W杯までに知っておきたいサッカー用語の第29弾。今回は「カウンタープレス」を解説。(C)Getty Images

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 聞いたことはある、何となく意味も分かる。でも、詳しくは知らない。そんなサッカー用語を解説。第29弾は「カウンタープレス」だ。

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 ボールを失った直後に即座に奪い返しにいく守備を指す。ドイツでは「ゲーゲンプレス(Gegenpressing)」とも呼ばれ、現代サッカーを形成する重要なワードの一つになっている。この戦術を広く浸透させた指導者として知られるのが、ドルトムントやリバプールを率いたユルゲン・クロップだ。

 カウンタープレスの鍵は、守備と攻撃の切り替えの速さにある。ボールを失った際には自陣に引いて守備ブロックを整えるのではなく、素早くプレッシャーを掛けて奪い返す。ボールロスト直後の数秒間は相手の陣形が整っておらず、ボール保持者も不安定な状態にあるため、このタイミングで複数人が連動してプレッシャーを掛けることで、高い確率でボールを奪い返すことができるのだ。

 カウンタープレスは単なる守備の手段にとどまらず、攻撃の起点として考えられることも多い。高い位置でボールを奪うことで、相手ゴールに近いエリアから素早く攻撃に移行でき、ショートカウンターの形で決定機を生み出しやすい。特に前線の選手が守備に積極的に関与するチームでは、この戦術の効果が顕著に表われる。
 
 カウンタープレスには豊富な運動量と組織的な連動、明確な狙いが求められる。個々の選手が闇雲にプレッシャーを掛けても簡単にかわされてしまうため、ボール保持者への寄せと同時にパスコースを限定するポジショニングが不可欠だ。

 また、プレスを突破された場合には広いスペースを使われるリスクも伴うため、最終ラインの統率やカバーリングも重要な要素となる。

 基本的には90分、同じようにカウンタープレスをできるのが理想だが、チームの疲労やスコアなどを見極めるのも大事。その意識が揃っていないと、前と後ろで間延びなどを引き起こすため、チームとしての統率も生命線になる。

 カウンタープレスは、攻守一体の思想に基づいた現代的な戦術であり、チーム全体の戦術理解と連係が問われる高度なプレーモデルがあってこそマッチする。適切に機能すれば試合の主導権を握る強力な武器となるが、その実行には明確な戦術設計と継続的なトレーニングが欠かせない。

文●河治良幸

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