臨時閣議で発言する韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領(写真は青瓦台の動画から)

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日本政府が2019年8月2日、韓国を「ホワイト国」から外すと閣議決定したことで、日韓関係のさらなる悪化は避けられない情勢だ。

閣議決定を受けて韓国文在寅(ムン・ジェイン)大統領は同日午後に臨時閣議を開き、冒頭発言が異例の生中継で公開された。文氏は、日本の決定が「非常に無謀」だとして「深い遺憾」を示した。その上で「加害者である日本が居直って大口を叩く状況を」なとど2回にわたって日本を「加害者」と呼びながら批判した。日本による朝鮮半島統治からの解放を祝う「光復節」を2週間後の8月15日を控える中での発言で、今回の問題と歴史問題をリンクさせ、国内世論にアピールする狙いも透けて見える。

「強制徴用判決に対する明白な貿易報復だ」

日本政府は、ホワイト国指定除外と、元徴用工に対する判決は別問題だとの立場だ。文氏は

「どのような理由の言い訳をしても、日本政府の今回の措置は、私たちの最高裁判所の強制徴用判決に対する明白な貿易報復だ」

と主張。その上で、

「『強制労働の禁止』と『三権分立に基づいた民主主義』という人類の普遍的価値と国際法の大原則に違反する行為だ。日本がG20会議で強調した自由貿易秩序を自ら否定する行為だ。個人請求権は消滅していないと、日本政府自身が明らかにしてきた過去の立場とも矛盾する」

などとして、ホワイト国除外と徴用工問題がリンクしていることを前提に、日本が国際法違反だとする主張を展開した。

「歴史問題」と「それ以外」を切り分ける外交政策だったが...?

文氏は、歴史問題とそれ以外を切り分ける「ツートラック外交」を標ぼうしてきたが、それを覆すかのような発言も出た。

「加害者である日本が居直って大口を叩く状況を決して座視しない」
韓国と日本には、不幸な過去の歴史に起因する深い傷がある。しかし、両国は長い間、その傷を縫い、薬を塗って包帯を巻き、傷を癒そうと努力してきた。ところが、今になって加害者である日本が、むしろ傷をえぐるなら、国際社会の良識が決して容認しないことを直視すべきだ」

この直後に文氏は、国民に向けて

「私たちは今年、特別に3・1独立運動と臨時政府樹立100周年を記念して、新たな未来の100年を決意した」

とも呼びかけている。

韓国メディアによると、市民団体が8月3日と10日に安倍政権を批判する集会を開催予定で、8月15日には大規模な「ろうそく集会」が企画されている。文氏の発言を受けて、これらの集会で対日批判が加速する可能性が高い。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)