やる気、耐ストレス、体力低下…男性更年期に効果、漢方薬10選
40代で始まる男性の更年期
「朝から疲れている」「体が重い」「やる気が出ない」「集中力や判断力の低下」「眠れない」「イライラしやすい」「気分の落ち込み」など年齢からくると思っていた不調は「男性更年期」かも知れません。
女性の更年期症状は概ね50歳前後の閉経を境に急激に女性ホルモンが減少することで症状が現れますので、認識されやすく診断や治療も確立しています。
一方、男性ホルモンは減少する速さや程度、時期は個人差が大きく40歳代以降どの年代でも更年期障害が起こる可能性があります。女性と異なり徐々に減少するので、加齢による身体機能の衰えなのか区別がつきづらいといえます。日本では男性の更年期障害(LOH)の研究が開始されてから20年程度しか経っておらず全貌は明らかになっておらず、仕事、家庭、社会的な責任が重なる時期に発症しやすいといわれています。
漢方では男性更年期の不調を「気・血の不足や滞り」、「肝気の失調(ストレス等による気の乱れ)」、「腎虚(エネルギーの低下)」などによるものと考え、心身全体のバランスを整えることで症状の改善をはかります。
腎虚タイプ――加齢による腎のパワー(元気の源になるエネルギー)が低下
【特徴】加齢により腎(漢方でいう腎臓、副腎、生殖器)の働きが低下することにより様々な症状が現れます。腎のパワーをサポートする漢方薬を用います。
【主な症状】疲労感、膝・腰のだるさや痛み・冷え、頻尿などの排尿異常、性機能の低下、白髪、手足のしびれ・痛み・むくみ、皮膚の乾燥など
八味地黄丸(ハチミジオウガン)
【主な症状】体力中等度以下で、頻尿、四肢が冷えやすい、疲れやすさを感じる、腰痛、耳鳴り
【効果】基礎代謝を維持しからだの深部を温めながら加齢に伴い不足する腎のパワーを補います。
【成分の効能】桂枝(ケイシ)、附子(ブシ)でからだを温め、地黄(ジオウ)、山薬(サンヤク)、山茱萸(サンシュユ)で腎を補い、茯苓(ブクリョウ)、沢瀉(タクシャ)で水分の調整を行い、牡丹皮は血の巡りを整えることで効果を発揮します。
六味丸(ロクミガン)
【主な症状】のぼせ、寝汗、手足のほてり、不眠、口渇、排尿異常、頭のふらつき、めまい、耳鳴り、
【効果】失われた潤いを補い、余分な熱をさますことで生命力を補強し、腎のパワーを補います。
【成分の効能】八味地黄丸から、からだ全体を温める桂枝、附子を除いた処方です。
牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
【主な症状】体力中等度以下で疲れやすい、頻尿、むくみ、しびれ、痛み、四肢の冷え、口の渇き
【効果】八味丸にプラス血を巡らせる、余計な水を排出する効果を強化することで痛みやしびれを改善します。
【成分の効能】八味丸に下半身の血流を促し、筋骨を強める牛膝(ゴシツ)と、余分な水を排泄しながら熱をさます車前子(シャゼンシ)が追加することで症状を改善します。
肝気の失調――自律神経の乱れ等による気分の不調
【特徴】様々なストレス等を受けると「気」のバランスが乱れ自律神経の失調がおこるため精神不安、イライラ、不眠などが起こります。「気」の巡りを整えて症状を改善していきます。
【主な症状】イライラ・怒りっぽい、不安感、神経過敏(による興奮)、うつ傾向、不眠・中途覚醒、動悸、ため息が多い、血圧の上昇、歯ぎしり、足つりなどの筋肉のこわばりなど
柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
【主な症状】体力中等度以上でイライラしやすい、精神不安、不眠、動悸、怒りっぽい、血圧上昇、驚きやすい、からだが重だるい、胸苦しい
【効果】心を落ち着かせて、精神の高ぶりをしずめて、興奮からくる精神症状を安定させます。
【成分の効能】柴胡(サイコ)、黄芩(オウゴン)、半夏(ハンゲ)でからだの内部に溜まった熱を取り除くことで気を巡らせ、大棗(タイソウ)、人参(ニンジン)、茯苓、桂枝、生姜(ショウキョウ)で胃を補い水捌けを整え、竜骨(リュウコツ)、牡蛎(ボレイ)は心を落ち着かせ不安、動悸、不眠を改善します。
桂枝加竜骨牡蠣湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)
【主な症状】ささいなことが気になる、びくびくしやすい、そわそわする、不眠、不安、神経質、神経過敏により興奮しやすい、疲れやすい、脱毛、ふけ
【効果】気や血の不足を補いながら、精神的ストレスや不安感などの症状を緩和します。
【成分の効能】桂枝、芍薬(シャクヤク)で血行と緊張のバランスを整え、大棗、甘草、生姜で消化機能を助けつつ精神安定を図り、竜骨、牡蛎で不安や緊張を鎮めます。
抑肝散(ヨクカンサン)
【主な症状】ストレスで神経がたかぶる、不眠、イライラ、歯ぎしり、怒りっぽい、筋のこわばり、周りにあたってしまう、筋肉のぴくつき、手足のふるえ、くいしばり
【効果】肝(情緒や神経)の高ぶりを鎮め、血を巡らせ、水捌けを整えて症状を改善します。
【成分の効能】柴胡、釣藤鈎(チョウトウコウ)で興奮を鎮め、当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)、茯苓、白朮(ビャクジュツ)で滞った水や血の流通や代謝を改善することで感情を安定させ神経過敏に効果を発揮します。
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
【主な症状】咽のつかえ感、ため息が多い、気分の塞ぎ、軽い不安神経症、動悸、めまい、神経性胃炎、しわがれ声
【効果】気を巡らせ、上に昇った気を下し、滞っている水はけを整えて症状を改善します。
【成分の効能】半夏(ハンゲ)で気の上昇を下し、厚朴(コウボク)で気の滞りを開放し、茯苓、生姜で水捌け整え、紫蘇(シソ)で気持ちをのびやかに整えます。
黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)
【主な症状】体力がありのぼせ、顔色が赤い、イライラ、不眠、めまい、動悸
【効果】からだの熱を冷ましながら、血の滞りを巡らせて炎症を鎮めます。
【成分の効能】黄連(オウレン)は心の熱、黄芩は上半身の熱、黄柏(オウバク)は下半身の熱を冷まし、山梔子(サンシシ)はそれら3つの熱を利尿作用でからだの外へ排出します。
体力低下による「気・血不足タイプ」
【特徴】年齢と共にパワーやエネルギーの不足となり倦怠感、集中力の低下、顔色不良などの症状がひき起こされます。不足している「気」や「血」を補いながら症状を改善していきます。
【主な症状】疲れやすい・だるい、意欲低下、集中力が持続できない、食欲低下、寝汗、貧血傾向、手足の冷え、風邪をひきやすいなど
補中益気湯(ホチュウエキキトウ)
【主な症状】仕事や日常生活に疲労感を感じる、疲れやすくやる気が出ない、食欲低下、全身倦怠感、寝汗、脱肛、胃下垂、慢性的な下痢、四肢がだるい、声が小さい、息切れ
【効果】胃の働きを活発に整え、気をチャージすることで、病後やストレス等で衰えた体力を底上げし、日常生活の活力を支えます。
【成分の効能】「補中」は消化器を助けることで、気を補い消化機能を強く賦活する黄耆(オウギ)を中心に人参、白朮、甘草は黄耆の効力を効果的に増強させ、柴胡と升麻(ショウマ)はからだ全体が下方に引かれる状態を上に引き上げることにより症状を改善します。
十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)
【主な症状】病後等で疲労感が強い、気力が低下している、手足の冷え、貧血傾向、寝汗、手足の冷え、食欲不振はあまり認めない
【効果】消化機能を補強し活動エネルギー(気)を補う「四君子湯」と血を生み貯蔵する「四物湯」が基本骨格となり気や血を補うことで症状を改善し疲労回復だけでなく、免疫力の向上も図ります。
【成分の効能】人参、白朮、茯苓、甘草で「気」を補い、当帰、川芎、芍薬、地黄で「血」を補い、更に免疫力を補う黄耆、経絡を温める桂枝が加わることで気や血を補う効果が一層強化されます。
【ワンポイントアドバイス】
1.睡眠を十分にとり、生活リズムを整える
2.筋トレや有酸素運動を取り入れる
3.バランスの摂れた食事、特にタンパク質、亜鉛、ビタミンDを積極的に摂取する。
〈亜鉛を多く含む食材:牡蠣、ほたて、カニ、赤味の肉・レバー、ウナギ、納豆、チーズ、豆腐、卵
ビタミンDを多く含む食材:サケ、サンマ、イワシ、干ししいたけ、しらす干し、卵黄など〉
4.過度な飲酒は避ける
5.趣味などでストレスを溜めないライフスタイルを心がける
次回は「女性の更年期」についてご紹介致します。
