インドからAI人材一挙70名採用 どこへ行く?ドスパラのサードウェーブ――永井正樹社長を直撃【道越一郎のカットエッジ】
なぜインドから? という素朴な問いに、永井社長は「これから企業でもAIが当たり前に使われていく。我々も社内のAI化は必須だ。ところが、そもそもIT人材が不足している中、AI人材ともなれば国内だけでは間に合わない。AIはスピードが速く、最新情報のソースは英語が多い。ITやAIに強く英語に対するアレルギーがないという点で、インドの学生に白羽の矢を立てた」と話す。「もちろん日本からの採用も行っているが引く手あまたで……」とも。そこで一気にインドでの大量採用を敢行したということだ。当初は100人を越える応募があり、70人に絞ったという。
一口にAI人材と言っても、具体的にどんな業務を考えているのか。永井社長は「まず社内業務のAI化から。バックオフィスや管理系の業務、例えば社内のFAQ的な業務や工場の不良解析といった業務などをAIに置き換えていく。そこから生まれた知見を活かし、社外向けの製品やサービスの開発につなげていきたい」と話す。確かにAIの進展は目を見張るものがあるが、なぜ今なのか。「やってみなければわからない部分は多い。うまくいくもの、いかないものもあるだろう。とはいえ、社内業務の半分ほどはAI化していくと思う。いかに、より早く取り組めるかが企業の競争力にもなる。やるリスクよりやらないリスクのほうが大きい」(永井社長)。
AI専門部隊で社内業務のAI化から着手し、集めたノウハウを武器に、新たなビジネス領域を切り拓いていこうという狙いだ。サードウェーブのAIビジネスは、どんな方向に進むのか。「AIの開発は普通の開発とは異なる。PDCAのサイクルを回して磨いて精度を高めていかなければならない。顧客ごとにエンジニアが必要な世界だ。さらに、AIはパブリックなAIとプライベートなAIの2層構造になる。プライベートなAIはある意味、顧客向けの井戸を掘るようなもの。我々は井戸掘りに重点を置くことになるだろう」と永井社長。各々の企業にマッチした、ある種のAIコンサルティングのような分野で可能性が高そうだ。
これまでもサードウェーブはAIに力を注いできた。製造、販売するハイスペックPCはクリエイティブ用途にも親和性が高い。さらにAIを駆使したクリエイティブ作品やプログラミングも、同社製品が活躍する絶好の舞台でもある。クリエーター支援の一環で、4年前からAIアートグランプリを開催してきた。これにAIハッカソンなどを加えた「AIフェスティバル」は毎年の恒例行事。今年も11月8日に秋葉原で開催したばかりだ。今回のAIハッカソンで優勝したのは、近未来に人類の脅威になるASI(人工超知能)を倒す「ASI DIVE」というゲーム。AIを駆使した自然言語でプログラミングする「バイブコーディング」で制作した。
実際のプログラミングは、ほとんどキーボードを使わず音声で行ったという。極めてクオリティーの高い動画も音楽もAIで生成。製作過程から素材まですべてAIを駆使して作られた作品だった。わずか5時間の競技時間でつくりあげた。永井社長は「AIハッカソンは去年まで24時間かけていた。もっと短時間でもいけるのではと、試しに5時間でやってみたところうまくいった。まさにAIハッカソンならでは。作業の効率化にAIが大きく貢献するようになったからだ」と話す。急速なAIの進化を背景に、ハードウェアに加えAIも事業の柱に据えようとするサードウェーブ。その挑戦を見守りたい。(BCN・道越一郎)

