世界一の探知能力“海のハンター”P-1訓練にテレビ初潜入

4月24日(金)放送の『沸騰ワード10』は、「自衛隊に取り憑かれたカズレーザー」。
今回カズレーザーは、海にある最大の脅威から日本を守る最新鋭航空機P-1、通称「海のハンター」に迫る。P-1の内部や、自衛隊の中でもトップレベルの精鋭が集まる特殊部隊の全貌を紹介。さらには極秘訓練にテレビ初潜入した。
儀じょう隊の歓迎を体験
向かったのは神奈川県の厚木航空基地。日本有数の規模を誇り、広さは東京ドーム108個分にも及ぶそう。

敬礼・捧げ銃など、儀じょう隊の動作の一つひとつには決まりがあり、腕の角度、足の開き、視線、それぞれすべてが揃うことで敬意を表すという。
手厚い出迎えを受けて基地の奥へ進むと見えてきたのは、今は退役した戦闘機・ファントム。日米共同使用の基地のためアメリカのマークが入った機体も並ぶ。
海の最大の脅威・潜水艦を追うP-1
そして、海上自衛隊の航空部隊である第3航空隊へ。日本周辺にいる不法行為などを行う軍艦や他国の潜水艦をすべてチェックし、違法行為が行われていないかを24時間365日監視しているという。
世界からも視察が絶えないという航空機・P-1は、全長約38m、高さは約12mでマンション4階分ほどの大きさ。最大の特徴が、潜水艦を発見できる航空機は自衛隊の中でこのP-1しかないということ。

海に潜む最大の脅威・潜水艦の中には核ミサイルを搭載しているものもあり、発見が困難で、海を守るイージス艦などの天敵でもある。それを発見し、迎撃するのが最新鋭のP-1だ。
P-1は有事の際に相手に狙われる可能性があるため、残存性を高めるためにもエンジンを4発搭載。最高速度は時速700〜800km。
潜水艦は時速10km、20kmの世界のため、それを追いかけるにはゆっくり飛ばなければならない。そのため普通の飛行機よりも翼が大きく、低速でもしっかり飛べる設計になっているそう。
潜水艦を探知する方法は?
では、P-1は潜水艦をどうやって見つけるのか?
最新装置の1つが、音などを発して海の中の潜水艦の反応を探る装置・ソノブイ。一度に広大なエリアの水中音を採取でき、聞くのはスクリュー音、エンジン音、さらには潜水艦の表面を流れる海水の音まで。そうした音をもとに潜水艦だと識別する。

機体にはたくさんのソノブイの投下口が並ぶ。何10本から100本も落とすことがあり、ここに直接装填していつでも投下できる状態にしておくという。しかも、ソノブイは東京スカイツリーほどの高さから落としても一切破損しないそう。

機体後方には、海中を探るもう1つの秘密機器・MADを搭載。

金属探知機で、海中にある大きな金属の塊、つまり潜水艦の上を通過した時に反応し、潜水艦だと分かる仕組み。
大量にまいたソノブイで広範囲に潜水艦を探知し、反応があればすぐ現場へ急行。そこでMADを使えば、ピンポイントで居場所を特定できる。
P-1の機体内部には、海面を見張る広範囲レーダーも装備。さらに機首にはドーム状の光学装置があり、赤外線でも見ることができる望遠カメラで夜間の海面も監視できる。潜水艦だけでなく、不審船にも対処しているそう。
国産魚雷やミサイルも搭載
機体内部の爆弾倉・ボンベイには潜水艦や水上艦を迎撃できる強力装備が搭載されている。特別にボンベイドアを開けてもらうと、中には魚雷が。

潜水艦を迎撃する国産魚雷は8発を搭載し、自律的に追いかけていくという。さらに、不審な水上艦を迎撃するミサイルも6発搭載されている。
P-1が世界から注目される理由は他にも。年に一度、世界中の哨戒機が集まり、実際に潜水艦を見つけて攻撃できるかを競う「シードラゴン」という世界大会があり、日本はそこで何度も優勝しているという。
コックピットに潜入 低空・低速飛行を支える工夫
いよいよコックピットへ潜入。通常、航空機は高度1万m、時速900kmで飛ぶことで安定するが、P-1はソノブイを正確に落とすため、低空を低速で飛行する。ゆっくり飛ぶ時でも時速300kmほどで、これは新幹線ほどの速度。最も低く飛ぶ時は高度150mほどだそう。
気流の乱れでも1秒間で数m高度が下がるリスクがあるため、活用されているのが目の前に映し出される映像。速度計や姿勢指示器、高度計など下を向いて確認する必要がなくなり、外を見る時間をより長く確保できる。1秒間で200m以上進んでしまうので、その時間が安全に直結するという。

手に持つハンドルには、赤外線ミサイルに狙われた際、熱源を発射して回避する防御装置フレアのボタンも。さらに、相手の攻撃を受けて飛行不能になった場合には、各自がパラシュートを背負って扉から脱出することも想定されている。
管制塔の内部へ
厚木航空基地では、1日最大240機の航空機が離着陸する。その安全を守る心臓部、管制塔にも潜入。

管制塔は360°ガラス張りの六角形で、常に航空機を見張るための造りになっている。管制では英語が使われ、安全のための指示や許可、風向き、主要滑走路、離陸許可などを伝える。自衛隊の管制塔は、不時着などイレギュラーな対応も求められるため、英語に堪能な隊員が交代で務めているそう。
さらに、緊急事態がいつ起きても対応できるよう、国内最大級の管制シミュレーターも設置。各基地の飛行場を360°映し出し、天気を雪や雨などに自由に変えることができる。実機では悪天候の訓練がなかなかできないため、シミュレーターで想定するという。
緊急時に色で着陸許可を知らせるライトガンという機器も。着陸可能な時は青、不可能な時は赤に光り、11km先まで届く仕組みになっている。
また、滑走路で事故が起きた場合に出動する特殊部隊が地上救難隊だ。隊員たちが着る特殊防火衣は約8kg、さらにボンベが10kg。800℃の超高温にも耐えられるが、通気性はゼロでサウナスーツのような暑さ。炎天下での救助も想定し、防火衣と装備品をつけたままトレーニングを行う暑熱順化訓練も行われている。

現場に1秒でも早く行くため、防火衣には長靴までセットされた状態で待機。装着訓練では、15秒85という速さで着装を完了する様子も。
航空機事故の消火・人命救助訓練もテレビ初公開。ヘリコプター墜落による火災を想定し、まずは人命救助を最優先に行う。
最新鋭の救難消防車1A型が出動し、6200ℓの水で一気に消火。給水車もサポートに入り、絶え間なく放水を続ける。

熱で扉が変形し開かないという超緊急事態には、分厚い装甲も切断できるレスキューツールカッターが使われる。
南鳥島を支える輸送機・C-130R
厚木基地には、P-1以外にも特殊な機体が。1975年に作られた海上自衛隊最大の輸送機がC-130Rだ。

機内にはレトロなスイッチ類が並ぶ一方、一部は電子パネル化され、GPSなど近代機器にリニューアルしながら運用されている。貨物室には約20トンの荷物を積むことができる。
C-130Rが向かうのが、日本の最東端・東京都小笠原村の南鳥島。南鳥島の海上自衛隊基地では研究員の輸送や遠洋漁業の乗組員救助などを行っているそう。小さな島ゆえ滑走路も短いが、C-130Rは離着陸性能に優れており、約1,000mの距離があれば離着陸可能だという。
潜水艦探知技術を支えるソーナーマン
ソノブイからの音を聞き、世界一の潜水艦探知技術を支えるのが、機体後方にいる音響員・ソーナーマンだ。

手元はすべてタッチパネル。ソノブイから電波で送られてくる信号はデータとして表示され、データ化された周波数の音をこれまで蓄積したデータと比較し、どこの国の何という潜水艦かを特定していく。そこになければ、今までにない新しい潜水艦の可能性まで分かるそう。人間を特定できる指紋のように、船にもそれぞれ固有の音・音紋があり、P-1はその音紋データと照合して相手を特定している。
潜水艦の艦内マイクの放送まで拾うことがあるという。さらに、音だけではなく、機首のターレットを動かして、潜水艦が偵察や射撃のため水面にわずかに出す潜望鏡も見逃さない。その数cmの違和感を4人の隊員が見張り続けている。
P-1の対潜水艦訓練
いよいよ、世界一の性能を誇るP-1の対潜水艦訓練に潜入。強力ミサイルを搭載し、大都市を壊滅させてしまうほどの脅威を持つ原子力潜水艦をどう迎撃するのか!?
今回は離陸せず、日本海でのパトロールを想定した訓練を実施。洋上に到着すると、まずは海上を飛行しながら機首に内蔵されたレーダーで広範囲をパトロール。
レーダーやソノブイで得た情報は戦術士に集約され、それをもとに作戦を立て、クルー全員へ指示を出す。その補佐をするのが戦術航空士戦術士TACCO(タクティカルコーディネーター)で、主に基地との通信を担当し、他の船舶情報なども受け取って共有していく。

すると、広範囲レーダーが数10km離れた海面に小さな異物を探知。低空飛行で現場へ向かうが、突然レーダーロスト。小さいものが急に消えたということは、潜望鏡の可能性が十分あると判断される。
そこでソノブイを投下し、わずかな音も聞き漏らさないよう網を張る。音から潜水艦の種類や国籍だけでなく、水深や速度まで分かるそう。目標の速度変化がないことから、向こうはまだ気づいていない可能性が高いという分析も行われる。
相手に気づかれず近寄れるのもP-1の特長。エンジン音が静かなため、潜っている潜水艦にも気づかれにくい。潜水艦近くまで忍び寄ると、操縦士が攻撃に備えて降下。金属探知機MADで居場所を特定し、そのまま魚雷で攻撃。

訓練終了後、「すごい緊迫感ある」「音だけなのに緊張しましたね」「会話も最小限のやり取りなのに、めちゃくちゃ情報詰まってますね」と感想を語ったカズレーザー。
365日24時間防衛をするP-1と厚木航空基地に従事する隊員に感謝の気持ちを表した。
