TVS REGZA レコーダー撤退のワケ――放送波録画機時代の終焉と次世代モデルへの期待【道越一郎のカットエッジ】
TVS REGZAの販売台数シェアはこの12月、主要4社で最下位の2.0%だった。2024年までは、15%前後のシェアは確保し、3位ソニーと競っていた。しかし、24年一杯で一部製品の生産を終了。以降1桁シェアが続いていた。レコーダー市場からの完全撤退は、一昨年からの既定路線だったのだろう。現在のトップシェアは54.7%のパナソニック。シャープが36.1%で続いている。シャープのレコーダーはパナソニックからOEM供給を受けていると言われており、実質パナソニック系のレコーダーが、市場のほとんどを占めている状況だ。
なぜレコーダーが絶不調なのか。最大の要因はテレビ本体への録画機能搭載だ。現在販売されているテレビのほぼすべてで、HDDをつなげば番組録画が可能。番組を一旦録画して後で視聴する、いわゆる時間差視聴が目的なら、テレビとHDDで十分だ。別途レコーダーを買う必要はない。その時間差視聴のニーズさえ、TVerなどのオンラインサービスが代替しつつある。また、BDやDVDに番組を収め、ライブラリー化するという人も大幅に減少。レコーダーを販売しているパナソニックやソニー自ら、BDメディアの生産から撤退したほどだ。そのうえで、テレビ番組自体の魅力が薄れ、視聴者は放送番組に対する意識が「わざわざ録画して観るまでもない」と変わってきた。動画視聴の傾向も、放送波の番組中心から、好きな時間に楽しめるネット動画にシフトしつつある。
つまり、テレビの録画機能普及、TVerなどでの放送波視聴普及、番組ライブラリー化ニーズの衰退、テレビ番組の低質化、テレビ番組以外のオンライン動画の台頭と、レコーダー市場は5重苦にあえいでいるわけだ。一方「好きな時に観たいものを観たい」というニーズ自体がなくなったわけではない。テレビ本体での録画機能については、TVS REGZAでも「今後も強化していく。6〜7チャンネルの番組を一定期間丸ごと収録できる『タイムシフトマシン』搭載モデルの充実はもちろん、通常録画の機能に関しても好きな番組を自動でオススメする『みるコレ』や生成AIを使った対話機能を強化し、より簡単に便利に番組録画できる環境を整えていく」としている。
我々の動画視聴環境はまだまだ貧弱だ。TVS REGZAの「タイムシフトマシン」は、一定期間までさかのぼっていつでも好きな番組が視聴できる、という点で、放送コンテンツの楽しみ方を根本から変えた。しかし現代の動画視聴において、対象が放送番組だけではまったく不十分だ。ネット空間にも存在する、ありとあらゆる動画の中から、今観たいものを瞬時に選択できる機能こそ、必要な機能ではないだろうか。そんな機能が搭載されたレコーダーが登場すれば、市場もまた大きく変わるだろう。(BCN・道越一郎)

