Coincheck NFT(β版)の画面。最初にNFTの説明などもあり初心者にも親切

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2020年ごろから海外を中心にニュースになり、2021年に入ってからは日本でも大きな注目を集めるようになったNFT。NFTは、Non-Fungible Token(ノン・ファンジブル・トークン)の略で、非代替性トークンという意味を持つ。ブロックチェーン技術や仮想通貨(暗号資産)に興味のない人には、何のこと?と思われるかもしれないが、ウォーカープラスの新企画「ウォーカービズ」では、NFTが今後、自分たちの生活にどんな影響を与えるのかを調べてみた。

【画像】元SKE48の松井珠理奈と高柳明音の卒業コンサートのNFTカードを販売!

■日本でもNFTの売買ができるマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」や「nanakusa」が登場

『nanakusa』は、日本初のクリプトアーティスト登録制NFTマーケットプレイス。デジタルアート、 3Dアート、 ピクセルアート、 フォトグラファー、 ミュージシャン、 映像クリエイター、 VTuberなど、多彩なジャンルから「nanakusa」が選定した公認アーティストの作品がマーケットに並んでいて、購入者はサイトのマーケットから好きなNFTを簡単に購入できる。購入者は、イーサリアムか『Polygon』が発行するトークンのMATICのどちらかの仮想通貨で支払う仕組みだ。

マーケットには公認アーティストの作品のほか、人気ブロックチェーンゲーム『My Crypto Heroes』(マイクリプトヒーローズ)のアイテムや、人気アイドル・SKE48のメンバーのNFTカード、VTuberのNFT発行をサポートする「VtuberNFT」の作品など、NFT企業の作品も多数並ぶ。2021年6月3日からは、オークションサイトもオープン。さまざまな展開をし、日々発展している。

【各務さん】「個人的には『nanakusa』さんにとても注目しています。これは、日本のアーティストなどが簡単にNFTを発行できて、二次流通マーケットまでフォローしますよ、というプロジェクトです。

さきほど話したようなNFTのハードルを感じさせずに、アーティストがNFTを発行して、二次流通マーケットからの還元も得られるというようなところにもしっかりとフォーカスしていて、マーケットプレイスを作る上で『Polygon』(イーサリアムやその他のブロックチェーンネットワークと相互運用するためのプロトコルとフレームワークを提供するプロジェクト)を利用し、イーサリアムネットワーク上で問題になっているガス代の高騰や手数料などを抑える仕組みにもしっかりと対応をしています。

また、特許申請しているようなものは、発行者や所有者しか見られないようにする仕組みなど、さまざまなNFTの技術面をフォローアップしているので、日本の中でのNFTに関するハードルが下がるという点は注目したいところです」

■今後のNFT分野はどうなる?期待されるジャンルとは

【各務さん】「今はどんどんNFTの新規事業者が入ってきているところで、マーケティングのお金を含めた価値というのが、今のところは付いているんじゃないかと個人的には思っています。ここからは、企業だけじゃなく、個人にもっと落とし込まれるような領域になってくれば、オンライン上でよりさまざまなサービスにNFTが適合できるようになるし、価値が付いてくる。高い流動性を持ったもので取引きされるようになると思います。

日本は、マンガやアニメ、ゲームなど、コンテンツ大国と言われているので、そこはNFTととても相性がいい。今のブームをただのブームだけにするのではなく、他の国に後れをとらないようにコンテンツを伸ばしていく体制を、業界や企業、サービスと連携して取り組んでいく必要性があるのではないかと思います」

非代替性だからこそ、その価値が証明され、また発行者に二次流用で得られた金額も入ってくるというNFT。アーティストの利権も守られ、今後もさまざまなジャンルから参入されてくることは間違いない。

そして、日本初のNFTマーケットプレイスとして2021年3月に登場した「Coincheck NFT(β版)」も見逃せない。このNFTブームをさらに加速させ、日本にNFT文化を定着させるのに欠かせないマーケットプレイスだけに、しっかりと注目したいところだ。

■日本初のNFTマーケットプレイス 「Coincheck NFT(β版)」とは

「Coincheck NFT(β版)」を運営しているコインチェック株式会社の執行役員・天羽健介さんに「Coincheck NFT(β版)」の特徴や、NFTの今後の魅力や日本への期待を聞いた。

――「Coincheck NFT(β版)」を3月より提供開始しましたが、これを立ち上げた思い、きっかけなどを教えてください。

天羽さん 「当社では、2014年8月より暗号資産取引サービス『Coincheck』を提供してきましたが、次の成長の柱となる事業を探す中で、2〜3年前からNFTに注目してきました。

代替不能なNFTは、これまで価値の付かなかったデジタルのデータに価値を付けられるだけでなく、期待される利用用途は多岐に渡り、潜在的市場規模は相当に大きいと考えられます。当社の掲げる"新しい価値交換を、もっと身近に”というスローガンともリンクしていました。

また、当社の持つエンジニアリング力や暗号資産取引所運営のノウハウなども活かせる分野であるため、2020年8月よりNFTマーケットプレイス立ち上げに向け準備を進め、2021年3月に『Coincheck NFT(β版)』をローンチしました」

――「Coincheck NFT(β版)」の特徴やポイントは?

【天羽さん】「暗号資産取引サービスと一体化した国内唯一のNFTマーケットプレイスです。従来のNFT取引において課題とされていた、ネットワーク手数料(ガス代)の高騰や複数のサービスを介す取引方法などの課題を解決しており、初心者の方でも簡単に利用することができます」

――現在は、ブロックチェーンゲームの『CryptoSpells』と『The Sandbox』と連携し、『CryptoSpells』のカード販売や、『The Sandbox』のLANDの販売などを行っています。まずこの2つを立ち上げに加えた理由を教えてください。

【天羽さん】「2021年に入り、アートやスポーツなどの分野でNFTの活用が話題となっていますが、NFTは元々ゲーム業界でいち早く活用されてきました。そのため、まずは国内外で人気のある『CryptoSpells』と『The Sandbox』の2タイトルを取扱うことにしました」

――「Coincheck NFT(β版)」が立ち上がってから約3カ月になりますが、ここまでの手ごたえや、感想は?

【天羽さん】「世間的な盛り上がりもあり、多くのお客様にご利用いただいています(開始1週間で1万2000人が利用)。また、サービスの開始を記念した『クリプトスペルズ』のレジェンドカード(NFT)の発売や、当社が『The Sandbox』内で保有するLANDの販売を行いましたが、即完売しました」

――「Coincheck NFT(β版)」では、今後どのような展開を考えていますか?

【天羽さん】「『Coincheck NFT(β版)」』を活性化させるための展開としては、大きく2つあります。

1つ目は、ゲーム分野のみならず、アートやマンガ、スポーツなどあらゆる分野のNFTの取扱いを増やし、ユーザーにとって魅力的なマーケットプレイスを提供していきたいです。

2つ目は、コインチェックの子会社であるコインチェックテクノロジーズが運営するNFTマーケットプレイス『miime』と連携し、コインチェックに口座を持つ130万以上のユーザーに向けてアプローチするだけでなく、日本が誇るコンテンツのNFTを海外にも発信していく予定です。クリエイターや発行体から魅力的なマーケットプレイスにすることでNFTを充実させ、最終的にはユーザーの方々からみても魅力的なマーケットプレイスになると考えています」

――NFTの今後の魅力や日本への期待は?

【天羽さん】「NFTは日本との相性が良いと考えています。日本には、マンガやアニメなど世界に誇るコンテンツがたくさんあり、コンテンツ大国といっても過言ではありません。これらのコンテンツはNFTと相性が良く、NFT業界において日本が世界をリードしていけるのではないかと考えています」

――Coincheckも参加されている日本暗号資産ビジネス協会では、NFTビジネスのガイドラインも発表していますが、NFTが多くの人や企業に注目されることで、問題点なども出てくるのでは?

【天羽さん】「暗号資産もそうですが、残念ながらNFTも今後、世間の盛り上がりに乗じた詐欺が出てきてしまう可能性があります。信頼できるものなのか、しっかり調べた上で取引きいただくよう、注意いただきたいと思います」

――最後に読者にメッセージをお願いします。

【天羽さん】「現在のNFTになぜこんな価値がついているのか?と疑問に思う方も多いと思います。NFTはまだまだ黎明期にあり、我々も含め全世界においてまだNFTの活用事例として、何が正解かはわかっていない状況です。一方でこの新しい仕組みを活用しようと、水面下では、有名なゲームやアーティスト、スポーツ団体などでNFTの活用が検討されています。ぜひ、今後のNFTの活用事例に注目していただきたいです。また、IPホルダーの団体・企業様もぜひ、NFTの活用を検討いただければと思います」

「Coincheck NFT(β版)」では、2021年6月16日(水)から、SKE48とコラボレーションしたデジタルトレーディングカード「NFTトレカ」を販売。2021年4月10日〜11日に日本ガイシホールで開催された松井珠理奈と高柳明音の卒業コンサート全3公演で、メンバーを撮り下ろした今回限りの特別なカード「おでかけNFTトレカ」も「Coincheck NFT(β版)」のみで販売される。天羽さんが話したように、今後もさまざまなNFTの展開があるので、注目したい。

■どんどん発展するNFT。あなたにとっても身近な存在に?

NEMグループが2021年3月にローンチした新通貨「Symbol(XYM)」のブロックチェーンを使って、サッカーの元選手で"レジェンド”と呼ばれるケニー・ダルグリッシュ氏と、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティに所属するリヤド・マフレズ選手のデジタルコレクションを発行する予定があることを発表し、NFT市場に進出。

また、さまざまな人気アーティストを輩出しているエイベックスのグループ会社「エイベックス・テクノロジーズ」が、NFT事業を開始するなど、このほかにもさまざまな企業がNFTに力を入れている。2021年はまさにNFTが市民の生活圏内に入り込んでくる大きな節目になりそうだ。

【取材・文=瀧本充広】