相場展望3月30日号 米国株: (1) イラン戦闘長期化 (2) 原油・金利上昇 (3) 株「調整局面入り」 日本株: イラン戦闘長期化と地域拡大、日本の影響拡大->株売りへ
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)3/26、NYダウ▲469ドル安、45,960ドル 2)3/27、NYダウ▲793ドル安、45,166ドル【前回は】相場展望3月26日号 米国株: トランプ氏、公約とは真逆の実績、11月中間選挙は苦戦か 日本株: 海外短期筋は「値ごろ感」で日経平均の買い直しも、慎重に
●2.米国株:(1)イラン戦闘の長期化(2)原油高・金利上昇(3)株価「調整局面入り」
1)トランプ大統領のイラン最後通告の期限迫る、イラン戦争長期化を警戒2)米国株「調整局面入り」、中東の軍事衝突の激化懸念長期化で (1)米国株価指数は「調整局面入り」の目安とされる「▲10%下落」を超えた ・NYダウ 2/10 50,188ドル 3/27 45,166 下げ幅▲5,022ドル安 下落率▲10.00%低下 ・ナスダック総合 2025年10/09 23,958 2026年03/27 20,948 下げ幅 ▲3,010安 下落率 ▲12.56%低下
3)米国長期金利がイラン戦闘で上昇 (1)米国10年国債金利の推移 2/27 3.938% 3/27 4.432 上昇幅+0.494%高 上昇率+12.54%高
(2)米国長期金利は、イラン戦闘開始して1カ月間で+12.54%と急伸している。
(3)金利上昇とインフレ率加速は、米国民の家計と米国経済にとり「悪の元凶」となる。
4)トランプ氏は、イラン戦闘ではいつもの「TACO」は封印 ・昨年4月の相互関税発動で、米国株式・国債・ドルが売られトリプル安となった時、わずか半日で関税の一部を即時停止した。結果、トリプル安から脱した。以降、トランプ氏の朝令暮改ぶりを「TACO(トランプはいつもびびってやめる)」という造語で揶揄されるようになった。 ・その後、度々、「TACO」現象は見られた。 ・そのTACOトランプ氏だが、今回はイラン爆撃から4週間経ち長期化の様相を見せ、原油高・ガソリン価格急騰・金利高が続いているのに、態度を変えていない。これはイラン戦争の幕引きの難しさを物語っているからだ、と思われる。
5)トランプ氏が始めたイラン戦闘は、米国金利・ガソリン高で米国民を苦境へ ・トランプ氏のイラン戦闘は拡大を見せている。 ・イラン戦闘で、米国金利は上昇し、ガソリン価格は高騰している。インフレも加速すると見られる。結果、米国民の家計は苦しさが増すばかりである。 ・トランプ氏は米国民の眼を逸らすために、キューバ問題にすり替えようとしている。しかし、簡単なことではない。キューバ問題を進展させても、イラン戦闘は終結しない。キューバ問題解決しても、金利高・インフレ加速は止められない。
●3.パキスタン副首相「米国・イランの間接協議を仲介」を表明(ザイFX)
●4.OECD最新予測、米国のインフレ率は今年+4.2%へ、イラン戦争が影響(ブルームバーグ)
1)経済協力開発機構(OECD)はイラン紛争がインフレ再燃の懸念を強め、年初に持ち直しの兆しを見せていた世界経済に打撃を与えていると指摘した。 2)米国は、昨年12月時点の+2.8%から、今年は+1.2%増の+4.0%とした。■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)3/26、上海総合▲42安、3,889 2)3/27、上海総合+24高、3,913●2.中国BYDの2025年決算、4年ぶり減益、国内で競争激化(ロイター)
1)純利益は前年比▲19%減の+326億元(約+7,500億円)。減益幅は予想平均▲12.1%減よりも大きかった。売上高は+3.5%増と、過去6年間で最も低い伸び率にとどまった。売上総利益率は20.5%と▲1.8%低下した。 2)BYDは手ごろな価格のEVで伸長してきたが、零跑汽車や吉利汽車など競合他社が技術的優位性を縮め、市場シェアを奪いつつある。 3)2026年も厳しい事業環境が続く可能性があると予想。海外で成長する一方、国内は競争激化と需要の鈍化が続き、利益圧迫と見る。新エネルギー車に対する政府支援減額も逆風となっている。中国の新車販売台数は、2025年でBYDが首位だったが、1〜2月は4位に後退。■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)3/26、日経平均▲145円安、53,603円 2)3/27、日経平均▲230円安、53,373円●2.日本株:イラン紛争の長期化と地域拡大、日本への影響拡大⇒日本株売りへ
1)相場の重しは、米国とイランの停戦交渉難航、加えて紅海地域にも紛争拡大 (1)停戦交渉に「イスラエル」が入っていないため、停戦交渉の本気度が疑われる。(2)イランの支援を受けるイエメンのフーシ派が、イスラエルを攻撃開始した。サウジアラビアの石油輸出は、ペルシャ湾と紅海の2ルートとなっている。フーシ派は紅海とアデン湾を結ぶ要衝バベルマンデブ海峡を封鎖する能力を持っている。そうなった場合の航路は、紅海⇒日本が、紅海⇒スエズ運河⇒地中海⇒ケープタウン⇒日本と紅海日数が55日と2倍程度かかることになる。紅海の海峡封鎖は、世界経済に大きな影響を与える。
2)弱い日経平均が続く (1)3/26、利益確定売りや戻り待ちの売りが広がり下落。特に、アドバンテストやファーストリテイの2銘柄が売られたのが目立った。この2銘柄で日経平均を▲165円押し下げた。 (2)3/27は配当権利付き最終売買日にもかかわらず下落。いかに株式相場の地合いが悪いかを示している。
3)日経平均寄与度上位5銘柄の推移 (1)3/26 、日経平均▲145円安、寄与上位5銘柄で▲203円安・占有率1.4倍 ・寄与上位5銘柄 寄与下げ額 株価下げ額 アドバンテスト ▲123円安 ▲460円安 ファーストリテイ ▲43 ▲530 東京海上 ▲14 ▲270 ファナック ▲12 ▲74 住友電工 ▲11 ▲325 合計 ▲203
(2)3/27、日経平均▲230円安、寄与上位5銘柄で▲443円安・占有率1.92倍 ・寄与上位5銘柄 寄与下げ額 株価下げ額 アドバンテスト ▲239円安 ▲895円安 東京エレクトロン ▲124 ▲1,240 ダイキン ▲36 ▲1,075 信越化学 ▲25 ▲151 ファナック ▲19 ▲112 合計 ▲443
4)イラン攻撃前後の株式相場 (1) NYダウと日経平均の動向 NYダウ 日経平均 ・1/30 48,892ドル 53,322円 ・2/27 48,977 58,850 イラン攻撃前 + 85高 +5,528高 上昇率 +0.17%高 +10.36%高 ・3/27 45,166 53,373 イラン攻撃後 ▲3,811安 ▲5,477安 下落率 ▲7.78%安 ▲9.30%安
・イラン攻撃前の1カ月間では、NYダウは横ばい・日経平均は大幅高。NYダウは上値追いのエネルギーが乏しく、足踏み状態が続いていた。日経平均は海外投機筋の買いが続き、大幅高となった。 ・イラン攻撃後は、NYダウともに日経平均は下落。ただ、日経平均は2月の上昇幅が大きかったため、NYダウと比べて下落率が▲1.52%大きくなった。なお、1/30比では見ると、NYダウは大きく下落・日経平均は横ばい。
(2) イラン攻撃前後の騰落日数 ・ NYダウ 日経平均 期間 営業日数 上昇 下落 営業日数 上昇 下落 2/17〜27 9 6 3 8 6 2 イラン攻撃は2/28 3/02〜16 11 4 7 11 4 7 3/17〜27 9 3 6 8 3 5 ・イラン攻撃後は、NYダウ・日経平均ともに、下落日数が半数を超えた。原油高によるインフレ懸念・金利上昇で、株式は割高感が意識され売られた。
5)日経平均は最大の試練、「5万円割れ」も意識 (1)例年、株式相場は「3月下旬〜5月上旬」までは「株高」してきた。 (2)ところが、海外短期筋による強引な日経平均の引上げ効果もあり、異常な上昇となった。 (3)海外短期筋は株価指数先物を軸に、日経平均を買い上がってきた。その買いは、先週まで見受けられた。海外短期筋が「最近の日経平均と米国株の大幅値下がり」を受けて、「売り転換」するようであれば、日経平均の超大幅下落がある。その場合は、日経平均の「5万円割れ」も意識される可能性がある。
●3.ローム・東芝・三菱電機、パワー半導体統合協議、デンソーの買収提案に対抗(時事通信)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・8113 ユニ・チャーム 業績好調 ・8604 野村 業績順調執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou
