ceroとSuchmosの記念ショット

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写真:対バン相手はcero!『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』ライブ写真

Suchmosがリスペクトするアーティストを招いて行う対バンツアー『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全9都市の同公演レポートを『THE FIRST TIMES』独占で実施中。今回は6月4日、北海道・Zepp Sapporo公演をレポートする。

■これぞ「生モノ」を意味する「ライブ」だと体感する、『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』

5月14日からスタートした『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』も、いよいよ折り返し。長年、“音楽ライター”という仕事をやらせてもらっているが、全国ツアーの全都市に取材で入るというのはなかなかない仕事だ。ライブごとに異なる音が鳴り、異なる言葉が飛び出し、異なるストーリーや意味が浮かび上がり、書き残すべきことが生まれるのはSuchmosだからこそだとつくづく思う。

このツアーでは毎回セットリストが変わっていて、それも「おおまかな流れは固定であって、その中の1、2曲を変える」とかではなく、この日はなんと1曲目から変えてきた。しかもステージを重ねるごとに、たとえば「DUMBO」の《I Don’t know what you want to do》のビルドアップ後の爆発の威力が増していたり、今日の「STAY TUNE」はOK(Dr)が盆踊り的なリズムから入ってみたり、「GAGA」のビートミュージックからサイケデリックな熱量へと流れていくゾーンのトランス感がどんどんやばいことになっていたり、ライブアレンジの変化やバンドの進化がまったく停滞しない。

最近は、バンドが同期やクリック(事前にプログラムされた生演奏以外の音や、プレイヤーの耳の中で流すテンポがズレないためのガイド音)を使うのは当たり前のことになっているが、“6人の生音だけを鳴らす”というやり方を貫いているSuchmosだからこそ、その日によって演奏が変わるし、変えることができる。毎週Suchmosのライブを観ているこの1ヵ月、“これぞ「生モノ」を意味する「ライブ」だよな”と、バンドのライブの至高のあり方を体感している。

そして対バン相手を、ビジネスやブランディング的な打算で選ぶことを絶対にしないのもSuchmosスタイル。だからこそ毎回、ゲストごとに書き残すべきストーリーや意味が確実に生まれている。

■5ヵ所目となる札幌公演にはSuchmosが“兄貴分と慕う”ceroが登場

5ヵ所目となる札幌公演も、非常に意義深いものになった。この日のゲストは、cero。

ceroが結成した2000年代から、震災が起きた2010年代前半、両者が交わりJ-POPシーンを変えた2010年代後半、コロナ禍以降の2020年代、さらには音楽のタスキを未来へと繋ぐ、濃厚なストーリーがまるで時系列のように描かれた2時間半だった。

2019年末、雑誌『Rolling Stone Japan』にて行ったcero・高城晶平(Vo、Gu、Flute/「高」ははしごだかが正式表記)とSuchmos・YONCE(Vo)の対談で、高城がceroが誕生した2000年代を“牧歌的”という言葉で表現していたことが印象に残っている。それにはふたつの意味があり、社会的に当時は今よりもまだ“満ち足りている”という空気が世の中にあったことに加え、音楽シーン的に“スキルよりアイデア、ディスカッションの時代”であったことを指す。

この日最初にステージに立ったのは、そんな2000年代に出てきたcero。高城が『Suchmos The Blow Your Mind』と書かれたバックドロップに向かって一瞥し、挨拶をしてから、2012年にリリースした「マイ・ロスト・シティー」で幕を開けた。「マイ・ロスト・シティー」は東日本大震災のあとに書かれたもので、活気や主柱が崩れた都心部や福島第一原子力発電所の事故後のエリアなどについて言及しながら、《ダンスをとめるな!》と歌う楽曲だ。ceroが登場した2000年代から2010年代前半の激動を、まずは立ち上がらせてみせるようだった。

2曲目は、2015年にリリースした「Summer Soul」。この曲が収録されたアルバム『Obscure Ride』は、J-POPの転換期を作ったといっても過言ではないほど音楽史に残る名盤だ。インディーズバンドであり、典型的なJ-POPを鳴らしていたわけではないceroがフジテレビ『SMAP×SMAP』に出演し、SMAPと「Summer Soul」をセッションしたこともターニングポイントとして象徴的な出来事だった。そして、Suchmosが鮮烈なデビューを飾ったのも2015年である。

当時は、嵐をはじめとするジャニーズ、LDH、秋元康プロデュースグループなどがオリコンランキングを占めていた時代だった。そこで2015年にceroが『Obscure Ride』でオリコンランキング最高8位獲得、2016年にSuchmosの「STAY TUNE」の大ヒット、2017年にSuchmosが『THE KIDS』でオリコンランキング首位を獲得したことによって、文字通りヒットチャートのカラーを塗り替えた。

具体的にいえば、ディアンジェロのネオ・ソウルやロバート・グラスパーがジャズやヒップホップなどをクロスオーバーさせた動きを日本に持ち込み、ジャズ、ファンク、ヒップホップなどのブラックミュージックをJ-POPの大衆音楽へと昇華し、それを国内に根付かせたのがceroやSuchmosの功績だった。

2010年代後半のceroとSuchmosの関係を振り返ると──2016年1月30日、東京・LIQUIDROOMでのオールナイトイベント『HOUSE OF LIQUID』で共演し、そこでceroのライブでの音の鳴らし方に刺激を受けたSuchmosが、翌年2017年1月27日、東京・新木場STUDIO COASTにて行った『The Blow Your Mind vol,2 “THE KIDS” Release Party』のゲストにceroを召喚した。『The Blow Your Mind vol,2 “THE KIDS” Release Party』は私も現場で観ていたが、cero・高城が「Suchmosが出てきてくれたおかげで自分たちのやるべきことがはっきりした」というエポックメイキングな言葉を残したことは忘れ難い。ceroがSuchmosにタスキを渡した瞬間だった。その後ceroは、リズムや歌の構造をディープに探求する路線へと舵を切った。その中で生まれたのが、3曲目に演奏した「WATERS」だ。

■“自分の人生を生きろ”と歌う、Suchmos

ceroとSuchmosの違いも、この日くっきりと浮かび上がった。またそこからは、時代が求めるものの変化を読み解くことができるようにも思う。4曲目に演奏した「Orphans」のように、2018年にリリースしたアルバム『POLY LIFE MULTI SOUL』までのceroは、詞で物語を語り、音楽で逃避やパラレルワールドを描くことを得意としていた。

いっぽうで、cero以降──高城の言葉を借りるなら“牧歌的”な世の中が陰り始めた時期──に出てきたSuchmosは、この日最後に演奏した初期曲の「Life Easy」からずっと、“自分の人生を生きろ”という価値観を歌い続けてきた。

2011年以降、現実世界はどんどん閉塞感が増している。2020年以降、なおさらだ。そんな中で、人々は、少しばかりの逃避では快楽を得られなくなってしまった。シビアな世界を生き抜くための補助となる力強い音楽か、もしくは二次元や人間の顔出しがなく、現実から目を背けて思いっきり逃避に浸からせてくれる音楽・エンタメか、そういったものが求められているように思う。

ceroが後半に演奏したのは「Nemesis」「Fdf」「健忘者たち」と、2020年代に入ってから発表した、物語性のある叙事的リリックからは脱却した曲たちだ。その方向転換は、音と歌詞の関係性をさらに探求していくために取った選択だとは思うが、Suchmosの姿勢と重ねると、世の中の変化とも照らし合わせて語れるのではないかとライブを観ながら考えていた。

この日高城はSuchmosのことを“頼もしい後輩”と呼んだ。MCにて、「Suchmos、呼んでくれてありがとうございます。あんなに頼もしい後輩はいないですよ。『The Blow Your Mind』をceroと札幌でやろうというのは、もともと2020年に予定していたんだけど、それがなくなっちゃって。すごく楽しみにしていたんだけど、しょうがないかあと思っていたら、まさか『もう1回やりませんか?』と言ってくれて。こんなに嬉しいことはない。約束を守る男たちです。そういうSuchmosにはリスペクトしかないですし、そういうSuchmosが好きな皆さんにもリスペクトしかないです」と語った。

それに対してYONCEは自身のステージで、「今日明日と、勝手に…いや、勝手にでもないような気もする」とわざわざ言い直して「“兄貴分と慕っている”ceroと2日間一緒にやらせてもらいます」と両者の関係性を表現。

「高城さんがSuchmosの株を上げてくれたんじゃないかなと思いますので、もうちょっと気持ち悪い感じでいこうかな」と言葉を続けて、そこからはより自由になっていった。

「DUMBO」はYONCEが足を開いて両手を突き上げるところから始まり、その後も名前のない動きのオンパレード。

「TOBACCO」のイントロでは「吸う、吐く」というアドリブや実際に息を吸って吐く音を乗せて、そのあとのメンバー紹介では「フェンダーテレキャスター! に、操られているTAIKING! マイクの奴隷、YONCE!」と叫ぶなど、遊び心満載。

■未来のバンドマンを鼓舞する言葉でライブを締めるYONCE

アンコールでは、YONCEが北海道のコンビニ・セイコーマートのTシャツを着て登場し、メンバーが「今日イチ盛り上がってる」「今日いちばんの歓声」とこぼすほど、北海道のオーディエンスから大歓声が上がった。ここで物販のTシャツに着替えて宣伝するのがあるあるのパターンだが、Tシャツを売ることよりも自分の「面白い」や「やりたい」を優先するのがSuchmosらしい。

そしてYONCEは、未来のバンドマンを鼓舞する言葉でこの日のライブを締めた。それはまるで、Suchmosがceroから受け取ったバトンを、次の世代へと渡すようだった。

「1,500人とか、そのくらいのサイズの会場を埋めるのは、2年間くらい夜勤バイトをして、その間ひたすら練習とか曲を作ったりとか、うんざりしたり落ち込んだりしないといけない。もっとかかるかもしれない。もはや達成できない人もいっぱいいる。なのであなたの街にある100人くらいしか入らない、そしてまったく名前も知らないバンドのライブを、よかったらぜひ観に行って。そしてこれがいいのか悪いのかまったくわからないけど、でも俺にとって何か特別かもしれないという、そんなバンドなりグループなりアーティストを見つけてくれたら嬉しいなと思います。ライブハウスをよろしくお願いします」

ceroがSuchmosを“頼もしい後輩”と呼ぶように、今日のフロアから、もしくはオーディエンスが足を運んだ別のライブハウスから、Suchmosが“頼もしい後輩”と呼びたくなるミュージシャンが出てくるのだろう。こうして2000年代から現在までの音楽と社会を表現し、そして未来へとつなぐ貴重な一夜は完結した。

TEXT BY 矢島由佳子
LIVE PHOTO BY Hana

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■セットリスト

『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』
2026.06.04@北海道・Zepp Sapporo
cero セットリスト

01.マイ・ロスト・シティー
02.Summer Soul
03.WATERS
04.Orphans
05.Nemesis
06.Fdf
07.健忘者たち
08.Poly Life Multi Soul

★Suchmosのセットリストは『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』全公演終了後に公開いたします。

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■ツアー情報

『Suchmos BAY SIDE TOUR 2027』

[2027年]
03/13(土)宮城・ゼビオアリーナ仙台
03/14(日)宮城・ゼビオアリーナ仙台
04/16(金)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/17(土)福岡・マリンメッセ福岡B館
04/24(土)神奈川・Kアリーナ横浜
04/25(日)神奈川・Kアリーナ横浜
05/01(土)兵庫・GLION ARENA KOBE
05/02(日)兵庫・GLION ARENA KOBE

【チケット先行スケジュール】
オフィシャル二次(抽選)
受付期間:2026年6月1日(月)18:00~6月30日(火)23:59
オフィシャル三次(抽選)
受付期間:2026年7月1日(水)18:00~7月13日(月)23:59

※お一人様4枚まで購入可能。
※小学生以上有料/未就学児童無料(保護者同伴の場合に限る)、大人1名につき子供1名まで膝上可。但し座席が必要な場合はチケット必要。

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『Suchmos The Blow Your Mind TOUR 2026』

05/14(木)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/15(金)神奈川・KT Zepp Yokohama ゲスト:IO
05/20(水)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/21(木)愛知・Zepp Nagoya ゲスト:GLIM SPANKY
05/26(火)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/27(水)大阪・Zepp Osaka Bayside ゲスト:くるり
05/29(金)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
05/30(土)福岡・Zepp Fukuoka ゲスト:長岡亮介
06/04(木)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/05(金)北海道・Zepp Sapporo ゲスト:cero
06/13(土)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/14(日)宮城・SENDAI GIGS ゲスト:ハナレグミ
06/20(土)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/21(日)広島・BLUE LIVE HIROSHIMA ゲスト:GRAPEVINE
06/25(木)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
06/26(金)新潟・LOTS ゲスト:The Birthday
07/01(水)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze
07/02(木)東京・Zepp Haneda ゲスト:Fujii Kaze