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意図するところを見事なまでに表現

基本的なインフォメーションを再確認しながら身を委ねた『フェラーリ296スペチアーレA』のコックピットには、まさにこのモデルの意図するところが見事なまでに表現されていた。

【画像】センセーショナル・スーパーカー!『フェラーリ296スペチアーレA』 全31枚

低く設計されたダッシュボードやドアパネルにはレザーの代わりに、これも軽量なアルカンターラが広く採用されており、固定式のバックレストと切り欠きのあるクッションを備えた、あたかも骨組みのようなバケットシートのホールド性は抜群。かつ長距離走行でも耐え難いほど不快というわけではない。


フェラーリ296スペチアーレA    AUTOCAR

マラネロのデザイナーが好むフライングバットレススタイルのリアデッキデザインは確かに美しいが、実用的な観点から指摘するのならば後方の視界に悪影響を及ぼすことは否定できない。

フロアにはカーペットは敷かれておらず、その代わりにアルミニウム製のパネルが備わる。靴が濡れていると滑りやすく、逆に乾いていると引っかかりやすいのが気になる。

ステアリングホイールのスポークには、誤って触れても反応してしまう静電容量式のスイッチではなく、物理スイッチがレイアウトされおり、その機能性は十分に満足できる。

カーボンパネル張りのドアには収納スペースは一切ない。荷物はシートの後方や、スーパーカーとしては十分な広さを持つフロントのトランクに収めることになる。

鋭く官能的なサウンドが単純に欠けている

エンジンをスタートさせる時。それは伝統的にハードコアの極みともいえるキャラクターを与えられたスーパーカーが、最も威圧的にその存在を主張する瞬間ともいえるだろう。

だが296スペチアーレAは、必ずしも刺激的なサウンドでそれを見る者を湧き立たせるモデルではない。多くの先代モデルが持っていた魅惑的であり、また時には威圧的な脅威が混じり合ったあの雰囲気を、完全には醸し出せていないのだ。


フェラーリ296スペチアーレA    AUTOCAR

たとえ最初にドライブモードを『パフォーマンス』や『クオリファイング』にセットすることを忘れていなくても(そうでなければ、このPHEVのスーパーカーのエンジンはスタートしないかもしれない)、マラネロ製の120度V型6気筒ツインターボエンジンには、鋭く官能的なサウンドが単純に欠けている。

もちろんフェラーリは、この296スペチアーレAでは3D音響シミュレーションシステムを活用して、そのサウンドをより強調することを試みているのだが、それでもなお296スペチアーレAの音感は優しすぎるように聞こえてしまう。

圧倒的なトルク感に満ち溢れたレスポンス

しかしその控えめな印象は長くは続かなかった。その第一の理由はハイブリッドパワートレーンがもたらす、圧倒的なトルク感に満ち溢れたレスポンスにある。特に低速ギアではその傾向は顕著だ。

トラフィックの流れに隙間が見えたり、強烈な加速が必要になったりした時、その瞬間を逃さないようにと考える必要はほとんどない。8速DCTの驚くべきシフトスピードのおかげで、パワートレーンを一瞬にしてあたかも巻き上げられたバネのような臨戦態勢へと持ち込むことが、いとも簡単にできるのだ。


フェラーリ296スペチアーレA    AUTOCAR

システム全体で880psというというパワーはやはり感動的ですらある。オンロードでこの296スペチアーレAの運動性能を完全に引き出すのは当然のことながら難しい。V型6気筒ツインターボエンジンの最高出力である600psは8000rpmで、またレブリミットは8500rpmの設定だが、このモデルの走りを楽しむためにそこまで高回転域を使う必要はなさそうだ。

エンジンのフィーリングは花火が炸裂するようなというよりも、むしろあらゆる領域でフレキシビリティに富むという印象が強い。もちろんレブリミットに向けてスムーズに回転数は上がっていくが、最高峰のパフォーマンスエンジンのような機械的な野性味が感じられないのは残念だ。

ターボの吸気音や排気音などは確かにドラマチックではあるものの、例えばポルシェ911GT3RSの水平対向6気筒やランボルギーニ・レヴエルトのV型12気筒のような、背筋がゾクゾクするような燃焼のドラマは、明らかに欠けている。

オンロードでは非常に神経質で反応が鋭い

前で紹介した固定レートを持つダンパーは、オンロードでは非常に神経質で反応が鋭い。このモデルにあまり適していない道路では、たとえそれほど速く走っていなかったとしても、常に注意深く車体の動きを把握しておく必要があるといってよいだろう。

その印象が一変するのは平坦な路面での高速コーナリングだ。そのシャシー性能はまさに驚異的で、ターンインの時にはフロントタイヤは路面をしっかりと捕え、ステアリングを切った瞬間から素早く、そして正確なコーナリングを開始する。


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ここから先はドライバーが望むとおり、生き生きとしたハンドリングと卓越したコントロール性を発揮してくれる。サーキットでのハンドリングについては断言できないが、今回約500マイルにも及ぶかなり変化にとんだオンロード走行の経験から推測するに、それは驚くほどに素晴らしいだろう。

296スペチアーレAは、道路というものをある意味でかなり明確にふたつのタイプに分けてしまう。ひとつはこのモデルがその秘めたパフォーマンスをフルに発揮し、その驚異的な性能を存分に披露できる道路。そしてもうひとつは身体が揺さぶられ、突き飛ばされ、結局は走りを楽しむ気力を失ってしまう道路だ。

イギリスでは40万ポンド強

296スペチアーレAは、圧倒的な速さを瞬時に発揮し、適切な状況や条件下でドライブすればきわめて魅力的な走りを見せてくれる。サーキットでのドライブはまだ行っていないが、このモデルにふさわしいほど高速で流れるようなオンロードでも、それはセンセーショナルなスーパーカーとして感じられるだろう。

参考までに296スペチアーレAのプライスは、イギリスでは40万ポンド(約8520万円)強。オプションを追加すれば今回の試乗車のように50万ポンド(約1億650万円)を超える価格になることは珍しくはない。


フェラーリ296スペチアーレA    AUTOCAR

これはクーペの296スペチアーレよりも5万ポンド(約1065万円)弱高く、また296GTSのアセット・フィオラノ未装着車との比較では50%近く高価な設定となる。この数字はフェラーリのスペシャルモデルが、同社の忠実なカスタマーやスーパーカー市場で、いかに高く評価されているのかを物語るものといえる。

〇:非常に優れたレスポンス性能 滑らかな路面での驚異的な敏捷性とバランス ほとんどデメリットを感じさせない、特別な雰囲気の格納式ハードトップルーフ

×:先代のV8のようなドラマチックさがないV6ハイブリッドパワートレイン 凹凸のある路面には向いていないサーキット走行向けサスペンション オプション抜きで約40万8000ポンドは、目が飛び出るほど高額

フェラーリ296スペチアーレAのスペック

価格:40万8391ポンド(約8699万円)
試乗車価格:51万1551ポンド(約1億897万円)
パワーユニット:2992ccV型6気筒ツインターボ付きガソリンエンジン+モーター
トランスミッション:8速デュアルクラッチ・オートマチック
ドライブトレイン:縦置きミドシップ、eデフによるリア駆動
最高出力:870bhp/8000rpm
0-62mph加速:2.8秒
最高速度:205mph
バッテリーサイズ:7.45kWh
燃費:31.7mpg
CO2;218g/km
モーター出力:178bhp/232lb ft
電動航続距離:16マイル
ライバル:マクラーレン750Sスパイダー、シボレー・コルベットZR1、ランボルギーニ・レヴエルト


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