福田正博 フットボール原論

森保一監督が率いる日本代表がコパ・アメリカに出場する。その選手の招集が難航するなか、元日本代表の福田正博氏が今回の森保ジャパンのメンバー選考について考察した。

 日本代表は6月14日からブラジルで行なわれる南米選手権(コパ・アメリカ)への出場が決まっているが、森保一監督はその招集メンバーに頭を悩ませていそうだ。コパ・アメリカでの代表活動は、日本は招待出場ということもあるが、すべての選手を招集する「拘束力」がない。FIFAの規定に「1年間で大陸別選手権1回に参加可能」という派遣ルールがあるため、アジアカップに出場した主力選手を招集できない可能性があるのだ。


南米の強豪とコパ・アメリカで対戦する日本代表の森保監督

 Jリーグのクラブにとって、リーグ戦の真っただ中にチームの主力を引き抜かれることは痛手だ。また、欧州クラブはシーズンオフに選手には休んでほしいもの。そのため、日本代表と各クラブの間で綱引きがあると聞く。その交渉次第では、森保監督が望む陣容で出場することが難しくなりかねない。

 それでも森保監督は、こうした状況で最善の道を模索しているはずだ。また、コパ・アメリカ直前にある親善試合(トリニダード・トバゴ戦、エルサルバドル戦)では、コパ・アメリカのメンバーとは異なる陣容で臨む可能性もあるわけだが(※)、こうした事態は異常なこととも言える。森保監督が日本サッカー界の事情を十分理解しているとはいえ、監督のところにシワ寄せが行く状況はできるかぎり避けてほしいところだ。

※5月23日にキリンチャレンジカップ、24日にコパ・アメリカのメンバーが発表される予定

 今回のコパ・アメリカは、グループリーグでウルグアイ、エクアドル、チリのフル代表と戦える貴重な舞台。そんななか、同時期に開催されるU−20W杯(ポーランド/5月23日〜6月15日)で主力として期待されていた久保建英(FC東京)や安部裕葵(鹿島)、GKの大迫敬介(広島)を、A代表に抜擢するとも言われている。

 彼らが才能豊かなのは疑うべくもない。だが、ブラジルに彼らを連れて行くことになれば、それはアジアカップに出場した主力メンバーを招集できないことへの対応策という側面も見え隠れする。久保や安倍の所属クラブとしては、貴重な戦力である彼らの招集を認めたくない部分もあったと思うが、もともとU−20 W杯でポーランドに派遣する予定だった選手の行き先がコパ・アメリカのブラジルになったという考え方もできる。

 久保や安倍、大迫といった若い選手にとっては、U−20W杯であっても、コパ・アメリカであっても、国際経験を積める絶好の機会であることは間違いない。彼らがA代表に加われば、ほかの選手がU−20W杯メンバーとして経験を積むチャンスにもなる。若手の強化として考えれば、理にかなっていると言える。

 しかし森保監督は、U−20日本代表を率いる影山雅永監督が、久保や安倍らを軸にしてチームをつくってきたことを知っているだけに、当初はその主力をA代表の戦力とは考えていなかったのではないだろうか。つまり、それほどコパ・アメリカのメンバー選考に苦心しているということでもある。

 コパ・アメリカの大会期間中、J1もJ2もリーグ戦は継続され、選手を引き抜かれたクラブには、戦力が補強されるわけでも、勝ち点が与えられるわけでもない。クラブとして所属選手の招集に難色を示すのは当然のことだ。現場を預かる監督は、成績が悪ければ職を失う可能性がある以上、派遣する選手数は最小限に抑えたいと考える。それは、プロとして当たり前のことだろう。

 コパ・アメリカの時期にJリーグを中断できていたら…と考えてしまうが、いずれにしても、この状況を改善するために、サッカー協会と各クラブの調整がうまく進むことを願いたい。

 また、東京五輪開催年の2020年は、そこに出場するU−23代表チームが集まって練習する時間の確保が難航しているという。そのため、五輪への強化の一環という大義をつくり、東京五輪世代の選手を中心にコパ・アメリカのメンバー構成をするという考え方もある。それをベースにして、海外組の招集可能な選手も呼ぶという手もあるだろう。

 たとえば、シント・トロイデンの鎌田大地や遠藤航、冨安健洋、同じくベルギーリーグで活躍する森岡亮太や、ドイツ2部でプレーする井手口陽介を招集して状態をチェックすることを検討してもいいのではないか。

 もちろん、1月のアジアカップで招集していない欧州組を呼べる可能性は残っており、たとえば、昌子源(トゥールーズ)をオーバーエイジ枠候補として若手主体の日本代表チームに合流させれば、東京五輪への強化にもつながる。

 コパ・アメリカというせっかくの真剣勝負の場で、森保ジャパンがひとつでも多くの成果を手にできるよう、日本サッカー協会が最大限の努力をしてくれることに期待をしたい。