マチアプはメッセージも1対1も面倒…「相席ラウンジ」に9年通い続ける会社員女性の本音から見えてくる「出会いの変化」
「マチアプは合わなくても逃げられない」
前編『1店舗で月売上1億円超え…「相席屋はオワコン」の裏で、若者たちが『オリエンタルラウンジ』に熱狂する意外な理由』で、相席飲食業界が衰退しているわけではなく、クラウドエヌが運営する『オリエンタルラウンジ』と、その系列店『ag(アグ)』が突出して人気を集めている背景を説明した。
『オリエンタルラウンジ』と『ag』に集客を奪われているため、競合他社である他店は減少傾向にある――。
では、実際に店舗を訪れる女性客は、どのような動機で来るのか? それを探ることで、『オリエンタルラウンジ』と『ag』が突出して支持される理由も自ずと見えてくるはずだ。
お店に許可をいただいた上で、週末の金曜、『オリエンタルラウンジ』の中でも月間売り上げが上位に入るという「上野店」で、私と担当編集は話を聞くことにした。なお、我々が「話を聞きたい」という目的で同席することを、女性サイド(名前はすべて仮名)が快諾してくれていることも付記しておく。
まず一組目に話を聞いたのは、30代前半の二人組だ。普段、一般企業の営業職をしているというソラさんは、「興味本位で9年ほど前から相席飲食店に通うようになった」という。職業柄か、我々の質問にハキハキと答える姿が印象的だ。
「出会いに関して言えば、こういうシステムが一番楽だし、最適化されているって長年通っていて思います。以前は、マッチングアプリもしていましたが、メッセージのやり取りが面倒だし、会うとなっても1対1で会うから数時間拘束される。良い人だったらいいけど、好みに合わない人だったら逃げられない(笑)。
マッチングアプリは、人間性はより深く知れるかもしれないけど、合わないなって思った後も時間を一緒に過ごさなきゃいけないからから、それが苦痛なんですよね。ここはすぐに対面で話せて、すぐに合う合わないの判断ができる。私たちもそうやって見られているけど、チェンジができることもあって効率がいいんです」(ソラさん)
ソラさんは、キャリア9年の中で、さまざまな相席飲食店に行ってみたというが、今は「『オリエンタルラウンジ』に落ち着いた」と話す。
「それこそ白い看板のお店にも行きましたけど、全然雰囲気が違う。おじさんが多いというか、おしゃれな感じがしないから居心地がいいとは言えなくて。下ネタとか言われたら最悪じゃないですか。出会いを求めて……と言っても、必ずしも付き合いたい人を探しに来ているわけではなくて、面白い人や気が合う人と出会いたい。毎日働いている中で、そういう人と出会うことって、多分、みんなそんなにないはず。
だから、いろんなレイヤーがあるところに行きたいって思うんです。ここはいろんな層の男性がいるから面白い。まぁ、新宿店はちょっと遊んでそうな30代後半以上の男性が多かったり、渋谷店は陽キャが多かったりと、店舗によってカラーはあるんですけど、いろんな人が満遍なくいることが重要かなって。『違うな』と思ったらチェンジすればいいわけだし」(ソラさん)
「遊び相手を見つけたいわけではない」
その話を隣で聞いていたマナミさんが遠慮がちに口を開く。
「私はそもそもコミュニケーションが苦手なんです。人見知りが強くて、自分から話しかけることができないし、話しかけられても戸惑ってしまう。でも、こういう場だったら半強制的にしゃべらざるを得ない(笑)。セッティングされていることが、私みたいな人間にとってはすごく楽なんです」
二人の関係を聞くと、中学校時代の同級生だという。ソラさんに誘われる形で、数年前から通い始めたそうだ。あまり飲むことが得意ではないというマナミさんは、「こういう‟飲まなくてもいい場所”で誰かと気軽に出会えるのも助かります。出会いがないなら、「飲食店とかバーに行けばいいんじゃない?」なんて言われるけど、お酒が飲める前提じゃないですか」と口をすぼめる。
「私は介護職をしているのですが、本当に出会いがない。マッチングアプリもやってみましたが、仕事でクタクタなのに、アプリ上でもやらなければいけないことが多くて……疲れます」(マナミさん)
働きながら出会う。それ自体のハードルが高く、難度の攻略性が求められると苦笑する。相席飲食店はそのハードルが低く感じられる場所であり、攻略性を下げてくれる場所。彼女たちに話を聞くと、必ずしも交際相手を見つけたいわけではないという。かと言って、「遊び相手を見つけたいわけでもない」と首を横に振る。
「なんかいいなこの人」「なんか面白い人だな」、そういう人と出会う場所がないから、「ここに来る」。必ずしも恋愛が前提ではないからこそ、心理的なハードルも低く、出会いに億劫なマナミさんのような女性(これは男性にもいえることだが)も来やすいのだろう。
ある意味では渡りに船だろうから、「女性が無料でなくても来る?」と私は尋ねてみた。二人は顔を見合わせ、少し沈黙すると、「出せる程度だったら」と笑った。
続きを読む『「女性は無料でいいね」と言う男は論外…「相席ラウンジ」に通う女性たちの「驚きの楽しみ方」』では、アラサーのギャル2人と大学生の2人に話を聞いた。
