こだわりぬいた“おにぎり酒場”が満を持して恵比寿にオープン!

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〆ごはんに何を食べたくなりますか? ラーメン、お茶漬け、うどん、そば……最近はパフェなんていう人もいるのでは。今年8月、恵比寿にオープンした「たなごころ」は“おにぎりダイニングバー”。そう! このお店の〆はめちゃウマな「おにぎり」なのです。

おにぎりが〆のダイニングバーが恵比寿に誕生!

恵比寿南の交差点の角にオープンした「たなごころ」。このお店のメインは「おにぎり」です。そんなのどこでもあるじゃないと思っているアナタ、意外においしいおにぎりを出す酒場は少ないのです。

しかもお米は徹底的にこだわり、仕入れは1930年創業の原宿の老舗米屋「小池精米店」と言うから味は保証済み。こちらの三代目、五ツ星お米マイスターであり、三つ星レストランのシェフたちからも絶大なる信頼を得ている小池理雄(こいけただお)さんと相談しながら毎週、長くても2週間ごとにお米を変えているというのです。使用する前に何度も浸水時間や炊き方を試し、最高の白飯を炊きあげています。

炊きたてのお米はなんと美しいのでしょう!

本日のお米は石川県産のコシヒカリ「能登姫」です。小粒で甘みとうまみが強いこのお米はもともと水分を多めに含んでいるので、気温や湿度を考えながら浸水時間の工夫が必要です。そうやって炊きあげた白飯はおひつに移していると、一気に香りが漂ってきます。揃った粒はひとつひとつしっかりと立ち、食べてみるともっちりとした粘りとコシを感じた後にブワ〜ッと広がる甘みとうまみが印象的! お米ってこんなにおいしかった?

いずれは自身で「わかむすび」というおにぎり屋さんを作りたいと修業中の館林和奏(たてばやしわかな)さん

こちらで握っている一人が、おにぎりが大好きという館林和奏さん。ご実家でお米を作っているという環境から根っからのお米好き。パン屋に比べておにぎり屋は少なく、お米の消費量が減少傾向にあるということにも疑問を抱き、おにぎりのおいしさを知ってもらいたいというのが働くきっかけとなったそう。

「3回握るだけでほろっとほどけるように心がけています。お寿司の職人技の域にまで達することができるように追求していきたいです」と話します。

スッキリと清潔感あふれる店内はカウンターと2つのテーブル席があります

「たなごころ」のおにぎりとは

愛情込めて握るおにぎりはやっぱり格別

その握り方を教えてもらいました。まず手を少し湿らせてから分量の白飯を手に取り、ハンバーグを成形するように楕円形にします。それからギュッギュッギュッと3回握って三角に仕上げます。理想とする、手に持った時はしっかりしながらも口の中ではホロホロとほどけていくおにぎりにするには、この3回の力加減次第というわけです。おひつに入れた白飯は70度前後の熱さ、それを上手に素早く握るには手を真っ赤にしながらただひたすら握り続けるのみ、近道はありません。

またこちらではおにぎり1個のサイズがテイクアウト用は150g、イートインには〆ごはんにベストな120gと決まっています。型もなく、量る訳でもない、自分の手の大きさで覚えて、ほぼ同じ大きさに仕上げるのです。

左から「高菜明太」(340円)、「雲丹バター」(550円)、「いくら」(460円)、「紅鮭」(280円)、「梅牛そぼろ」(370円)

見てください、この堂々たる姿を。おいしいお米に負けないよう、具材にもとことんこだわっています。胡麻油の香りと風味が際立つ「高菜明太」、バーナーで炙っていい感じに溶けた上質なバターが雲丹にコクとうまみを纏わせる「雲丹バター」、一緒に漬け込んだ柚子の香りがほんわり漂う「いくら」、紅鮭のフィレを焼いて柚子の皮とともにいただく「紅鮭」、鰹のうまみと山椒の香りをプラスした2種類の梅(練りと果肉)と甘辛く煮た牛肉のそぼろが最強マッチングな「梅牛そぼろ」、どのおにぎりも手に取って口に近づけるとまずは香りが鼻をくすぐります。

プチプチッと弾けるいくら、とろんとした雲丹、ふんわりな紅鮭、厳選した食材だからこその食感です

そして口にすると「えっ?」と思うのが海苔の歯切れの良さ。手で持つとしんなりしているのに食べるとスッと切れて白飯と具材を包み込んでくれるのです。すべてが一体となった食感と味わいたるや、お見事としか言いようがありません。

おつまみとお酒は、“あるとうれしいもの”だけに絞る!

「厚切りハムカツ」(680円)には「おにぎり屋のレモンサワー」(680円)

おつまみは決して多いとは言えません。でもそれは最後におにぎりをおいしく食べて欲しいから。品数はギュッと絞っていますが、ポテトサラダや梅水晶、唐揚げに鴨ロース、ワインのアテにチーズまで「これ、食べたかったんだよね」というものばかりです。塩味加減とサクサクの衣がパーフェクトな「厚切りハムカツ」もそのひとつ。果汁たっぷりの自家製レモンシロップをベースにしたちょっぴり甘めの「おにぎり屋のレモンサワー」がピッタリです。

「牡蠣の甘辛焼き」(880円)

こちらは生で食べられる新鮮な牡蠣を甘辛味の照り焼きにしています。牡蠣の独特なミルキー味と醤油の辛味が混じり合い、さらに搾ったレモンで甘辛酸の複雑味に驚かされます。牡蠣が苦手な人も「これなら食べられる!」と人気なのだそう。添えてある青唐辛子と一緒に召し上がれ。

「辛味噌もつ煮」(680円)

ガツンとニンニクを利かせ白味噌と赤味噌をブレンドしたピリ辛スープでプリプリのモツを煮込んだ「辛味噌もつ煮」は、野菜も盛りだくさんで栄養バランスも満点! 寒い日にはまずこれで食欲スイッチを入れましょう。

おにぎり愛がいっぱいのスタッフのみなさんは左から館林さん、店長の工藤大晟さん、田中和樹さん

“顔の見えるお米”の魅力を伝えたい

こちらで扱うのはどんな土地でどんな人が育てたのかがわかる“顔の見えるお米”です。そのお米の魅力を伝えたい、これが「たなごころ」の願いです。そのひとつとして、新海苔が唯一、生で食べられる12月に「ピッカピカの新米で握るおにぎりを新海苔で食べよう!」というイベントを予定しているそう。

また、12月14日からはランチ営業も開始し、ご飯とたっぷりのお惣菜に具沢山の豚汁が付いた「おむすび定食」(800円)が食べられるようになりました。

おにぎりと言えば「たなごころ」と呼ばれるよう邁進しているそう

お米、海苔、柑橘類、醤油や味噌など、食材から生まれる“香り”を大切にした「たなごころ」のおにぎり。コロナ禍で外食の機会が減ってしまった今、毎日寄れる、寄りたくなるお店は本当に貴重な存在です。


<店舗情報>
◆たなごころ 恵比寿本店
住所 : 東京都渋谷区恵比寿南1-2-6 サンポウ恵比寿ビル 1F
TEL : 03-6712-2770

※価格はすべて税込です。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

取材・文:高橋綾子
撮影:馬場敬子

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