台湾・新北市の安坑LRT、開業目前 台北市への所要時間約20分短縮へ

▽鉄道空白地帯の利便性向上へ
新店区郊外の安坑エリアを走る同LRTは、全長7.5キロ。全9駅が設けられ、十四張駅では環状線に接続する。全区間の所要時間は21分。建設に投じられた費用は166億3200万台湾元(約706億6900万円)に上る。
ラッシュ時には全線を走る列車が15分に1本、安康ー十四張を結ぶ区間車が7分30秒に1本、それぞれ運行される予定だ。
▽沿線住民からは賛否両論
だが、地元の文化や歴史を研究するグループの呉柏瑋執行長は、LRTの駅は人口密集地やレジャースポットから距離があるとして、実際の利便性に疑問を呈している。沿線にある吉祥里の林永輝里長(町内会長)も、台北市内へ向かうには2回の乗り換えが必要なことに触れ、高齢者や時間に余裕のある人は使うとしながらも、通勤族は乗らないだろうと語る。
沿線に住む高さんは、住宅街の入り口にバス停があるとし「LRTは乗り換えが多く、便利ではないし時間の短縮にもならない」と話す。大学名を冠した駅が設置される景文科技大学の学生も、校門から新店中心部へのバスに直接乗れると指摘。駅と大学の間は坂道を歩かなければならないとして「どちらかと言われれば不便だ」と厳しい意見だ。
ただ、体に障害を持つ李さんは、バスに乗るのにはリスクがあるとし、LRTの開業後は安全で便利になると期待を寄せた。
市ではLRTに接続する連絡バス4路線を開設する他、駅周辺に駐車場やバイクと自転車シェアリングの駐輪場を整備するなどし、さまざまな形で利用促進を図る方針だ。
(高華謙/編集:齊藤啓介)