ガソリン価格に振り回されない! 補助金なしでも買いたい400万円切りのEV『シトロエンe-C3』は、昔ながらの自動車っぽい【森口将之が解析】
今年に入って、EVを続々と日本に投入
イスラエルとアメリカがイランを攻撃したことをきっかけに、日本に輸入される石油の9割以上が通過するというホルムズ海峡が封鎖された。
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これを受けて、日本ではそれ以外のルートでの原油確保を進めているようだが、世界的な石油不足ということもあって、価格が上がるのは避けられないようだ。

シトロエンC3に設定されたEVモデル『e-C3』。 平井大介
ガソリン価格も例外ではないだろう。今は補助金によってレギュラー170円前後に抑えられているものの、補助金に膨大な金額をつぎ込んでいて、出口戦略という言葉があちこちで聞かれるようになっているからだ。
それを予想していたわけではないだろうが、ステランティス・ジャパンは今年に入って、EVを続々と日本に投入してきている。5月に行われたフレンチブランド合同試乗会では、僕が乗った4台中3台がEVだった。
それが『DS No8』、『プジョーE-3008』、そして今回ご紹介する、5月14日に発売されたばかりの『シトロエンe-C3』だ(編集部注:正式にはeの上にトレマが入ります)。
ボディはハイブリッドになった現行型と共通
車名でお分かりのように、ボディは現行型でハイブリッドになった4代目C3と共通。外観はリアにある車名のバッジ以外は、昨年秋に発売されたハイブリッド車と同じ。全長4015mm、全幅1755mm、全高1590mmのボディサイズ、2540mmのホイールベースも同数値だ。
グレードはベーシックな『プラス』(価格399万円)と、フロントフォグランプや2トーンカラー、アロイホイールを装備した試乗車の『マックス』(同425万円)。日本はEVの販売がいまひとつということを考えれば、ハイブリッドと同じ2グレード構成というのはインポーターの意気込みを感じる。

試乗車は、フロントフォグランプや2トーンカラー、アロイホイールを装備した『マックス』。 平井大介
車両重量増加も200kgぐらいに抑えてあるので、タイヤサイズも205/50R17で変わらない。アロイホイールのデザインも共通だ。
インテリアもハイブリッドとほとんど変わらないが、スライドレバータイプのドライブセレクターには、Dレンジの他にCレンジがあることに気づく。試してみたら、回生ブレーキが弱めになった。クルージングという意味のようだ。
シートはシトロエンではおなじみのアドバンストコンフォートシートで、体を優しく受け止めてくれる掛け心地にほっこり。リアは少しフロアが高くなっているような気がするものの、ルーフも高めということもあって、身長170cmの僕は不満なく過ごせた。
車内に収まった印象は、すっきりしている
車内に収まった印象は、2026年に新車で買えるコンパクトカーとしては、すっきりしているなあということ。
メーターはインパネ奥のスリットの中に収まっていて目立たないし、スイッチの数も少なめ、トリムの樹脂も上質に見せるような技が込められているような感じは受けない。

いい意味で、上質に見せる技が込められているように感じない室内。 平井大介
でもインパネにはファブリック調の素材が貼られ、ドアのアームレストにはメッセージの入ったオレンジのタグが付けられるなど、シートの座り心地を含めて、豊かさや遊び心を届けようという意志はしっかり伝わってくる。
欠点を潰すことが先決の日本的なものづくりでは、なかなか生まれてこないタイプの空間だ。心地よい椅子がひとつあるだけで、冷たく感じた部屋がぐっと暖かく感じることを、フランス人は理解しているのだろう。
EVとしては軽い1470kgのボディ
フロントに積まれ前輪を駆動するモーターの最高出力は113ps、最大トルクは115Nm。ハイブリッドの101ps/205Nmと比べると、最大トルクの数字が心許ないと感じたが、実際は低回転から十分な力を発揮してくれるためか、EVとしては軽い1470kgのボディを不満なく加速させていく。
乗り心地は、ハイブリッドとボディを共用するEVの多くがそうであるように、重厚になった。段差や継ぎ目の伝え方はまろやかになり、シトロエンならではのプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)の揺れは落ち着きが加わった。

シートはシトロエンではおなじみのアドバンストコンフォートシート。 平井大介
でもドライブしていてもっとも印象的だったのは、こういった試乗記っぽい内容ではなく、昔ながらの自動車っぽいと感じたことだ。
快適なコンパクトカーという本来の性能が響く
多くのEVは、エンジン車よりも先進的なイメージを持たせようと、装備も先進的になりがちだ。そちら方向を競っている感さえある。ところがe-C3には、そういうところがない。例えばクルーズコントロールもアダプティブじゃない。
でも車内はシンプルながらドライではないし、乗り心地は水準以上だし、シトロエンらしく直進安定性は問題なし。先進装備が控えめである分、快適なコンパクトカーというクルマ本来の性能が響いてくるのだ。

フロントに積まれ前輪を駆動するモーターの最高出力は113ps、最大トルクは115Nm。 平井大介
復活が噂されている『シトロエン2CV』がそうであるように、『これで充分』という気持ちにさせてくれるし、シンプルな成り立ちだからこそ、乗り心地や直進性がありがたいと感じる。
それはハイブリッド車でも基本的に同じだが、EVだからこそ、普遍的な美点が強調される。
オフィシャルサイトには早速、「もうガソリン価格に振り回されない」というフレーズが並んでいる。確かにこのご時世、EVが気になるという人はいるはず。でもそんなに先進的でなくてもいいという人には、補助金なしでも399万円からという価格とともに、響く1台になるはずだ。
