「ハローワークに通って、就活中です」…旧統一教会職員が語った”総裁逮捕、解散命令、後継団体”

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前職の欄に「家庭連合」と書いて…

「就活中ですが、なかなか大変です。でも、信仰は持ち続けていますし、大丈夫です」

気丈に答えたのは旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の元幹部だ。

東京高裁が3月4日に解散命令を下し、約340人の教団職員が早期退職したと報じられた。YouTubeで「解散命令が出る前に退職すれば退職金が割り増しされるという条件だった」と明かした元教団職員がいたが、この元幹部はまさにその条件で早期退職に応じ、現在はハローワークで職探しをしているという。

「働き続けたいという思いはありましたけど、いろいろ考えて最終的に早期退職制度に応募することにしました。家族に話した際の反応も『それでいいんじゃない?』という感じだったので決心しました。

世間一般的な給与と比べると、たぶん教団の月給は低いと思います。たいした貯金はありませんが、いまはそれを取り崩して生活費を工面しています。金額まではお話しできませんが、(教団から)退職金が出ますし、失業給付金も貰えることになっていますが、どちらもまだ受け取っていません。

それが入れば一息つけるかなと思っていたのですが、どうやら、早期退職者募集の説明会で提示された退職金の条件が変更になったようです。そうなると前提が崩れるわけで、ちょっと困惑しています」

就職活動につきものの履歴書。前職の欄には何と記入するのか。元幹部は「(世界平和統一)家庭連合と書いていますよ」と即答した。採用に影響する可能性もあるが、「事実を伏せることはしたくない」と言う。

「実際、採用面接でも触れられましたが、(教団について)根掘り葉掘り、細かく聞かれたりはしませんでした。ただ、書類審査で落とされてもダメだった理由は明らかにされないので、教団にいたことが就職にマイナスなのかどうかは私にはわからない。

元職員のなかには続けて何社も落とされてショックを受けている者もいますが、新しい職場が決まった人もいます。先の見通しが立たないのが少し心配ですが、私も頑張っていきたいですね」

解散命令から2ヵ月が経とうとしているが、元幹部は前向きだった。家族も黙って支えてくれているのだという。

「周囲には『まさか解散なんてことになはならないだろう』と考えていた信徒が多かったですね。私は『厳しいだろうな』と思っていたので、解散命令が出たときは『やはり』と、そこまで動揺はありませんでした。残念ではありますが、結果は受け止めています。でも、信仰を否定することは誰もできませんからね」

<旧統一教会、新団体を8日設立へ――「FFWPU」、清算手続き中>

共同通信は4月7日、旧統一教会が信者たちの宗教活動の継続を目的とした新団体設立を目指していると報じたが、「我々には何も伝えられていない」と元幹部は言う。

「報道が先行している印象です。検討している可能性はあると思いますが、少なくとも現時点では、決定事項ではないと思います」

高市さんなら解散命令を止めてくれる

教団トップである韓鶴子総裁(83)の逮捕は「ショックだった」と言う。

「韓国の法律に詳しくないのですが、まさかこのような事態になるとは思いもしませんでした。(教団と)保守系政治家との関係は冷戦期の反共思想・反共同盟から構築されたといわれていますが、私は政治にも明るくないのでよくわかりません。家庭連合が公式に特定の政治家を応援することはありませんが、基本的には保守的なので、保守系政治家に共感する信徒はいると思います」

昨年12月から「TM(トゥルーマザー)特別報告」と題する教団の内部資料の存在が日韓両国で報じられている。日本の教団幹部が活動の様子を韓総裁に報告する体裁で約3200ページ。TMは韓総裁を指す。選挙応援など、自民党を中心とする政治家と教団との接点が細かく記されており、内容の一部を政治家側が認めているが、教団は「表現が誇張されている」と主張。

その文書に「高市さんが総理になるのが天の最大の願いである」と記載されていたことについて元幹部は「読んだことがないので、報道されている以上のことはわからないです」と言うにとどまったが、他の信者はこう言うのだった。

「『高市さんなら解散命令を止めてくれる』と期待していた人がいた可能性はありますよね。できるわけがないと私は思いますけど……」

信者や元教団職員はめまぐるしい環境の変化により、混乱と困惑の真っただ中にいる。「FFWPU」の設立目的は何か、信仰の場となる後継団体を設立するのか、元教団職員の退職金、再就職支援はどうなっているのか。旧統一教会広報に取材すると以下のように回答があった。

「家庭連合広報渉外局のXアカウントで公開した声明にあるとおり、私たちは、全国的に10万人以上の信徒を抱える宗教団体として、宗教法人が解散命令を受けた後も信徒が信仰生活を継続することができるよう検討を重ねておりますが、まだ決まっていることはありません。また、今後は問題が指摘されてきたような活動を行うことはありません」

職員の退職金、再就職支援に関する質問については無回答だった。

信仰を持ち続けながらも、新たな生活を模索する人々は何を選び、どこへ向かうのか。その行方はいまなお、定まっていない。

取材・文:深月ユリア