W杯までに知っておきたいサッカー用語の第34弾。今回は「再現性」を解説。(C)Getty Images

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 聞いたことはある、何となく意味も分かる。でも、詳しくは知らない。そんなサッカー用語を解説。第34弾は「再現性」だ。

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 プレーや現象が一度きりの偶然ではなく、チームとして意図的に何度も繰り返せる状態にあることを指す。言い換えれば、個々のひらめきや単発の成功に依存するのではなく、戦術・配置・判断基準が整理されており、状況が変わっても同様の成果を導き出せる構造を持っているかどうかの基準の思考だ。

 たとえば、ビルドアップにおいて相手のプレスを外す動きが再現性を持っているチームは、選手が多少変わっても、あるいは相手の守備に応じた調整が必要だとしても、位置的にボールを動かして前進できる。そこには立ち位置の原則やボールの循環ルート、サポートの角度などが共有されており、個人の技術に依存しすぎない仕組みがある。

 一方で、特定の選手の卓越したドリブルやスーパープレーだけで局面を打開している場合、それは効果的であっても再現性が高いとは言い難い。
 
 守備においても同様で、連動したプレッシングやリトリートのタイミング、ライン設定などがチーム全体で統一されている場合、相手や時間帯が変わっても、安定した守備が可能になる。これはトレーニングによる積み重ねやミーティングを通じた共通理解に支えられており、約束事が機能している状態とも言える。

 再現性が高いチームは、長いシーズンやトーナメントにおいて結果が安定しやすい。なぜなら、偶然に左右される要素を減らし、意図的に試合をコントロールできるからだ。

 逆に再現性が低いチームは、好不調の波が大きく、短期的には爆発力を見せても、継続的な成果には繋がりにくい。

 もちろん、不確定要素が当たり前に存在するサッカーの試合において、再現性だけで勝利を確実に手にするのは難しいが、安定して勝利を目ざすためのベースになるのは間違いない。

 現代サッカーにおいては「何ができたか」だけでなく、「それをどれだけ繰り返せるか」が重要視される。チームとしての明確な設計に加えて、実践形式のゲームや公式戦で成功したプレーを分析し、チーム全体で共有可能な形に落とし込み、ブラッシュアップをしていく。その積み重ねこそが、個の力と組織力を結びつけ、勝利の確率を高める鍵となるのだ。

文●河治良幸

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