18歳の久保が代表とクラブの両輪でフル稼働するのは……。怪我のリスクを考えると、何らかの制限を設けるべきだろう。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 23日にレアル・マドリードからマジョルカへレンタル移籍した久保建英。その彼の日本代表2連戦(9月5日=パラグアイ、10日=ミャンマー)招集がクラブからフライング発表され、2022年カタールワールドカップ・アジア予選初参戦が確実になった。
 
 6月のコパ・アメリカの際、「彼は本当に頭が18歳とは思えないほど賢く、自分の立ち位置や方向性を考えられる選手」と目を細めた森保一監督にしてみれば、手元に呼べるチャンスは逃したくないという思いが強いはずだ。
 
 しかしながら、今年9、10、11月、来年3、6月と年に5回あるインターナショナルデーで毎回、久保を呼び続けるというのは、やはりリスクが高い。ご存知の通り、彼はマジョルカ入りしてまだ1週間足らずで、公式戦にも出場していない。仮に9月1日のバレンシア戦でリーガ・エスパニョーラ・デビューを果たしたとしても、その後の立場が保証されるわけでもない。今はチーム適応を最優先に考えなければならない時だ。
 
 加えて言うと、18歳という若さと成長期が完全に終わっていないフィジカル面を考えれば、ビセンテ・モレノ監督も使う時間やタイミングを制限する可能性が少なからずある。だからこそ、日本代表側もそのあたりを踏まえつつ「制限付き招集」を考えていく必要があるのだ。
 実際、10代のうちに日本代表デビューした若き天才が順調にエースの座に上り詰めた例が皆無に近いことを、我々は忘れてはいけないだろう。98年フランスワールドカップ直前に17歳で初キャップを踏んだ市川大祐(清水エスパルス普及部)にしても、18歳でデビューした小野伸二(FC琉球)にしても、いい時期に怪我をして理想的な成長曲線を辿れなかった。近年でも山田直輝(湘南)、米本拓司(名古屋)、宮市亮(ザンクトパウリ)といった輝かしい才能を秘めた10代選手が負傷によってまさかの足踏み状態に陥った。
 
 久保を直々に指導したことのある日本サッカー協会のコーチングスタッフも「能力は間違いなくA代表レベルだが、怖いのは怪我」と言っていたが、それを防ぐためにもクラブと代表をどう掛け持ちしていくかを真剣に模索しなければいけない。

 森保監督とマジョルカのモレノ監督が直接、話し合いの場を持てればベストだが、それが叶わないにしても、協会とクラブが意思疎通を密にして、久保をどう成長させるのか、代表には年に何回呼べるのかといったことを一緒になって探るような良好な関係構築を図るべきだ。そうすれば、両者が18歳の若きスター候補を酷使して怪我をさせたり、コンディション不良に陥らせたりすることは避けられるはず。日本サッカー協会と森保監督は今こそ過去の教訓を生かす必要があるのだ。
 さしあたって9月2連戦の久保参戦は確定している。森保監督も積極的に起用しようとするだろう。この10日間で彼が今、どのような状態にあるのか、マジョルカでの立ち位置がどうなりそうかをヒアリングし、今後のプランを話し合っておくことができれば、先々につながる。久保の未来が輝かしいものになるように、森保監督には今回の貴重な機会を最大限有効活用してほしいものである。
 
取材・文●元川悦子(フリーライター)