【インタビュー】 OpenAI サム・アルトマン氏が来日。日本市場の重要性とAIの未来を語る
本記事は、ライフハッカーの記事を、Digiday Japanの読者向けに再構成・編集したものである。記事のポイント
OpenAIのCEOサム・アルトマン氏が来日し、日本市場の重要性を強調。大手企業とのパートナーシップも発表した。
AIの教育分野での役割について、学生が適応力を持つことの重要性を指摘し、新たなカリキュラムの必要性を示唆。
AGIの進化を予測し、次世代社会に向けたAI活用の方法についても触れた。
OpenAIのCEOサム・アルトマン氏が来日し、日本市場の重要性を強調。大手企業とのパートナーシップも発表した。
AIの教育分野での役割について、学生が適応力を持つことの重要性を指摘し、新たなカリキュラムの必要性を示唆。
AGIの進化を予測し、次世代社会に向けたAI活用の方法についても触れた。
カンファレンスでは、ChatGPTの新機能「Deep Research」がもたらす可能性、日本市場におけるAI活用の最前線、そしてAIエージェントとロボティクスの未来について、開発者たちの熱気あふれる議論が交わされた。イベント終了後、インタビューに応じたアルトマン氏に、日本市場の重要性やAIの未来について話を聞いた。
なぜ日本市場は重要なのか?
――今回の来日で日本に対して抱いた印象は? 日本でのビジネスに関するビジョンを聞かせてほしい。
今回の来日で、多くの方々から「今年後半や来年には何をするのか?」という質問や、「もっと良いものを求めている」という期待の声をいただいた。まさに、私たちが提供したいのはそういった価値だ。推論モデルやエージェントに対する関心と期待は確実に高まっている。そして、日本は私たちにとって非常に重要な市場のひとつであり、世界でもトップ5に入る規模を持つ。
そして今回、いくつかのパートナーシップを発表するために来日した。日本の大手企業と非常に密接に協力していく予定だ。
――日本のビジネスシーンで特に注目している業界は?
あらゆる領域に注目している。教育、医療、科学、金融、工業、製造分野といったすべての分野だ。
学生たちはAIに対応する必要がある
――教育の領域について聞かせてほしい。日本では学生がAIに頼りすぎていることを問題視する見方がある。また、利用しようとすると学生にとってはコストがかかるという側面もある。
私たちは、常に無料サービスを改善していくことをもっとも重要な優先事項の一つとしている。このほど、O3 Miniを無料プランに追加した。これは現在、世界でもっともスマートなモデルかもしれない。あなたも無料で利用できる。私たちはこれを実現できることに非常に嬉しく思っている。
私たちにとって学生はとても大切な存在だ。いつか教育版も作るかもしれない。それをより多くの人に利用してもらえるようにしたいと考えている。
――教育の現場では、どのように活用するべきか?
まずは、AIを使うことを教育する。実際に多くの教育者が、私たちの技術を本当にうまく活用している。私たちのウェブサイトにも彼ら向けのリソースがあるが、非常に効果的に機能している。
――AIが学生の学びを妨げているという声もある。
AIは社会のすべての領域で活用されるようになるだろう。そのためには誰もが準備する必要がある。AIは学生を教育するプロセス全体の中で重要な一部となるべきだ。
――今後、学生たちにはどのようなスキルセットや経験が必要か?
学生たちはAIに対応する必要がある。もっとも重要なのは、ツールに深く慣れ親しむこと、変化のスピードに柔軟に適応できること、急速に変わる世界におけるレジリエンス(適応力)を学ぶこと、そしてAIとともに進化・共進化していく方法を学ぶことだ。
――AI教育においてどのようなツールを使うべきか?
今後、AIを活用して課題を解決したり新しいものを創造するためには、新しいカリキュラムが必要になる。しかし、AIは高速で進化している。AI教育がどのようにAI自体に影響を与えるかについては、私たちもすべての答えを持っているわけではない。現在進行中の変化として見られるのは、プログラミングの授業が大きく変わっていることだ。AIがコードを書けるようになってきており、数年後にはいまと同じ方法でコードを書くことはないだろう。そのため、「もはやプログラミングを教える意味がない」と言う人もいる。
2026年には、すべてのコードを書けるAIが存在すると仮定しよう。もしそうだったらプログラミングの授業で何を教えるべきか? プログラミングの授業の意味は何か?
私たちはこれまでも多くの変化を経験してきた。パンチカードから低水準言語、高水準言語へ。そしていま非常に高度な言語を使っている。しかし、プログラマーとして学ぶべき概念や、ツールの使い方、コンピュータを思い通りに動かす方法は依然として重要だ。
私が大学に通っていた頃にも、「10年前なら必須だったことが、もう必要がない」ということがたくさんあった。この変化の速さを考慮し、今後も変化が続くことを前提に考えるのが正しいアプローチだと思う。

AIとともにつくる次世代社会
――これまでに多くの製品やサービスが発表されてきたが、AGI(汎用人工知能)が目標だとして、今後数年間でどのようなものが登場するか?
GPT-3からGPT-4への進化は世界を驚かせた。GPT-4からGPT-5も同様に大きな飛躍となるだろう。これらのモデルは驚くべき能力を持っている。もしかすると、GPT-5やGPT-6の頃には「もうこれ以上の知能は必要ない、すでに私より賢い」と感じるかもしれない。その時点で重要なのは、それをどのように統合し、使いやすくするかだ。音声モード、キャンバス、ビデオなどのすべての機能を一つのモデルに統合できるかどうか。モデルがウェブ検索をすべき時、リサーチプロジェクトに取り組むべき時、コードを書くべき時、音声モードに切り替えるべき時を自動的に判断できるようにすることが次の大きなマイルストーンになるだろう。
――AIの倫理や規制についても多くの議論がある。私たちがAIとともにつくる次世代社会に対応するために何をすべきだと考えるか?
私たちがAIを世界に提供している理由の一つに、「AIとともに進化する必要がある」という考えがある。AIを観察し、適応し、それがどこでうまく機能し、どこで機能しないのかを見極め、どのように管理し、活用していくかを考えることが重要だ。そのためには、グローバルな対話を続けることが最善の方法だと思う。
――日本人はガジェットが大好きだ。OpenAIから新しいデバイスは?
いまのところ共有できる情報はない。まだ少し時間がかかると思うが、皆さんが気に入る素晴らしいガジェットを作るつもりだ。
――読者にメッセージを。
日本は素晴らしい国であり、訪れるたびにその魅力を再確認している。過去3年間で6回訪問しており、そのたびに幸せな気持ちになる。AIは現在急速に進化しており、国、社会、企業、個人として、AIをどのように受け入れるかが日本にとって非常に重要だと言える。
取材/遠藤祐子
写真/Taro Matsumura
