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VWのSUV、7車種もあった

text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

ドイツを、いや世界を代表する自動車メーカーの1つであるフォルクスワーゲン。

ゴルフやポロといった小型車が主流であったせいもあるが、昨今の世界的なSUVブームには少し遅れ気味であった。

VWのSUV。日本未導入車も含め、サイズの大きいモデルからご紹介。    フォルクスワーゲン

だが、気がつくと大きなモデルから小さなモデルまで、SUVのラインナップが増殖している。

ここでは日本未導入のモデルも含めて、サイズの大きいモデルから紹介していくことにしよう。

フォルクスワーゲン・アトラス

日本ではあまり知られていないが、VWのSUVラインナップで最も大きなモデルが「アトラス」だ。その名は、ギリシア神話に登場する神の名に由来する。

2016年に発表されたアトラスは、VWのSUVとしては初めて3列シートの7人乗りを採用している。

フォルクスワーゲン・アトラス    フォルクスワーゲン

全長5035mm×全幅1980mm×全高1770mmと、サイズはかなり大きいが北米市場ではミドルサイズSUVにあたる。

アメリカと中国で生産され、マーケットも北米や中国、ロシア、中近東などに絞られており、ヨーロッパでは販売されていない。

中国では「テラモント」の名で販売されているが、この名もギリシア神話の神「テラモン」に由来している。

VWグループのプラットフォーム戦略であるMQBを採用し、デザイン的にはオーソドックスなSUVそのものといったスタイリングだが、厚みのあるフロントマスクが威厳を感じさせる。

仕向地にもよるがエンジンは2.0Lの直4ターボや3.6LのVR6などを搭載し、横置きの4WDをメインにFFも設定されている。

クーペSUV「クロススポーツ」も

2019年には、2列5人乗りのクーペSUV「アトラス・クロススポーツ」が北米専用モデルとして発売された。

アトラスとは、アウディのQ7に対するQ8のような関係にある。中国では「テラモントX」の名で発売される。

サイズを考えると日本への導入はないと思われるが、もし導入された場合は、日産に同名の大型トラックが存在するから、アトラスの車名は使えないだろう。

フォルクスワーゲン・トゥアレグ

VWが最初に送り出したSUVが、「トゥアレグ」だ。初代は2002年に発表され、現行型は2018年にフルモデルチェンジされた3代目にあたる。

日本市場へは2代目までは導入されていたが、現行型に関しては今のところ未定だ。

フォルクスワーゲン・トゥアレグ    フォルクスワーゲン

サイズは、全長4880mm×全幅1985mm×全高1730mmと、先代よりひとまわり大きくなったが車高は少し低められた。

サイズ的にはアトラスのほうが大きいが、車格としては内外装のクオリティが高いトゥアレグのほうが上で、VWのフラッグシップSUVである。

車名は、アフリカの砂漠民であるトゥアレグ族に由来している。

トゥアレグは初代から同じVWグループのSUVであるポルシェ・カイエンやアウディQ7とプラットフォームなどを共有して開発された。

新型でも同様にMLBエボと呼ばれる最新のプラットフォームを採用し、ボディパネルにはアルミニウムも用いられている。

サイズがアップし、室内空間やラゲッジスペースが拡大されたのにもかかわらず、車重は大幅な軽量化を達成している。

エンジンは3LのV6ディーゼルターボ、4LのV8ディーゼルターボ、3LのV6ガソリンターボなどを搭載。2020年には2Lの直4ガソリン+電気モーターのプラグインハイブリッドも発表された。

フォルクスワーゲン・ティグアン

トゥアレグに続いて、2007年に発表されたVWのSUV第2弾が「ティグアン」だ。

名前は、ドイツ語で虎を意味する「ティガー」とイグアナを意味する「レグアン」を掛け合わせた造語で、ダイナミックな虎と力強いイグアナをイメージしているという。

フォルクスワーゲン・ティグアン    フォルクスワーゲン

現行型は2015年に発表された2代目。日本市場では初代から導入されており、現行型も2017年から販売され、人気を博している。

現行型ティグアンのサイズは、グレードにもよるが全長4500mm×全幅1840-1860mm×全高1675mmと、日本の街中で扱うのにも適当なサイズだ。

エンジンは、1.4Lと2.0Lの直4ガソリンターボ、1.6Lと2.0Lのディーゼルターボを搭載。駆動方式はFFと4WDが設定されている。

2020年4月には、ティグアンの世界累計販売台数は600万台を突破した。今や、ティグアンはコンパクトSUVのスタンダード・メジャーになりつつある。

2017年にはホイールベースを110mm、全長を215mm延長して3列7人乗りも設定した「ティグアン・オールスペース」も発売され、北米仕様はすべてこれになり、中国市場でも人気が高い。

2020年にはビッグマイナーチェンジが予定されており、プラグインハイブリッドも追加されるようだ。

フォルクスワーゲンTロック

ティグアンと、あとで紹介するTクロスの間を埋めるべく2017年に発表されたモデルが、日本未導入の「Tロック」だ。

その名は、トゥアレグ、ティグアン、テラモントとVWのSUVは頭文字が「T」で始まること(アトラスは北米でもテラモントの名で発売予定だったが、ネーミングの響きなどで変更されたらしい)、ロックはSUVの活躍するフィールドである岩場のロックから名づけられた。

フォルクスワーゲンTロック    フォルクスワーゲン

サイズは全長4234mm×全幅1819×全高1573mmと、ゴルフの車高を高めてSUV化したような大きさだ。

だがスタイルはティグアンのようなオーソドックスなSUVではなく、Cピラーを少し寝かせたクーペSUV的なものとなっている。

Aピラーからルーフをボディカラーとは別にペイントした2トーンのフローティングルーフデザインも採用されている。

エンジンは、1.0Lの直3ガソリンターボ、1.5Lと2.0Lの直4ガソリンターボ、1.6Lと2.0Lの直4ディーゼルターボを搭載。駆動方式はFFと4WDが設定されている。

Tロック・カブリオレも

2019年には、ボディを2ドア化したオープンモデルの「Tロック・カブリオレ」も登場した。SUVのオープンモデルは先代のレンジローバー・イヴォーク以来だから、注目を集めている。

日本市場にも最適なサイズと思われるTロック、2020年の半ばには日本導入が予定されているが、カブリオレの導入に関しては未定だ。

フォルクスワーゲンTクロス

2018年に発表され、翌2019年には先に発表されたTロックよりも一足早く日本市場に導入されたのが、現行のVWのSUVラインナップでは最もコンパクトな「Tクロス」だ。

その車名は、Tロック同様に「T」はVWのSUVであることを意味し、クロスはクロスオーバーに由来している。

フォルクスワーゲンTクロス    フォルクスワーゲン

TロックがゴルフをSUV化したモデルなら、Tクロスは弟分のポロをSUV化したモデルといえる。

サイズは、全長4115×全幅1760×全高1580mmと、全幅で3ナンバーサイズとなるがコンパクトで取り回しが良い。それでもルームスペースやラゲッジスペースは十分に広く、実用性も高い。

エンジンは、1.0Lの直3と1.5Lの直4のガソリンターボ、1.6Lの直4ディーゼルターボを搭載。駆動方式はFFのみ。日本仕様は今のところ1.0Lのみの設定だが、パワー的に走りに不満はない。

VWグループ・ジャパンではTクロスを「T(てぃー)さいSUV」というキャッチコピーで売り出し、サイズは小さくてもVWらしいクオリティの高さと、充実した装備で日本市場でも人気を呼んでいる。

フォルクスワーゲン・ニーヴァス

まだ正式発表はされていないが、VWのSUVには「隠し球」があるようだ。

2020年4月にティーザー画像が公開されたモデルの名は、ニーヴァス(Nivus)。「New Urban Coupe(ニュー・アーバン・クーペ)」がコンセプトだというが、これが果たして正式車名なのかは、まだわからない。

フォルクスワーゲン・ニーヴァス    フォルクスワーゲン

ティーザー画像から想像すると、ポロをベースにしたクーペSUV、つまりTクロスのクーペ版ということになりそうだ。

全長と全幅はTクロスと同じくらい、全高は少し低められるだろう。Cピラーの傾斜角は、今までのどのVWのSUVより強められているようだ。

2020年中には正式発表される予定だが、新型コロナウイルス感染の影響次第では、2021年以降にずれ込む可能性もある。

日本市場、小型SUVが増殖中

軽自動車からスーパープレミアム・ブランドまで、SUVのブームは今もなお世界的に続いている。

日本市場のインポートカーでも、多くのブランドがSUVの豊富なラインナップを展開している。

VWのSUVたち    フォルクスワーゲン

少し出遅れた感のあったVWも、ラインナップを広げてライバルたちに追いつきつつあるようだ。

日本市場では、日産キックスやトヨタ・ヤリス・クロスなど、コンパクトSUVのニューモデル登場が控えている。

もともと小型車を得意とするVWであるから、TクロスやTロックも鎬を削り合うはず。

世界でも、日本でも、しばらくはVWのSUVに注目しておいたほうが良さそうだ。