フランスならばここまで“炎上”することはなかっただろうとプラドさん。実際、マクロン夫妻は「不倫略奪愛」だったが、それでも国民に支持され、大統領に(時事通信フォト)

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 頻繁に巻き起こるネットでの芸能人の炎上騒動。最近では不倫が発覚した東出昌大(32才)と唐田えりか(22才)が激しくバッシングを受けた。唐田がインスタグラムで“匂わせ写真”を投稿していたことも、世間の怒りを増大させたともいわれている。

 また、“タピオカ騒動”の後に離婚した木下優樹菜(32才)は、インスタグラムでサッカーの乾貴士選手(31才)に対して、秘密のメッセージを送っていたという疑惑が浮上。「既婚女子板」に常駐する“鬼女”と呼ばれるネットユーザーのターゲットとなり、投稿に隠された裏側が捜査されることとなった。

 ネットユーザーと炎上のターゲットとなる芸能人たちは、基本的に“無関係”である。では、どうしてそんな無関係な人たちが、ここまで怒りを持って東出や唐田、木下を攻撃するのだろうか。精神科医の片田珠美さんはこう話す。

「芸能人という恵まれた立場にあり好き勝手できてうらやましいという気持ちもあるでしょうし、匂わせという自慢行為に対する嫌悪感もあるでしょう。

 ですが、いちばんの理由は、正義を振りかざして誰かを叩く行為に大きな快感が伴うからではないでしょうか。不倫は悪、自分は正義、世直しをしている気分を味わえるのです。

 ニーチェの言葉に“正義の起源はルサンチマンにある”というものがあります。ルサンチマンとはフランス語で“恨み”という意味。つまり、正義を振りかざしている時は、裁判官を装ったただの復讐の鬼で、相手に苦痛を味わわせないと気が済まないということ。正義の出どころには羨望や怒りが潜んでいることが多いのです。加えて、SNSの発達もルサンチマンの正当化に一役買っている。最初はおっかなびっくり書き込んだとしても、多くの同調者が現れれば味方を得た気分になり、“正義のため”という感情はより強くなるのではないでしょうか」

 不倫そのものよりも、子供や家族の絆を軽視したことが問題と話すのは、家族問題評論家の池内ひろ美さんだ。

「ここまで女性たちの怒りを買ったのは、家族や夫婦は、子供を育てるための大切なつながりなのに、夫が自分たちの子供を守らないで、妻の妊娠中から若い女性と何年間もつきあっていたところではないでしょうか。結婚しても恋心が芽生えるのはしょうがないことは、世の中の妻や母も多分にわかっている。しかし、ただでさえ家族の絆が希薄になっている現代において、家庭を顧みない東出さんの姿勢に危機感を覚えたのでしょう」

 動物行動学者の竹内久美子さんは、家族の在り方の変遷に加え、日本人の遺伝子の傾向も関連しているのではないかと分析する。

「2015年、イギリスと北米で計500人以上の男女を対象に、性的な関心に関するアンケート調査を行い、SOI(ソシオセクシュアル・オリエンテーションの度合い)が研究されました。人間には“まじめ型”と“浮気型”の2大勢力があることが検証されたのですが、男性は浮気型がやや多く、女性はまじめ型がやや多いという結果になった。

 日本ではこうした調査はまだされてないので、統計には表れていませんが、コーカソイド(欧米人)はモンゴロイド(アジア人)よりも睾丸が2倍も大きいという点から、日本人は男女ともに“まじめ型”が多くなる可能性が高い。精子の製造元である睾丸が発達するのは、1人の女性=卵子を巡り、複数の男性=精子が争い、勝利するために質の高い精子を製造する必要があるためです。このような状況から、不倫や浮気は許せないという風潮が強いのかもしれません」

 実際、フランス在住の評論家で『フランス人の性 なぜ「♯MeToo」への反対が起きたのか』(光文社新書)の著書があるプラド夏樹さんは、東出も唐田も、フランスならば干されることはまずないと断言する。

「フランス人には、ここまで炎上する日本人の感情はまったく理解できません。オランド前大統領は、自身の不倫報道に“プライバシーを報道されるのは遺憾”と堂々と述べていましたし、マクロン現大統領は不倫愛を実らせて結婚したわけですが、国民は彼に一票を投じました。結婚はもともと財産を子孫に継ぐための制度で、恋愛は結婚の枠外でする歴史がありましたから、不倫に対して“長い人生ではそういうこともある”という、寛容な土壌ではありますね。むしろ、フランスでは不倫よりもセックスレスの方が、いちばんのタブーなのです」

※女性セブン2020年2月27日号