「老齢年金」は65歳でもらう?それとも…繰上げ受給・繰下げ受給で損をしないための〈正しい申請手順〉【社労士が「繰上げ・繰下げ時の書類の出し方」を解説】
年金を「繰上げ受給」するか「繰下げ受給」するか。多くの方が悩むポイントですが、一度請求してしまうとあとから変更ができなくなるなど、手続きの順番を間違えると取り返しがつかないことになりかねません。また、届いた書類の種類によっても申請方法が異なります。本記事では、小林労務による著書『これ1冊ですっきりわかる! 年金のしくみともらい方 26−27年版』(ナツメ社)より一部を抜粋・再編集して、繰上げ受給・繰下げ受給に必要な手続きについて解説します。
「一生減額」になる決断…繰上げ希望なら繰上げ受給用の請求書を提出
老齢年金の繰上げ受給を希望する場合は、通常の年金請求書とその添付書類といっしょに「繰上げ受給用の請求書」を提出します。
繰上げ受給用の請求書を提出すると、提出した月の翌月から繰り上げた老齢年金を受け取ることができます。
[図表1]「繰上げ受給用の請求書」 出典:『これ1冊ですっきりわかる! 年金のしくみともらい方 26−27年版』(ナツメ社)より
本来65歳から受け取る老齢年金を1か月刻みで早めて受け取ることができますが、一度繰上げ請求をすると、一生減額された年金額を受け取ることになってしまいますから、繰上げ受給については慎重に考えることをおすすめします。
年金事務所で繰り上げる時期と年金額を確認して、よく検討しましょう。
「先に請求すると変更不可」繰下げ希望時の注意点
65歳以降に受け取る老齢年金の繰下げを希望する場合は、年金事務所に申し出るのが原則です。
繰下げの申し出を行うより先に、65歳以降の老齢年金の請求をしてしまうと、繰下げはされずに通常通りの老齢年金の受け取りがはじまってしまいます。この場合、あとから繰下げを申し出ても、変更してもらうことはできません。
繰下げ受給を希望する場合は、かならず老齢年金を請求する前に、繰下げの申し出を行いましょう。
75歳以降は増額ストップ…繰下げ後の年金を請求する時期
繰下げの申し出をしたあとは、66歳から75歳までは好きな時期に繰り下げた老齢年金の受け取りをはじめることができます。受け取りたい時期になったら、繰り下げた年金の請求を年金事務所に行きましょう。
66歳以降に繰り下げた年金額は、受け取りを遅らせた月数によって増額率が定められています。年金事務所で繰り下げる時期と年金額を確認してよく検討しましょう。
繰下げ後は、老齢年金を請求した月の翌月分から増額された年金額が受け取れます。なお、増額率は、75歳以降は固定されます。例えば、78歳で繰下げ請求をした場合でも、75歳と同じ増額率なので、78歳まで待つ理由がありません。75歳の誕生月の月末までに請求を行いましょう。
【ケース別】繰下げ受給の正しい申請方法
65歳の誕生日前には老齢年金の請求に関する次の書類が届きます。それぞれのケースによって繰下げ受給の申請方法が異なるので、注意しましょう。
ケース1:ハガキの年金請求書が届いた人
ハガキの年金請求書が届いた人は繰下げ受給を申請します。
ケース2:書類の年金請求書が届いた人
60歳になる3か月前に、年金請求書ではなく、ハガキの「年金に関するお知らせ」(青色の文字で印刷されたもの)が届いた人には、65歳の誕生月の3か月前に書類の年金請求書と「65歳用の年金請求手続きのご案内」が届きます。この書類の年金請求書が届く人は、65歳ではじめて老齢年金の受給権が発生した人です。
この場合は、「老齢基礎年金・老齢厚生年金支給繰下げ申出書」の提出をすることによって、繰下げの申し出を行います。
ケース3:書類の年金請求書と「未請求用の年金の請求手続きのご案内」が届いた人
65歳前の受給開始年齢のときに年金請求書が届いたにもかかわらず、それを提出しなかった人には、書類の年金請求書と未請求用の「年金の請求手続きのご案内」が届きます。この書類の年金請求書が届く人は、65歳前の受給開始年齢のときに老齢年金の受給権が発生していた人です。もらえる老齢年金があったかもしれないのに、請求していないがために受け取ることができていない可能性があります。
この場合は、年金請求書が届いたら急いで提出しましょう。65歳前の受給開始年齢のときから老齢年金を受け取ることができる権利は、5年を経過すると消えてしまいます。
年金請求書を提出して、まずは65歳前の受給開始年齢からもらえたはずの老齢年金を請求します。そして65歳以降の老齢年金の繰下げを希望する場合は、その際に申し出て、繰下げをする意思を伝えましょう。
「繰下げ請求書」の提出と必要書類
繰下げの申し出をしたあとは、繰下げ後の老齢年金を受け取りたい時期まで待ちます。受け取りたい時期が来たら、「老齢基礎・厚生年金裁定(さいてい)請求書/支給繰下げ請求書」を提出して、繰下げ後の老齢年金を請求します。
繰下げをして老齢年金を受け取るつもりでいたとしても、繰下げ後の老齢年金ではなく、65歳からの通常の老齢年金をさかのぼって受け取りたいと思い直すことがあるかもしれません。そのような場合も、「老齢基礎・厚生年金裁定請求書/支給繰下げ請求書」を提出します。
どちらの場合も本人の戸籍抄本の添付が必要です。加給年金や振替加算(ふりかえかさん)が支給される条件に該当した場合は、世帯全員の住民票や本人と家族の所得を証明する書類なども必要になります。
社会保険労務士法人 小林労務
