取ってもらっているわけですから、私の方でオンラインでの快適な取材環境を整えるのは当然のことなので、課金していましたよ。しかし、今では対面が増えましたし、そんなにzoomを使わないのに年間約2万6000円も支払うのもきつい。経費申請することもできません。何しろ月に10社の仕事で使ったとした場合、各社に259円請求なんて土台無理な話ですからね。でも、取材先までの交通費でしたら各社に請求可能です。なので解約をしました」

 私自身、フリーランスとして、仕事は対面での会議や飲み会で多数獲得してきただけに、2020年以前の姿に戻り、対面での仕事が増えているのはよく理解できる。2020年は「オンライン飲み会」「オンライン帰省」をする流れがあったが、今やる人は滅多にいないだろう。結局人は対面で会いたいと考えるのである。

 もちろん海外の人とやり取りをする時はオンライン会議システムは便利だが、国内でよっぽどの僻地に住んでいる場合か、立場が上の人以外は対面にせざるを得ない空気になったことを、この2年間ひしひしと感じている。会議の形式に関しては、コロナ前に完全に戻ったということなのかもしれない。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部