食べるスピードは、果たして仕事の能力と関連があるのだろうか。日本電産の永守重信会長兼社長が11月25日、京都学園大学で行われた特別講演会で「早く弁当を食べられる人の方が仕事ができる」語ったという。

産経新聞が26日に報じたところ、ネットでは困惑の声が相次いだ。

「速く食べられる人は決断力や行動力が備わっている」

永守氏は講演で、新入社員が英語が話せなかったり、経済を理解していなかったりすることがあると苦言を呈し、「入社後に育てるのではなく、大学で教育して即戦力で入社してもらう必要がある」と語った。また仕事ができる人の条件として、

「速く食べられる人は決断力や行動力が備わっており、仕事ができる人の条件は決断力と行動力だ」

と話したという。決断力と行動力が有能な人の条件、というのは理解できるが、速く食べられることと2つの能力の間にどのような関係があるのかはよくわからない。

しかし同社では、実際に早食いかどうかが採用基準になったことがある。『日本電産 永守重信社長からのファクス42枚』(川勝宣昭著、プレジデント社)によると、採用試験の際に、スルメや煮干しなど噛み応えのあるおかずばかりを詰めた弁当を何も言わずに学生に出し、10分以内に食べた学生だけを無条件で採用したことがあるという。

こうした「早食い有能説」を唱える人は一定数おり、2ちゃんねるやヤフー!知恵袋でも「早食いのやつって有能だよな。時間を無駄にしないし」「食事にやたら時間をかける奴は優先順位をつけるのがヘタな傾向あり」といった発言が散見される。

「早弁で採用したから英語も経済も駄目な学生になったのでは」

永守氏の発言が報じられると、ネットで話題に。「日常の動作がのろい人は仕事ができない傾向があるというのなら一部同意する」「前いた業界はこれだったし実際早い人は仕事が出来た」という声もあったが、「何言ってんのか分からない」「控えめに言ってクソ」と批判的な声が多い。

「早弁で採用したから英語も経済も駄目な学生になったのでは」という指摘もあった。英語や経済に強い学生が欲しいなら、食べる速さではなく、筆記試験を重視すればよいだろう。

また、

「仕事はわからんが、味わって食べる人のほうが幸せな人生を歩めそうではある」
「健康に良くないから早食いはやめておけ」

というもっともな声も出ていた。

早食い発言には耳を疑うが、永守氏は「働き方改革」に積極的な経営者という顔も持っている。これまで永守氏自身は元旦以外1年364日働くという「モーレツ主義」を掲げていたが、M&Aで欧米企業の買収を繰り返すうちに、効率良く働くことの重要性に気が付いたという。

今年1月には、日刊工業新聞に対して、「無駄を減らして生産性を上げないといけない」「社員はこれまでの残業時間を英語学習などに使ってほしい。残業代が減った分はボーナスなどで社員に還元する」とも話している。