【昔話】結末は残酷…⁉ 語り継がれる名作絵本が「子どもに伝える教訓」
大人になって、幼い頃、読み聞かせてもらった昔話を我が子に読み聞かせることがあります。その中に「これって酷すぎない?」と疑問に感じる絵本があります。
元保育士が教える!園児に読んで人気だった「おすすめ絵本」11選
『心と頭がすくすく育つ絵本の読み聞かせ』の著者の立石美津子がお話します。
猿蟹合戦
あらすじ
蟹がおにぎりを持っていると、猿が柿の種と交換しようと交渉してきた。蟹は猿から「種を植えれば柿がたくさんなってずっと得する」と言われたので、おにぎりを柿の種と交換した。
蟹が種を植えると柿がたくさんなった。そこへ猿がやって来て「柿が取れない蟹の代わりに自分が取ってあげよう」と木に登った。しかし、ずる賢い猿は自分が食べるだけで蟹には全然やらない。
更に猿は青くて硬い柿の実を蟹に投げつけ、蟹はそのショックで死んでしまった。その拍子に蟹の子どもが生まれた。
親蟹を殺された子蟹は栗・蜂、牛の糞、臼と一緒に仇討をして猿を殺す。
大人が感じること
蟹には「おにぎりと交換すれば柿の実を食べられる」と考える強欲さがある。蟹は「早く芽をだせ柿の種、出さなきゃ鋏でちょん切るぞ」と柿の芽に対して結構酷い言葉を言っている。子蟹は親蟹を殺されたことよりも、熟れた柿の実を猿に持って行かれて堅い青柿が数個しか枝に残っていないことに対して悔しがっている。蟹の子ども達は何の被害もこうむっていない栗・蜂・臼・牛の糞を誘い、猿の仇に加担させている。栗達も自分達は実害を被っていないのに何故、加わったか疑問である。近代日本を代表する小説家である芥川龍之介は“蟹は猿にした行為により、逮捕されて死刑に処せられる”という短編小説を書いているほどです。
子どもが感じること
筆者は保育園で子どもたちに読み聞かせをしていますが、次のように感じるようです。
猿はおにぎり欲しさに、柿の種を差し出し悪いヤツだ蟹は柿の種をもらって、おにぎり以上のもの(たくさんの柿の実)ができてよかった。それなのに、蟹に青柿しか投げてやらない猿はひどい皆で猿に仇討ちをしてめでたし、めでたし。悪いことをしたら猿のように痛い目にあうぞ、罰が当たるぞ■勧善懲悪・因果応報
昔話にはたいてい正直者や貧しい者が幸せをつかみ、悪者が最後に痛い目にあうことで“善が栄え、悪が滅びる”という勧善懲悪、“人は良い行いをすれば良い報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いはある”という因果応報を伝える教訓が隠されています。
今の子ども達の心にも確かに伝わるようです。
「仇討は残酷で子どもの教育上問題がある」「“目には目を歯には歯を”の精神が悪だ」という考えもありますが、悪は徹底的にやられた方が「悪いことをしてはならないのだ」という心が子ども達にしっかりと根付くからです。
『新 講談社の本 猿蟹合戦』は文章も絵もとてもリアルに描かれていてお薦めです。
浦島太郎
でも、子ども達が納得できない昔話もあります。
あらすじ
浦島太郎は、子ども達が亀をいじめているのを見て亀を助ける。亀はお礼として太郎を竜宮城に連れて行く。
竜宮城では乙姫が太郎を歓待する。しばらくして太郎が帰る意思を伝えると、乙姫は「決して開けてはならない」と玉手箱を渡す。太郎が亀に連れられ浜に帰ると太郎が知っている人は誰もいない。
太郎が玉手箱を開けると、中から煙がでて太郎は老人の姿に変化する。浦島太郎が竜宮城で過ごした日々は数日だったが、地上では300年もの長い年月が経っていた。
子どもが感じること
「どうして、浦島太郎は亀を助けたのに、お爺さんになってしまうお土産をもらったの?」
“舌切雀”の話のように欲をかいた悪役のお婆さんが、大きいつづらを選んで化け物に襲われるのならばわかるのですが、「亀を助けた浦島太郎に手渡したたった一つのお土産がお爺さんになってしまう玉手箱というのはおかしい」という訳です。
(「水中ボンベを使わないで何故、浦島太郎は海に潜れるのか?」という現実的な質問をする子も中にはいます)
こんな説
こんな話を耳にしたことがあります。
“浦島太郎は亀を助けたのだが最初からこれは元々しくまれていたことで、実は女の園で女性しかいない竜宮城の乙姫様が種付けの相手として男子を探していた。子孫を増やしていく上で外の世界の遺伝子を入れる必要もあったためその相手を探していた。
そんな時、浦島太郎が選ばれてしまった。
やがて、竜宮城で最初は喜んでいた太郎は残してきた母親のことが気がかりになり地上へ戻ると乙姫に切り出す。
乙姫は「浦島太郎を返したくはない。他の女性に渡したくはない」という思いで老人になる煙が入った玉手箱を渡し、浮気をしないようにした“
大人になってみると点と点がつながり、何だか納得できます。
『新 講談社の本 浦島太郎』こちらもお薦めです。
鶴の恩返し
“鶴の恩返し“も似たようなお話です。
あらすじ
青年が助けた鶴が美しい娘の姿になり青年のもとに現れます。娘は機を織りその着物は高く売れ貧しい青年は豊かになっていきました。
けれども、機を織る度に痩せ衰えていく娘を心配して、「決して中を覗いてはなりません」の約束を破って襖を開けてしまいます。結果、鶴の姿を見られた娘は青年のもとから立ち去ります。
悲劇から学ぶ教訓
浦島太郎も鶴の恩返しもある意味、悲劇ですよね。
子どもは様々な疑問を持つこともありますが、この両者の話は「良いことをしても、それがどんな理由であれたった一つの約束を守らなかったためにすべてを失ってしまう人間の愚かさ」を描いたお話です。
子どもは様々な疑問を持つようですが「約束はまもらなくてはならない」教訓をこの話で得ることができます。
*
昔話は現代の絵本にはない良さがあります。是非、読み聞かせてあげてくださいね。
