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重さを補うたくましいV8エンジン

ゼネラル・モーターズ傘下にあったロータスが得た資金は、エスプリの外からは見えない部分に注がれている。スチール製バックボーン・シャシーを覆うグラスファイバー製ボディは、真空アシスト・レジン・インジェクションという新技術で成形されている。

【画像】Jr.スーパーカー フェラーリ328 ランボルギーニ・ジャルパ ロータス・エスプリ 同時代の他モデルも 全124枚

これにより、ロータスは1日6台のボディを作ることが可能になった。ルーフやボディサイドはケブラーで補強され、サイドシルにはグラスファイバーで包まれたポリウレタンが追加され、ねじり剛性も大幅に高められていた。


ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)

そのかわり車重は増えて、1386kgある。従来的なスペースフレーム構造を取るフェラーリ328 GTSは、1325kgに留めていた。

対するランボルギーニ・ジャルパは、1407kgとさらに重たい。負荷を受け止めるスチール製ボディのセミモノコック構造という、先進的な構造を採用しているのだが。発売が1973年と少々古い、ランボルギーニ・ウラッコの発展型だったことが影響している。

そのかわり、エンジンのたくましさが補った。フェラーリの自然吸気が5500rpmまで吹け上がり、ロータスのターボが9.5psiまでブースト圧を高める間に、ランボルギーニのV8エンジンは即座に豊かなトルクを湧出させる。

右足を傾けた次の瞬間、選んでいるギアに関わらず、3500rpmから31.8kg-mのトルクが路面へ放たれる。雷鳴のような轟音に包まれながら、猛烈な加速力のなかに身をおける。荒涼とした渓谷を越えて、地平線まで目指せそうな勢いが続く。

グランドツアラーとしてのジャルパの能力

5速マニュアルのトランスミッションは、当時のカウンタックより明らかに好印象。シフトレバーの動きは他の2台ほど滑らかではないものの、ギア比はショートで、片手で心地良く変速を繰り返せる。

ステアリングのレシオはスロー。ロックトゥロックは4.2回転もあり、鋭い回頭性は得られない。超が付くほどクイックな反応のフェラーリや、ややスローでもリニアな反応のロータスと、面白い対比を生んでいる。


ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)

ジャルパのペダルレイアウトもオフセットしている。足先で操ることでの喜びは薄く、ワイルドなV8エンジンを開放するための機械的なインターフェイスでしかない。

ブレーキペダルの踏み心地は、3台で最もソフト。ボディサイズと車重を考えると、よりソリッドな感触と確かな制動力が欲しい。

これらの操縦系が、優れたシャシーバランスを宿しているという、ランボルギーニの真実を覆い隠している。実際に試せば、ドライビング体験は想像以上に甘美といえる。

高速域での乗り心地は良好。車内空間は328 GTSやエスプリ・ターボより広く、シートの座り心地も快適。とはいえ、小柄で細身なドライバー向きのレイアウトではある。

ジャルパを運転していると、グランドツアラーとしての能力をひしひしと感じる。ドーバー海峡を超えて、温かい南フランスまで走っていけそうな気になる。実際はギア比が低いため、高速走行時の車内はうるさく、燃費も伸びないのだが。

SF風スタイリングに驚くほどの快適性が融合

抑揚の強いスタイリングで、ジャルパは2台以上に強い個性を印象付ける。ベビー・ランボルギーニへの期待通りといえるが、1974年にマルチェロ・ガンディーニが提案したミニ・カウンタック、ブラーボ・コンセプトとも明らかに異なる。

その起源になったのは、ベルトーネ社が1980年に発表したアントンというスパイダーのコンセプトカー。手掛けたのはフランス人デザイナーのマルク・デシャン氏で、角張ったホイールアーチとディスク状のOZホイールが目を引く。


ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)

オリジナルのデザインでは、テール部分に加えられたスポイラーは控えめだった。だが、量産間際にカウンタック風の大げさなリアウイングが追加されたという。1984年には、丸い穴の空いたテレダイヤル・デザインのホイールがオプションで設定された。

コンセプトカーとは異なり、ジャルパのオープントップ版は実現しなかった。またベルトーネが関わった、最後のランボルギーニにもなった。

ランボルギーニの新オーナーが事業拡大のために選んだ、苦肉の策といえたジャルパだが、SF風のアバンギャルドなスタイリングに、驚くほどの快適性が融合していることは間違いない。荷室も充分大きく、パッケージングとしては成功と呼べるだろう。

良い意味で裏切るシニアなスーパーカー

対してエスプリは、1976年のS1でデザイン的な名声を掴んでいた。それを洗練させ、生産効率を高めたX180型は、モデルライフの大幅な延長に貢献した。最終的に2004年まで、軽さを追求したロータスのフラッグシップ・スーパーカーを担った。

どちらも、改めて運転する価値のあるジュニア・スーパーカーだが、フェラーリ328 GTSの鮮烈さには及ばない。背筋がゾクゾクするようなサウンドと、繊細な手のひらへの感触、全身で感じ取れるコーナリングラインは、ライバルを明らかに凌駕する。


上からフェラーリ328 GTS、ロータス・エスプリ・ターボ、ランボルギーニ・ジャルパ

小さなボディに魅力的な能力を詰め込んだ328 GTSは、従来にないほど運転しやすいフェラーリでもあった。「ジュニア」という言葉が想起させる内容を良い意味で裏切る、シニアなスーパーカーだといっていい。

1980年代のジュニア・スーパーカー 3台のスペック

フェラーリ328 GTS(1985〜1989年/英国仕様)

英国価格:4万2732ポンド(1988年時)/10万ポンド(約1600万円)以下(現在)
販売台数:7412台
全長:4255mm
全幅:1730mm
全高:1128mm
最高速度:246km/h
0-97km/h加速:5.5秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1325kg
パワートレイン:V型8気筒3185cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:269ps/7000rpm
最大トルク:30.9kg-m/5500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

ロータス・エスプリ・ターボ(1988〜1993年/英国仕様)

英国価格:2万9950ポンド(1988年時)/4万ポンド(約640万円)以下(現在)
販売台数:2281台(エスプリ・ターボ)
全長:4331mm
全幅:1859mm
全高:1151mm
最高速度:241km/h
0-97km/h加速:5.4秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:1386kg
パワートレイン:直列4気筒2174ccターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:218ps/6000rpm
最大トルク:30.3kg-m/4250rpm
ギアボックス:5速マニュアル

ランボルギーニ・ジャルパ(1981〜1988年/英国仕様)

英国価格:4万3656 ポンド(1988年時)/10万ポンド(約1600万円)以下(現在)
販売台数:410台
全長:4330mm
全幅:1880mm
全高:1140mm
最高速度:231km/h
0-97km/h加速:6.2秒
燃費:5.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:1407kg
パワートレイン:V型8気筒3485cc自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:258ps/7000rpm
最大トルク:31.8kg-m/3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル