目に見える以外の部分も図抜けている。橋本がそう称えるのが永遠の背番号10、中村だ。(C)SOCCER DIGEST

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 こんにちは、今回もよろしくお願いいたします。意外とたくさんの方に読んでもらえてるようで嬉しいです。
 
 今回は少し趣を変えて、自分自身が感じてきた若手の才能について書いてみようと思います。
 
 ガンバ大阪時代、僕は本当に才能豊かな選手たちと共にプレーできました。その際はあまり若手の才能について考えることはなかったんですが、今回、サッカーダイジェストの担当者さんとお題を考えている時に「どう見極めるのか?」という話になり、少し考えてみることにしました。
 
 基本的に僕自身の感覚として、プロの選手になれる時点で才能はあると思っています。
 
 その中で、プロ選手になれたきっかけはいくつかのパターンに分類されるのかなと感じるので、まずはジャンル分けしてみたいと思います。それが我が子や、プロを目ざしている育成年代の子どもたちの参考になれば嬉しい。自分自身に置き換えて、どのジャンルからプロを目ざすべきかを考えていただけたら、面白いかなと思います。
 
 ジャンルは大きく分けて5つあります。
 
 まず1つ目は、誰が見ても分かる才能の持ち主。言ってみれば、プレーをさせたら一目瞭然で「巧い!」と分かるパターンですね。
 
 これにピッタリ当てはまるのが、元ガンバで現フォルトゥナ・デュッセルドルフの宇佐美貴史選手。体型的にはずば抜けた感じはないんですが、ボールを蹴らせたらセンス溢れる動きやボールタッチなど、サッカーを観てきたひとからすればすぐに分かるレベル。天才と言われる選手です。
 
 セレッソ大阪の柿谷曜一朗選手も同じ。僕がセレッソにいた頃、柿谷選手と長く一緒にプレーしている酒本憲幸選手が、中学3年生の時に彼が練習生として上がってきた時の衝撃はすごかったと言ってました。トラップやキックの質など、すでにプロ顔負けのレベルにあったようです。
 
 ふたつ目は、体格やスピードに優れた選手。
 
 こちらも見れば分かりますよね、技術不足の選手が多い印象はありますが、やはり、技術重視でプロになった選手より図抜けた体格やスピードを持っています。
 
 体格のいい選手は、まず面と向かった時に「デカイなぁ」と言われてますし、姿勢が良かったり身体を使ってプレーするのが本当に巧い。スピードのある選手は、パッと見では分からないですが、練習が始まってステップワークなどを見ると明らかに動きの切れの部分が違うし、なによりそこに自信を持って動いています。
 
 こうした選手に対してはよく「荒削り」という表現が使われ、原石扱いされがちです。あくまで個人的な見解になりますが、体格がいい選手では、鹿島アントラーズの植田直通選手がこのタイプだと感じました。スピード系では、水戸ホーリーホックの前田大然選手ですね。
 
 ふたりとも荒削りな部分はありますが、植田選手はリオ・オリンピックでの経験を経て、鹿島でレギュラーとして研鑽を積みながら、着実に荒削り感が取れてきたと思います。まだまだ伸びしろがありそうで、成長していくのではないでしょうか。前田選手は今季の水戸でブレイクしていて、進境著しい。聞けばまだ19歳! 戦術的理解や動きの質などはこれからどんどん洗練されていくのではないでしょうか。
 
 3つ目は、ポジションニングやサッカーの理論を理解して、それをピッチ上で実践できる能力に長けた選手です。
 
 監督の言っている意図を読み取り、ピッチの上で表現したり、味方選手にアプローチしたり、それだけでなく、言われたことを丁寧にこなせるメンタリティーを持っている(精神的に大人であり、冷静沈着な)選手です。