掲載:THE FIRST TIMES

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Tani Yuuki(たにゆうき)への1万字にわたるロングインタビューが実現。
デビュー曲「Myra」がTikTokで話題となり、一躍ブレイクしたTani Yuukiだが、実はデビュー後に大きな壁にぶつかり悩みを抱えていたこともあったのだという。

【Tani Yuuki「もう一度」MVを元記事で視聴する】

そして、コロナ禍。誰もが思うように動けずにいた、あの時感じた葛藤や苦悩を刻み込んだのが新曲「もう一度」である。

SNSやライブなどでは披露され、ファンの間で注目を集めていた同曲、さらにここ一年のTani Yuukiの葛藤と成長について、様々な角度から語ってもらった。

■ロングヒットを続ける「W/X/Y」にTani Yuukiが今思うこと

──まずは「W/X/Y」がロングヒットを続けているわけですが、長く聴かれ続けている今の状況をどのように感じていますか?

Tani Yuuki:素直にうれしいです。「Myra」がヒットした時の現象を越える勢いで広がってくれているので。

最近聞いたんですけど、バックバンドをやってくださっているキーボードのToshiさんにお子さんが生まれまして。音楽を聴かせたら、他の曲だと泣き止まないのに「W/X/Y」だとピタって泣き止むんですって。

で、曲を止めると嫌がると。他の方のリプライでもちょこちょこそういった話を見かけるようになり、最近はこの曲に子どもを寝かしつける効果があるのかもしれないっていう説が浮上しています(笑)。

──ははは。ひょっとしたら何かしらの生理的な気持ちよさがあるのかもしれない。

Tani:「W/X/Y」では日常を歌っていて、なるべく距離の近い楽曲にしようという意識はしていたので、もしかしたらそういうものが僕の声に出た影響なのかなと思ったりしています。

今でも勢いが止まらず、たくさんの方が聴いてくださっているので本当にうれしいです。

■楽曲とアーティスト名が結びつくようになった、雰囲気の変化

──「W/X/Y」のヒットは「Myra」がTikTokでバズって世に広まっていった時とは意味合いが違う気がするんですよ。

ひとつの曲だけが広まっていくというのではなく、“Tani Yuuki”というアーティストの魅力が広まっているのかなと。そんな手ごたえや感触はありますか?

Tani:ありますね。やっぱり「Myra」の時は、さんざん「一発屋」などと言われたりもしたので…。

ありがたいことに再生数は伸びていきましたが、「Myra」の頃は僕の曲自体は知っていても「歌っている人の顔は思い浮かびますか?」と聞かれると、「いや、ちょっとわかんないです…」みたいな人も多かったように感じています。

でも、最近はやっと追いついてきたというか、楽曲と僕の名前と顔が一致してきたんじゃないかなって思うんです。Twitterで「Tani Yuuki良いよね」とつぶやいてくれている人も結構いて。

「Myra」が話題になった当初は、「Myra」で留まり、僕の他の曲を聴いてくれるような感じがあんまりなかったんですけど、今回は「W/X/Y」だけじゃなくて、他の曲も聴いてくれている印象があるし、ちゃんと僕自身に興味をもってくれているといいますか。そういった点でも「Myra」の時とは違う雰囲気があります。

──曲だけがひとり歩きするのではなく、「Tani Yuukiはこういうアーティストなんだ」「こういうメロディの気持ちよさがあって、こういう歌詞のメッセージ性や言葉の世界観を持つ人なんだ」と、ちゃんと伝わってきているのではないでしょうか。

Tani:そうですね。それこそ、だんだん「TikTokの曲だ!」みたいに言われなくなってきました(笑)。

■状況に左右されず、自分らしさを突き詰めて作った「W/X/Y」

──「Myra」が注目を集めた当時、プレッシャーのようなものを感じたりしていましたか?

Tani:感じていました。なかなか自分を知ってもらえないっていうもどかしさや曲があれだけ大きくなってしまうと、僕自身の心も追いついていかない部分もありましたね。

それにデビュー曲であれだけの反応をいただけると…やっぱり「次の楽曲をどうするか?」っていう話になるじゃないですか。

正直、制作面でもちょっと「Myra」に縛られちゃったような時期はありました。がんじがらめになりながら制作をしていた時期と言いますか。

──状況的にはまさに「W/X/Y」の巻き起こした反響が、「Myra」後のプレッシャーを覆したわけですけれど、今おっしゃった制作面でがんじがらめになっていた時期に、その壁を超えたタイミングはあったのでしょうか?

Tani:ありました。当時はあまり楽曲も発表していなかったですし、「Myra」を聴いてくれているけれど、僕自身をよく知らない人たちに向けて、どんな曲を作ればいいのかを考えていました。

“求められているのってどんな感じだっけ?”と、「Myra」に寄せようとした気持ちで曲を書くこともありましたし、そうなってくると「似たような曲ばっかじゃん」「一発屋でしょ?」といった辛辣なコメントを目にするようになり…“そもそも僕のスタイルってなんだったっけ?”みたいなところまで考え始めてしまいましたね。

で、考えに考え抜いた結果、 “(「Myra」に)縛られたまま、作る楽曲は良くないよね”って踏ん切りがつき、今の自分が書きたいように・作りたいようにやってみようとして出来たのが「W/X/Y」なんです。

──なるほど。まさに「W/X/Y」を作ったことがきっかけだったんですね。

Tani:はい。「Myra」という縛りから解放されて、よりTani Yuukiの色が出せた、より自分らしく書けたから、ああいう楽曲になったんだろうなと思います。

「Myra」は失恋の曲で暗さのある楽曲ですが、「W/X/Y」はポジティブな日常を歌った明るさのある楽曲なので、気持ちとしては対極のものが出ました。自然に、雑念なく作れた曲だと思います。

──ということは、状況に左右されず自分らしさを突き詰めて作った曲である「W/X/Y」が「Myra」を越えていったわけで、いわゆるクリエイティブな充実と求められるものが合致したということになる。まさにTani Yuukiのアーティスト性のど真ん中になったってことですね。

Tani:そうですね。心地良いというか、綺麗な形で広がってくれたなと実感しています。

■葛藤を全部吐き出せた「夢喰」

──「夢喰」(読み:ばく)はどうでしょう? それまでやっていなかったストレートなバンドサウンドの曲調ですが、同曲でもTani Yuukiらしさが出てきているんじゃないかなと。

Tani:そうですね。曲調も全然違うんですけど、ちゃんと僕らしさは出せたと思っています。

──「夢喰」を作っていた頃は、「W/X/Y」を作ったことで縛られていた時期を抜けた後だったのですか。

Tani:間違いなく抜けた後でした。「夢喰」で歌っているのは、「Myra」の時に言われ続けた“一発屋”という言葉や、学生時代に音楽活動のオーディションを受けた時に言われてきたことへの反発心です。

今はもうオーディションも受けてないですし、学生時代も終わっていますし、苦しかった時期も抜けましたが、解放された時に曲ができる場合が多いのかもしれません。

──「夢喰」の歌い出しには“「お前の番だ」耳をついた 誰の声だ? 眠れないな”という歌詞がありますよね。Aメロの部分では葛藤してる自分、悩んでいる自分の心情が描かれている。それは壁にぶつかっている時のリアルな自分の感情と結びついていたから?

Tani:そうですね。例えば、専門学校時代に一緒に同じ教室で切磋琢磨していた音楽仲間がだんだん音楽から遠ざかっていくのをSNSを通じて目の当たりにすることがあって。

そのなかには、当時一緒にバンドを組んでいた仲間もいて。それを見たのが、まさに「Myra」の後の葛藤している時期だったのもあって、なんだか「今度はお前が音楽を辞める番だ」って言われてるような気が勝手にしちゃったんですね。

実際、誰かに言われたわけでもないですし、そもそも仲間と直接連絡をとったわけではないんですけど…その人の投稿を勝手にそう解釈しちゃう自分がいたんですね。

それを“抑えても 塞いでも 消えない音”と書いたんです。そういう状態を「W/X/Y」で越えられた後に、その時に抱いていた葛藤を「夢喰」で全部吐き出せたのだと思います。

──「夢喰」をがっつりロックのバンドサウンドでやろうというのは、最初から決めていたこと?

Tani:これは決めてました。ライブを重ねていくうちに、アップテンポの楽曲が欲しくなってくるんですよね。会場が一体になって盛り上がる瞬間が必要だなと。なんで、まずアップテンポの楽曲を作ろうということから「夢喰」の制作は始まりました。

ただ、元々の原型は今年の2月ぐらいにInstagramのストーリーに投稿してまして。サビに繰り返し出てくる“100万回”というワードは、ラフに録ったギターに思いつきの言葉を乗せたその時の歌詞をそのまま使いました。

もとはミドルテンポのもっとゆっくりな曲だったんですが、ロックナンバーにしたい、アップテンポにしたいというのがあって、最終的に今の形になりました。

■「もう一度」で生々しく綴った、会いたい人に会えないもどかしさ

──では、9月21日に配信リリースされた新曲「もう一度」は、いつ頃に作り始めた曲だったんでしょうか?

Tani:これは「W/X/Y」よりも前に作っています。ちょうどコロナ禍が始まったくらい、感染した人の責任がすごく指摘されていた時期に作った曲です。

──緊急事態宣言が出て“ステイホーム”が推奨されていた時期に作った曲だったと。

Tani:そうですね。僕の個人活動とは別で、月に1~2度くらいの頻度で同じ場所に集まってWHITEBOX(オンラインアカペラサークル)の撮影をしてたんですよ。

自分の個人活動では、ひとりで制作をしなくちゃいけないから孤独との戦いで。なので、このみんなとわいわい制作できる時間が、自分の中ではすごく支えになっていて。

狭い空間ですが、ゲストハウスを借りて、みんなでわいわい撮影してたんですけど、コロナ禍になってからは感染対策の観点から集まっての撮影はやめようと…そういう時期の、会いたい人に会えないとか、支えを失ってしまったみたいなことを書いているのが「もう一度」です。

──その時の自分が感じていた孤独感や先の見えない不安が、曲のモチーフになっているのですね。

Tani:そうですね。ちょうどひとり暮らしを始めた時期も近くて、その孤独感も楽曲に落とし込んでいた気がします。

──こうやって曲にしてたことで、リアルに生々しく残ってる感じがするんじゃないでしょうか。

Tani:自分で歌っていても涙が込み上げてくるくらいには、その時のことを描いていますね。

──その生々しさがリスナーにも刺さり、音源化が熱望されていた曲でもあります。

Tani:2021年にTikTokでサビだけは公開していて、ライブでもたびたび披露はしていたので、そうやって音源化を待ち望んでもらっていたことは素直にうれしかったです。

僕自身としても、コロナ禍のことを歌った楽曲なので、なるべく早く発表したい気持ちではあったので、やっとリリースすることができて良かったです。

■Tani Yuuki節=リズムの跳ね

──おっしゃる通り、「W/X/Y」のBメロのファルセットになるところの節回しと、「もう一度」のサビの節回しは似ていますよね。僕としては、ここが“Tani Yuuki節”なんだって受け取りました。

Tani:ありがとうございます。「W/X/Y」と「もう一度」の2曲を聴いてそう思っていただけるならうれしいです。

──つまりは自分の気持ちいいメロディと節回しがそこにあるということだと思うんですね。

例えば、桑田佳祐さんだったら、サザンオールスターズのいろんな曲に“桑田佳祐さんっぽい節回し”がある。で、そういうのを“桑田佳祐節”としてリスナーは受け取るわけで。

そういうのと同じ“Tani Yuuki節”のひとつがこういう節回しなんだろうなと。

Tani:それはめちゃめちゃありがたいです。Tani Yuuki節のひとつだと思ってもらえれば。

──それを踏まえてお聞きしたいのですが、「もう一度」のサビの三連符のリズムでファルセットになるメロディは歌っていて気持ちいいのか、もしくはメロディを書いた時に手ごたえがあるのですか?

Tani:全体的に“リズムが跳ねがち”というのはありますよね。それは言葉をはめた時に気持ちいいっていうのがひとつと、やっぱり僕が得意なんでしょうね。

リズムを2分の1にしやすかったり、逆に倍のテンポにしやすかったり、言葉の要所要所の抜き差しがしやすかったりするので。

例えば、「愛言葉」も元々跳ねない曲を作っていて、AメロもBメロも跳ねてないのに、サビでいきなり跳ね始めるようなタイプの曲も結構あって。

──なるほど。ひょっとしたら、リスナーもそこに気づいてきているのかもしれないですね。

リズムの跳ねる歌のメロディと、韻を踏んだ言葉が合わさった時の生理的な気持ちよさみたいなものが、Tani Yuukiというアーティストのスイートスポットなのだと、タイプの違う楽曲が発表されることによって、ようやく輪郭がはっきりしてきたからではないでしょうか。

Tani:そういうのもあるのかもしれませんね。だから、他の楽曲も良いと言ってもらって聴いてくれる機会が増えたのかもしれない。

これは好みの話ではありますが、なんか“のぺっとしたもの”があんまり好きじゃないんですよね。跳ねたくて、気持ちいいところに音を置きたくなるんです(笑)。

あとは、音楽の専門学校に通っていた時に、周りにひねくれた友達が多くて。僕も含め、みんな単純なことをしたくない時期だったと思うんです。四つ打ちとか、跳ねずに8分音符でやることに抵抗あって。

そういうのが、今でもちょっと残ってるのかもしれませんね。でも、やっぱりいちばん大きいのは、僕が純粋に跳ねるのが好きだからだと思います。

──「もう一度」も歌詞だけ読むと絶望的と言いますか、閉塞感に満ちた曲だと思うんですけれど、その跳ねているリズムとフロウのおかげで、真っ暗なダークな曲という感じではない聴き心地がある。そのあたりにTaniさんのソングライティングのセンスを感じました。

Tani:ああ、うれしいです。ありがとうございます。

──ということは、「もう一度」を作った時に手ごたえがあったからこそ、「W/X/Y」で“自分らしいものを100%全力でやろう”となった時に、その感覚が身体に残っていたのかもしれませんね。

Tani:あると思います。やっぱり僕も「もう一度」のサビの部分が印象に残っているので。

──「もう一度」は自分の中でのどんな位置づけになると思いますか?

Tani:この曲はやっぱり、言いたいことを歌詞の中で言っていて、それ以上でもそれでもないみたいな部分があります。さっきお話した、自分の中で大きかった存在が急に奪われてしまったみたいなことが曲に出ているので。僕の中ではその当時を象徴している楽曲ですね。

■拠りどころ:WHITEBOXという存在

──「もう一度」ではWHITEBOXでの体験がモチーフになっているわけですが、改めてTaniさんのなかでWHITEBOXというのはどんな存在だったんでしょうか?

Tani:やっぱりひとつの原点ではありますね。今のSNS中心の活動を先駆けて一緒に活動しているグループなので。

中学時代はあんまり学校に通っていなかったり、高校はちょっと変わった生活をしていたり、大学じゃなくて専門学校に行ったりしていたのもあって、僕には目に見えてわかりやすい“青春の思い出”がないものの、それをWHITEBOXの活動でちょっと取り戻せていた感じがあったんですよね。

単純に、仲間がいるから頑張れるというか、人がいると孤独を感じることがあんまないので。さっきも言った通り、自分の支えになっていたところはありました。

「Myra」が出る前から活動しているグループで、根拠のない自信はあるけれど、どうなるかわからないっていう不安の中でも僕にとってはずっと光みたいな拠りどころではあります。

──シンプルに仲間としての意味合いが大きかったのですね。

Tani:はい。実は、専門学校を卒業する直前に参加したオーディション受かって、VRアーティストとしてデビューする予定があったんです。

そのプロジェクトは結局なくなっちゃったんですけれど、その時に組んでいたバンドやユニットはプロジェクト参加を理由に全部置いてきてしまったんですね。

でも、WHITEBOXはまったく別の場所で繋がっていたグループで、かつみんな各々別の活動をしていたのもあり、ここまで続けられました。

──バンドもユニットも止めた時に、WHITEBOXは続いていたと。

Tani: VRアーティストがこの先にどうなるかわからないという時も、WHITEBOXの活動はあったので、アーティストとしてギリギリ潰れないでいられました。

昔からTani Yuukiを知ってくれている人はWHITEBOXの時から応援してくれている人もいますし、やっぱり僕の音楽活動にはなきゃならない存在だと思います。

■ライブに明け暮れた2022年上半期を振り返る

──ここからはライブについても話を聞かせてください。ここまでしていただいた話とも重なる点もあると思いますが、ここ最近になってTaniさんの音楽活動の中でライブが明らかに大きな軸になっているように見えるんです。

特に今年の上半期には『Tani Yuuki Presents “LIVE LOTUS”」と銘打った4ヵ月連続の対バンライブを開催したり、『Acoustic Live Tour “reachable love song”』と銘打った地方でのアコースティックライブツアーも行いました。

Tani:ライブっていろいろあるんだなっていう学びがすごく多かったです。まずは対バンライブを振り返っていきますが、映秀。、おいしくるメロンパン、Anly、meiyo、Omoinotake、あたらよ…いろんなアーティストとご一緒できたのがありがたいです。

そもそもこれまで対バンをしたことがなかったので、すごく刺激をいただきました。それぞれのスタイルが確立されていて、自分のプレイにも反映できるものがありそうだなとか。いろんな学びがありましたね。

──共演したアーティストから学んだこと、取り入れようと思ったことは?

Tani:Anlyさんは前からライブを拝見して素敵だなと思っていたんですけれど、対バンライブの時に初めて間近で観せてもらいました。前から興味があったんですけど、これを機にループペダルを始めてみようと思いましたね。

実は一回インストアライブで実践したんです。アコースティックの演奏だったんですよけど、キーボードとギターで、ループペダルを入れて。それがいちばんわかりやすく影響を受けて吸収させてもらったスタイルですかね。

──「Unreachable love song」とか、ああいうタイプの曲は特にループペダルが合いそうな感じはありますね。

Tani:合いますね! コード進行もずっとループなのでいけますね。

──アコースティックのライブツアーはどうでしたか?

Tani:これもいろいろ大変でしたね~。大阪のライブの2曲目で、ギターの弦が切れたんですよ。で、替えの弦がなくて、サブギターもなくて、本当にどうしようっていう状況になってしまい…。

ライブを一時ストップして、MCで繋いだりしたんですけど、大阪の会場がBERONICAっていうライブハウスなんですけど、隣に練習スタジオがあり、そこにギターがたまたま置いてあったんで、代わりのギターを持ってきてもらって、なんとか事なきを得ました。

あれがなかったら…本当にどうなってたんだろうっていうライブだったので、その次の名古屋のライブが始まる前にサブギターを現地で購入しました。そういうワーストケースを想像する機会は今までなかったし、武者修行と言ってもいい期間だったと思います。

──ステージでは何が起こるかわからないし、エンターテイナーとして人前に立つ以上、その状況でどうするかを瞬時に判断して楽しませないといけない。そういうステージ度胸が必要な現場だったのですね。

Tani:そうですね。アコースティックなんで、お客さんと僕との距離がめちゃくちゃ近いのも新鮮でした。お客さんはマスクをしているので、今笑ってくれているのか、それとも困惑しているのかすらわかんないですし(汗)。

こういった出来事もそうですし、制作期間とかぶっていたこともあってスケジュール的にかなりキツかった部分もありましたが、むちゃくちゃ楽しかったです。

あと、アコースティックに関しては、僕にコロナの陽性が出ちゃったことで1ヵ月延期しちゃったのもあって、それによって来られなくなっちゃった人には申し訳ない気持ちと、延期になりましたがそれでもちゃんとツアーを終えることができて良かったです。

──いろんなライブをやることで、足腰の強さみたいものがついた感じもありますか?

Tani:そうですね。自分の中のキャパシティは回を増すごとには広がっていった実感はあります。ライブと並行して制作も動いてはいたので、そういう面でも成長できたかなって思います。

■フェスデビューを果たし、夢が膨らむTani Yuuki

──夏には『SUMMER SONIC 2022』(サマソニ)への出演もありました。

Tani:本当に最高でした! 今までのライブでいちばん多くの人が入ってくださって、ステージからの景色は圧巻でした。その日の夜に寝られなくなるくらい興奮してましたよ(笑)。

サマソニはやっぱりアーティストだったら出たいフェスのひとつではあるので、そこは純粋にうれしかったんですけど、今回はオープニングアクトとしての出演だったので、次はメインアクトで出たいですね。

そういう意味でも、あの会場であの雰囲気を経験できたのは良かったと思います。次のステップがちゃんと見えてきたという感覚もあります。

──再生回数の数字とはまったく別のところで、目の前に自分の歌を聴いている人がたくさんいる実感というのは大きいですよね。

Tani:そうですね。昨年7月に大阪でジャイガ(『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL』)にも出させていただいたんですけど、あれが初めてのフェスだったんで、何もかもが新鮮でしたし、すごく楽しくて。

でも、サマソニに出た時には一度目の経験があるので、楽しみつつもフェスの熱量みたいなものを感じることができました。2023年はもっとフェス詰めの一年にしたいなと思います。

■怒涛の2022年の進化を見せる、5大都市ツアー

──11月からは福岡、宮城、愛知、大阪、東京と5都市を回るツアー『Tani Yuuki Live Tour 2022 “UNITE”』が開催されますね。

Tani:去年回ったライブハウスも回るので、僕らの中ではソールドアウトさせてリベンジしたいという思いもあります。対バンライブとアコースティックを経て、ちゃんと成長できたって実感はあるので!

ちゃんとライブで戦えるようになった今のTani Yuukiを観てほしいしです。ライブの完成度とか、楽曲のバンドでのアレンジについても仕上げていくので、気合の入ったライブになると思います。

INTERVIEW & TEXT BY 柴 那典
PHOTO BY 橋本憲和
HAIR & MAKE UP BY 中井正人

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【リリース情報】
2022.09.21 ON SALE
DIGITAL SINGLE「もう一度」

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【ライブ情報】
Tani Yuuki Live Tour 2022 “UNITE”
11/25(金)福岡・DRUM LOGOS
12/01(木)宮城・darwin
12/13(火)愛知・Electric Lady Land
12/14(水)大阪・umeda TRAD
12/21(水)東京・Spotify O-EAST

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【Tani Yuuki】
タニユウキ/1998年11月9日生まれ、神奈川県・茅ヶ崎出身。作詞作曲、編曲、サウンドメイクを自身で行ない、ギターのみならずピアノも弾く。デジタルネイティブ世代が注目するシンガーソングライター。TikTokやYouTubeを中心に2015年8月から活動をスタート。2020年5月、 TikTokやYouTubeへ投稿した「Myra」がティーンから多くの支持を集め、自身初となった配信音源はストリーミング再生累計が1億を突破する大ヒットとなった。