ビジネスは「急がば回れ」 最後に損をするのはこんな人

写真拡大

ビジネスが最たるものだが、どんなことでも目標や夢に着実に近づいて実現させていく人もいれば、意欲的に働いてももう少しのところでその達成を逃してしまう人もいる。

両者に違いはあるのだろうか。もしあるとしたら、どんな違いなのだろうか。
『女性が仕事で夢を叶える! 心磨き7レッスン』(後藤勇人著、みらいパブリッシング刊)はこのテーマに迫っていく。キーワードは「マインドセット」だ。

今回は、著者の後藤勇人さんに、ビジネスで成功する人とそうでない人のマインドセットの違いについてうかがった。

■ビジネスは「急がば回れ」 損をするのはこんな人

――『女性が仕事で夢を叶える! 心磨き7レッスン』について。これまで朝の過ごし方や時間術についての著作が多かった後藤さんですが、今回マインドセットをテーマにした理由を教えていただければと思います。

後藤:私は女性の起業ブランディングの専門家として、女性が立ち上げたビジネスのサポートをしたりコンサルティングをすることが多いのですが、どうしてもクライアントでうまくいく方とそうでない方が出てくるんです。

両者の違いは何かと考えた時に、マインドの部分なんじゃないかという思いは前々からありました。スキルやノウハウは時代によって変わりますし、アウトソーシングもできますが、心だけはそれができません。この部分を変えないと結局はうまくいかないので、今回こうして本の形にしてマインドセットの作り方について伝えようと思ったんです。

――成功するかしないかを分けるのはスキルやノウハウではなくマインドなんじゃないかという問題意識は前々からお持ちだった。

後藤:そうですね。ただ、こういうことってコンサルティングの現場でクライアントご本人を前にした状況ではとても言いにくいんです。「マインドに問題があります」と面と向かって言われたら、人によっては心を閉ざしてしまうので、本として出す方が心に伝わるんじゃないかと思いました。

――望んだ人生を手に入れたり、ビジネスで成功を収めるうえで、マインドセットの比重はどれくらいだとお考えですか?

後藤:ほとんど100%でしょうね。自分でも知らないうちにうまくいくマインドセットになっている人もいますし、一度失敗したり、なかなかうまくいかない中でそういうマインドセットに変わっていく人もいます。

――たとえば技能や戦略、ノウハウが揃っているのにビジネスがうまくいかない人は、マインド的に何がいけないのでしょうか。

後藤:よくあるのが、常に「損得」でものを考えていたり、他人を利用してでも自分がのし上がるという意識が強すぎるパターンです。

ビジネスはわかりやすくいえば「急がば回れ」です。自分を生かそうと思うと、時に相手に我慢を強いることになります。それが続けば相手から嫌われてしまうでしょう。その時、自分のビジネスのサポーターを一人失ってしまうわけです。

――理屈ではわかりますが、なかなかできないことかもしれません。後藤さんご自身も「急がば回れ」という意識でやってこられたのでしょうか。

後藤:それが、正反対なんです。20代の頃に1000万円借りて起業して、毎月の返済が生活費以外で59万円ありましたから、「急がば回れ」なんて言っていられませんでした。だから、エゴイスティックでしたし、ガツガツしていましたね。

――そのマインドが変わったのはなぜですか?

後藤:もともとは山梨でヘアサロンの経営者として事業を始めたのですが、あの世界は技術がモノを言うといいますか、お客さんから「あの人に切ってもらいたい」「あの店で切りたい」と言ってもらえれば勝ちなんです。だから、あまりマインド云々ではなかったんですね。

ただ、そこから手を広げて別のビジネスをしたり、本を出したりと、仕事の場が東京になることが増えた時に、山梨で店舗ビジネスをやりながら東京でも、というのは時間的に厳しかったんです。となると、東京では自分だけでやるのではなくて、ビジネスパートナーと組んで、手を借りてやらざるをえないわけで、その過程でガツガツしていた部分は少しずつなくなっていったのかもしれません。

起業にエゴの力は必要なのですが、それだけではいつか壁にぶつかる。その時にこれまでとは違ったマインドが必要になるんだと思います。

――本書では、「行動」「お金」「人間関係」など、7つのテーマに沿って成功する人のマインドセットについて解説されています。たとえば成功する人とそうでない人で、「行動」についてのマインドセットはどう違うのでしょうか。

後藤:一番わかりやすいのはスピードでしょうね。何でもそうですが、人間モチベーションが高い状態を長くキープするのは難しい。だから、瞬発力が大事といいますか、モチベーションが高い時に畳みかけるように行動しようというマインドの人の方が結果が出やすいんです。

――「行動のレッスン」のところでの「自分らしさで可能性をつぶすな」が興味深かったです。「自分らしさ」にこだわることの弊害はどんなところにあるのでしょうか。

後藤:ある程度ビジネスでもなんでも自分の形ができて、成功のラインに乗っている人だったらいいのですが、これから何か始めたり、まだうまくいっていない人の場合、あまり自分らしさにこだわりすぎると、他人の叡智を素直に受け入れられなくなってしまうんですよね。

「自分らしさ」を追求すると、自分がやりたいことしかやらないとか、自分が共感したものに対してしか動けないというところに行きつきやすい。それは伸びていく時期にはマイナスに作用しやすいものです。

――確かにそうかもしれません。

後藤:厄介なのは、誰の言うことも聞かず、自分のやり方だけを信じて突き抜けてしまった「天才」のような人がごく一握り存在することなんです。凡人がこういう人の言うことを真に受けてしまうのは危険です。凡人には凡人の勝ち抜き方があるということは知っていただきたいですね。

(後編につづく)

【関連記事】

「自己」がAIに置き換わる時代の文学とは? 作家・片山恭一が考える「AIがもたらす人類の未来」(後編)
「チームの雰囲気がよくない」を打破する! マンガ『宇宙兄弟』に学ぶチームビルディング本