亡くなった息子の遺体を堆肥に変える母親(画像は『Return Home Terramation 2023年1月27日付TikTok「At return homes human composting facility unique goodbyes are common.」』のスクリーンショット)

写真拡大

昨今、世界中で「自然環境を守ろう」との声があがっているが、アメリカで遺体を火葬や土葬ではなく堆肥化する「テラメーション」が注目を集めている。このほどSNSに投稿された、亡くなった息子をテラメーションで見送る家族の動画が5230万回以上も視聴され話題になっている。米ニュースメディア『New York Post』などが伝えている。

【この記事の他の写真を見る】

米国内の中でワシントン州は2019年に他の州に先駆けてテラメーションを合法化した州である。その同州キング郡オーバーンに拠点を置く、テラメーションでの葬儀を請け負う「リターン・ホーム(Return Home)」社が、今年1月27日にTikTokに投稿した、亡くなった息子の遺体を堆肥化する家族の動画が多くの関心を集めている。

動画には、遺体を堆肥化する大きな四角い容器を囲んで故人を偲ぶ家族の姿があった。容器の中はたくさんの花が遺体を埋め尽くすように置かれていた。そして家族はその上に、さらに藁やおがくずなどの有機物を入れて容器の中を満たしていった。

動画には「亡くなった一人息子の、『堆肥にしてほしい』との願いを家族が叶える」と言葉が添えてあり、動画を目にした人たちからはこのような声があがった。

「大地に与えてもらい、大地に還る。それが生命のサイクルというものだ。」
「うちのママは『ママが死んだ後もママのチェリーパイが食べられるように桜の木の下に埋葬して』って言ってたっけな。」
「私はこれを支持するわ。私の時もこれで見送ってほしい。うちの主人は反対みたいだけど私にとって重要なことなの。」

アメリカでは、テラメーションで遺体を堆肥化する葬儀を、「グリーン葬(green funeral)」と呼んでいるらしく、動画を見た多くの人がこのグリーン葬を支持しているようだ。ところが一部の人からは「訳がわからない」「植物の餌食になれってこと?」といった疑問を呈する声も見られた。

同社の最高執行責任者(COO)のブリエナ・スミス氏(Brienna Smith)は、火葬と土葬はどちらも多大な資源を使うと主張しており、アメリカの火葬だけでも毎年25万トンの二酸化炭素(CO2)が大気中に排出されているそうだ。また同氏によると、遺体と共に容器の中に入れる材料は、アルファルファ、藁、おがくずなどを混合したものという。そして今回メディアのインタビューに応じ次のように語っている。

「60〜90日間かけて、(遺体の入った)容器の中の酸素、温度、水分量を常に監視しています。常時監視して、必要に応じ、調整することによって問題なくテラメーションを実行することができるのです。」

「そして遺族にとって大切な遺体が骨まで全て分解されたのち、その堆肥は家族の元へと送られ、彼らが適切だと思う用途に使うことができるのです。」

現在、同社のグリーン葬にかかる費用は4950ドル(約65万6000円)からで、米国内の50の州とカナダでサービスを提供しているとのことだ。

画像は『Return Home Terramation 2023年1月27日付TikTok「At return homes human composting facility unique goodbyes are common.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)