「負けないぞって誓った」『国宝』で”俊坊”役の越山敬達独占インタビュー 期待の若手俳優の素顔

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『国宝』は現場で肌で感じることが多すぎて……

「本番を演じている中で吸収できるものがたくさんありました。渡辺謙さんと一緒にお芝居をしていると、その瞬間に初めての感情が生まれるんです。それは考えてわかるものではなくて、一緒に演技をさせていただいたから感じることができたというか……。一番の学びでした」

昨年、日本映画界を席巻した映画『国宝』。その中で、横浜流星(29)演じる歌舞伎俳優・花井半弥(大垣俊介)の少年時代“俊坊”を演じた越山敬達(17)は、撮影当時を振り返り、父親役で歌舞伎俳優・二代目花井半二郎を演じた渡辺謙(66)との思い出を語った。

越山は、現在、高校2年生の17歳。“俊坊”よりも背が高くなり、無邪気さが残っていた顔立ちは、より上品に洗練され、かなりスタイリッシュに磨きがかかった印象だ。「人見知り」というだけあって、インタビュー中は、空中を見つめながら、自身の考えを絞り出すように話す。その表情に“俊坊”のような、あどけなさが残っていた。

「『国宝』の撮影は、今振り返っても、最初から最後まで本当に無我夢中で。もちろん、歌舞伎の所作を事前に勉強して脚本をしっかり読み込んで、自分なりに“俊坊”という人物像をイメージして現場に臨んだんです。でも、現場で、肌で感じることが多すぎて……。李相日監督(52)から度々『いま、どう思って演技した?』って、聞かれるんですけど、芝居以前に感じて考えなきゃいけないことが多すぎて、わからなくなっていました……。

映画ができて、自分の演技をスクリーンを通して観た時は、ちゃんと俊介になっていてびっくりしました。でもそれは、監督や編集がすごいのでそうなっていただけで……。世間の高い評価は嬉しいですけど、どこか喜べないというか……。100%撮影の中でやり切った、生き切ったぞという感覚がなくて。明確な答えは出ていないけど、あ、終わっちゃったみたいな感覚でした」

それでも、冒頭で話したように、渡辺謙や他の俳優と共演する中で、多くのものを吸収し、なんとか、撮影を終えることができたという。

越山は、保育園の年長時に、家族と新宿に来ていた際、「スターダストプロモーション」にスカウトされ、CMでデビュー。多くのドラマ、映画に出演してきた。

そして、映画初主演となった’24年公開の映画『ぼくのお日さま』では、フィギュアスケートのアイスダンスに挑戦する吃音を持つ主人公・タクヤを演じ、国内はもちろんのこと、海外でも高い評価を得た。昨年、放送されたドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(関西テレビ・フジテレビ系)では、生物科学部に所属する生徒で“むし田くん”というあだ名で呼ばれる気の弱い生徒・内田圭人を演じ、これも好評を得ている。

「毎日悔しい思いをしていた」

「『ぼくのお日さま』は、共演の池松壮亮さん(35)や監督、周りの方が作ってくださっている空気にノセるように、僕が感じたままに演技していけばよかった。『僕星』でも、自分をノセることができました。“かわいさ”をイメージして演じたんです、内気な友達を意識して。すごく真面目で一所懸命なんだけど、周りから見ればちょっと変な部分もあるような子になるように、自分なりにキャラ作りをしていった感じです」

自身の演技やキャラ作りを冷静に分析する姿は、とてもじゃないが高校2年生とは思えない。落ち着き払った所作は、貫禄すら漂わせていた。ところが、今年2月にデビューしたボーイズグループ『VOKSY DAYS』の話題になると、そのトーンは一段ギアが上がった。

小学3年生の時に、スターダストプロモーション所属の若手男性俳優・アーティストで構成されたアーティスト・演劇集団『EBiDAN(恵比寿学園男子部)』の育成プロジェクト企画「BATTLE KiDS」に参加。ダンスを始め、アーティストとしてのデビューも目指していた越山。今年2月にデビューしたことについては、

「『EBiDAN』では、毎日悔しい思いをしていたので、本当に嬉しかったです」

その「悔しい思い」も、「自分に対してだった」と振り返る。

「中学2年生くらいの時、周りの子たちより自分が劣っていることに、はっきりと気づいたんです。それまで、何も考えずに環境に甘えていた自分のことが悔しくて悔しくて、毎日、泣いていました。でも、散々泣いた後、もう絶対に甘えない。絶対にのし上がっていくぞ。負けないぞって自分に誓いました」

『VOKSY DAYS』は、平均年齢16歳の8人組ボーイズグループ。歌とダンスで物語を紡いでいく。2月2日に配信リリースされたデビュー曲『Light It Up』では繊細に舞い踊り、ダンスパートでは他メンバーを劇的に操り俳優越山の表現力の幅を感じさせる。

「踊りは得意なんですけど、正直、歌にはあまり自信がありません。でもそこは、歌が得意なメンバーに引き上げてもらっています。その代わり、踊りは僕が引き上げる。そうやってみんなで助け合えば、みんなで上っていける。自分の長所を伸ばし、短所は補ってもらう。僕は、自分でガンガンいくタイプではないので、みんなで一緒にこのグループを大きくしていきたいと思っています」

そして、こんな分析も。

「男性アイドルグループって星の数ほどいるじゃないですか。その中で、どうやって上っていけるのか? もちろん、並大抵の努力では無理だと思う。それでも、死に物狂いで仲間と一緒に上を目指してやることが、僕たちの良さだと思っています。夢は『東京ドームシティホール(現在の名称は「Kanadevia Hall」)』に行けるように。そして、将来的には東京ドームでライブをやりたいです」

個人的には、5人組男性ボーカルユニット『M!LK』のメンバーで俳優、同事務所の先輩でもある佐野勇斗(28)を尊敬し、彼のような俳優・アーティストを目指しているという。

「全然、気づかれません(笑)」

アーティストとしても多忙を極める越山だが、現在放送中の4月期日曜劇場『GIFT』(TBS系)にも出演している。

同ドラマは、パラスポーツの車いすラグビーを舞台に堤真一(61)演じる宇宙物理学者・伍鉄が、弱小チーム「ブレイズブルズ」が抱える多くの難問の答えを導き出しながら、本気で心と体をぶつけ合うことで、仲間や家族の大切さを知っていく“愛と絆”のギフトの物語。越山は、チームの最年少、坂東拓也(ばんどうたくや)を演じている。

「僕が演じる坂東は事故により上半身に力が入らないため、ラグ車(競技用車いす)では胸あたりをベルトで固定して競技に臨んでいます。でも、演技をしていると、本来なら入るはずのない腹筋に、どうしても力が入ってしまう。だから、すごく難しいです。でも、このドラマのために昨年7月ごろから練習を重ねてきたので、ずいぶん、できるようになったと思います」

『ぼくのお日さま』ではフィギュアスケート。『国宝』では、歌舞伎俳優。そして、『GIFT』では車いすラグビーに挑戦する越山。そういった個性的な配役をこなすことができるのも、彼の稀有な才能があってこそだろう。

近い将来、アーティストとして日本のエンタメ界を背負っていく存在になることに疑問の余地はないが、そんな彼にも、普通の高校生としての生活がある。

「普通の高校生をしていますね。友達とカラオケに行ったり、ボウリングしたり。その時は完全に仕事のことは忘れています。友達といる時はこんなに静かじゃないです。騒いだり、ワチャワチャしていますよ。でも全然、気づかれません(笑)」

無邪気に笑う姿は、等身大の高校生そのままだった──。