居酒屋「鳥貴族」池袋サンシャイン通り店店長 吉井美香氏●東京都出身。19歳のとき、バイトとして「鳥貴族」阿佐ヶ谷店で働いたのがきっかけで入社。赤羽店、渋谷文化村通り店の店長を歴任後、2013年2月より現職。

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人には同じ24時間しかないのに、なぜ仕事の進み具合に差が出るのだろう。成果を挙げる人たちの話を聞いてみると、業界は違っても、段取りに対する共通の意識が見えてきた。

■150席を完璧に仕切る29歳女性店長

17時に店が開くや、平日にもかかわらず団体客が早速入ってくる。150もある客席はどんどん埋まり、店が一気ににぎやかになっていった。

「大体、平日は19時、週末は18時には満席になりますね。GWは開店20分で全席が埋まって、23時まで常にお客様にお待ちいただく状態でした」

そう語るのは、8月現在で全国に380店舗ある焼鳥屋チェーン・鳥貴族で売り上げナンバーワンを誇る池袋サンシャイン通り店店長・吉井美香さんだ。以前店長を務めていた店でも売り上げ1位に輝いた実績を持つ。

居酒屋勤務というと“長時間の過酷労働”のイメージが一部にあるが、吉井さんの1日はダラダラしていない。6パターンある勤務体系の一例をあげると、正午に出勤し、仕込み、予約確認、シフト作成の店長業務など、その日の準備を16時を目標に片付ける。休憩は早めに済ませ、あがりの23時にはスパッと帰宅。会社が労務管理を徹底する方針であり、仕事さえ終わっていれば、終業予定の30分前に帰ることもある。

とはいえ繁盛している居酒屋の現場はハードだ。続々と来店する客。ひっきりなしに舞い込む注文。自らも業務をこなしながらスタッフに指示を出すのは「選手をやりながら監督も務める感覚」だという。そこで大事になるのは「瞬時の判断」だ。

「自分の中で優先順位が決まっているので、何が起きても迷うことはないですね。優先処理するのはトラブルです。ドリンクをこぼしてしまったときは、調理中でもほかのスタッフに任せて飛んでいきます。そこは責任者が出ていかないと解決しませんから。初期対応はスピードが命。トラブルが大きくならないように先手を打って、クリアな状況にするのが私の仕事です」

“出るところは出る”方針で現場を回す一方、個人の力量のみでは店を切り盛りできないことも知っている。担当する店の規模が大きくなるにつれ、「自分1人が120%の力を出しても店は回らない。それよりも50の力で周りの教育をしたほうが、120にも150の戦力にもなる」と考え方が変わった。

マニュアルを使って指導する時間もあるが、スタッフには現場で頻繁に声をかけて改善していく。キッチン、ホール、会計を全員が横断的に担当するシステムの中、忙しい週末は各自得意なポジションに配置。若干余裕のある平日は慣れない業務を任せて、使いながら育てていく。

酒も手伝って、突発的なトラブルが起きやすい居酒屋では、すべての段取りを事前に立てられない部分もある。予測不可能な出来事が多い環境においては、「全体の戦力の底上げが究極の段取り」なのかもしれない。

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【QUESTION】一度に複数の仕事を頼まれたら、どうすべきか?
自分の中で優先順位をつけて、動くべきことから即動きます。トラブルになりそうな案件が最優先。あとは自分一人で背負わず、周りにお願いして片付けていくことですかね。普段から協力してもらう態勢を整えるために、課題がクリアできないスタッフには繰り返し指導します。うちの店は半分が外国人ですが、伝わらなくてもあきらめません。私、しつこいんで(笑)。

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(鈴木 工=構成 向井 渉=撮影)