中学や高校の歴史系クラブ「想像以上の減少」、45年で7分の1に「郷土研究の担い手がいなくなる」
歴史や文化財について学ぶ中学校や高校の「歴史系クラブ」の減少が著しい。
千葉県教育委員会が昨年行ったアンケートに「(歴史系クラブが)ある」と答えたのは15校で、45年前と比べて7分の1近くに落ち込んだ。関係者は「郷土研究の担い手がいなくなってしまう」と危機感を抱き、中高生が歴史に興味を持つ機会の創出に乗り出している。(河津真行)
歴史に接点を持つ機会少なく
私立成田高校・付属中学校(成田市)の教室で4月17日、歴史系クラブ「社会科研究部」の部員らが輪になって論文を読み込んでいた。テーマは「アフリカ諸国のナショナリズム形成に歴史教育がどう関わっているか」。部員らは顧問の深田富佐夫教諭(55)の解説に熱心に耳を傾け、日本や欧州との違いなどについて議論を重ねた。
同部では郷土史や模擬裁判など社会科に関することを幅広く学んでいる。昨年度には、日中戦争期に書かれ、一部が墨塗りされた旧制成田高等女学校の校友会誌について、いつ頃どうして墨塗りされたのかなどの謎に迫った。成田市文化財保護協会の「文化財パトロール」に参加し、市文化財の見回りにも取り組んだ。今年度は研究対象を世界史にも広げた。
難しそうな活動内容だが、生徒たちの熱意は強い。部長(16)は「学校の授業では習わない、歴史の深い部分まで学べることが楽しい。将来は文学部史学科に進学し、日本中世史の研究に取り組みたい」と話した。
歴史系クラブはかつて多くの学校に存在した。1981年度の「市町村文化財保護行政基本調査」によると、県内の中学・高校に当時97クラブあった。さらに小学校にも50クラブが存在した。
県高校教育研究会歴史部会に所属する深田教諭は「戦前の皇国史観への反省や高度経済成長期で遺産が失われることへの危機感から、80年代頃までは活動が盛んだった」と解説する。
だが、少子化や生徒の興味の多様化によって歴史系クラブは年々減少。県教委が昨年7〜8月、県内の中学と高校など604校を対象に実施したアンケート(約8割の470校が回答)によると、「歴史系クラブがある」と回答した中学・高校は県立で8校、私立は7校の計15校にとどまった。市町村立中学で歴史系クラブがある学校はなかった。
アンケート調査を担当した県教委文化財課の岡山亮子主事(34)は「想像以上の減少だった。歴史に接点を持つ機会が少なくなり、文化財を支える裾野が狭くなる」と危機感を募らせる。年々、自治体の文化財専門職員の確保も難しくなっているという。
歴史好きの熊谷知事「今の時代に合った歴史に触れるやり方を」
このような状況を受け、同課は中高生が歴史に興味を持つ機会を増やそうと、シンポジウムや出前授業の実施を企画している。また、2月に開いた古墳分布の調査報告会では、県内の中学や高校の歴史系クラブ員が参加する試みを初めて行った。同課の大内千年課長(58)は「若い人向けのイベントを今後も開催し、歴史や文化財に関心を持つ人の数を増やしたい」と話す。
大学時代に歴史愛好家が集うホームページを運営するなど歴史好きの熊谷知事は4月9日の定例記者会見で、「今の時代に合った、歴史に触れるやり方を考えなければいけない。中高生を意識した取り組みを増やしていきたい」と話した。
