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住宅ローンをめぐる空気が再び張り詰めている。4月28日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利の誘導目標を0.75%程度に据え置くことを決定した。中東情勢による原油価格の動向や日本経済への影響を見極める姿勢を示し、追加利上げは見送られた形だ。

ただし、今回の会合では3名もの委員が議長案に反対し、政策金利を1%に引き上げる修正案を提示する異例の事態に。日銀内部でも意見が割れたことから、市場では「年内の追加利上げ余地は残されている」との見方も強い。

4月の金利改定を経て、5月以降、借り手の手元には返済予定表の更新通知が届き始める。2024年のマイナス金利解除以来、変動金利は段階的な引き上げが繰り返され、今や上昇トレンドの真っ只中。今回の据え置きでひとまず胸をなでおろす声も聞かれる一方で、「まだ終わっていない」という警戒感も同時に広がっている。

東京都心の新築マンション平均価格は1億円を突破。一般年収の約18倍にも達するという異常な高騰が続くなか、金利上昇に加えて「離婚」や「転職」といった生活環境の激変が重なり、返済計画が根底から崩壊するケースも目立ってきている。

特に深刻なのが、共働きを前提としたペアローンを組んでいた世帯の離婚だ。「離婚したら一人で払える金額ではない」「相手が出て行った後、自分一人の収入では金利負担増に耐えられない」といった悲痛な声がネット上でもあふれている。

また、退職や転職によって収入が不安定化したり、物価高による生活費増が重なったりすることで、かつては「安全圏」と思われていた返済計画が、わずかな金利上昇をきっかけに一気に火を噴くというケースも…。

自宅を売却して賃貸契約を結ぶ「リースバック」

こうした家計の困窮を反映するように、競売市場にも変化の兆しが現れている。

一般社団法人不動産競売流通協会(FKR)が2026年1月に公表したデータによれば、2025年の全国の競売物件数は1万2382件に達し、2年連続で増加。前年の1万1415件からさらに上積みされており、金利上昇や不動産価格の調整を背景に出品数が増加に転じている事実は、ローン破綻がもはや他人事ではないことを物語っているとも言える。

住宅ローンの返済苦に対する当座の回避策が、「リスケジュール(リスケ)」だ。返済期間を延長して月々の負担を減らしたり、一定期間の返済を猶予してもらったりする手続きである。

金融庁の公開資料によると、住宅ローンのリスケ実行確率は97%を超えており、銀行側も相談には応じてくれる可能性が高い。しかし、リスケはあくまで「時間の引き延ばし」であり、根本的な解決になりにくいのが現実だ。

これに対し、より抜本的な解決策として注目を集めているのが「リースバック」。自宅を売却してローンを完済し、売却後は賃貸契約を結ぶことで同じ家に住み続ける仕組みである。

「住環境を変えずに済むため、離婚を近所に知られず、子どもの転校も避けられる」「転職に伴う再出発にあたり、負債をリセットして身軽になれるメリットは計り知れない」といった声に象徴されるように、生活基盤を維持したまま再生を図れるのが最大の強みだ。

もちろん万能ではないが、強制的な手続きによって市場価格の7割程度でたたき売られ、離婚後も元夫婦の間に多額の債務が残る「競売」という最悪のシナリオと比較すれば、極めて現実的かつ有効な再建策となり得る。

最悪の結末を迎える前に、リスケによる延命か、あるいはリースバックによる再出発か。どの段階でどの選択を取るのか。その判断が、これまで以上に重みを増していきそうだ。