日本代表のトレーニングパートナーを務めるU-19日本代表の山口智監督が15日、非公開で行われた日本代表との練習試合後に取材に応じた。北中米ワールドカップに帯同するU-19日本代表はこの日、日本代表と2度目の対戦。FW小川航基とFW町野修斗に得点を許し、0-2で敗れたが、山口監督は「こういう経験はできないと思う。U-19の選手たちは肌で感じられていると思うし、すごく緊張感のある中でやらせていただいている」と、世界最高峰の舞台に身を置く意義を強調した。

 今大会でU-19日本代表は、日本代表のトレーニングパートナーとして活動。対戦国の特徴を踏まえながらも、単なる“仮想チーム”ではなく、自分たちの成長も追い求めている。

 山口監督は「何でも要求してもらいたいし、いつ呼ばれても、どんな状況を求められても対応できるように準備するだけ」とサポート役としての姿勢を説明。その一方で、この日の選手たちについては「自分たちのやってきたものを出そうというところと、学ぼうというところ、レベルの高い選手とできる嬉しさがあった」と成長への意欲を感じ取ったという。

 実際にA代表との対戦を重ねるなかで、世界との距離も実感した。「タイミングと技術そのものの差もあるけど、自分の間合いや見ているものが全然違う。プレーの引き出しの多さと、その優先順位の高さには差がある」と分析。「何をしてしまったらどうなるのか。スピードや判断の部分は学ばないといけない」と課題を口にした。

 一方で、U-19日本代表にとって今回の帯同は練習試合のためだけではない。14日のグループリーグ初戦・オランダ戦(△2-2)もスタンドから観戦し、世界最高峰を体感。山口監督自身もW杯を現地観戦するのは初めてだったという。

「昨日はいちファンでした(笑)。選手たちにも、その日はサポーターの一人として全力で応援して楽しもうと言っていた」。そう振り返る指揮官は「最高でした」と笑顔。「空間の高揚感や興奮があったし、サッカーのいいところを感じられた」とW杯ならではの熱気を味わった。

 U-19の選手たちにとっても貴重な経験になっているようだ。「ここに来ているだけで、あの空間を肌で感じられている。僕が意識を上げようと言うより、自分たちで感じて上がっていく方が早い。本当にかけがえのない時間を過ごしているんじゃないかな」と語った。

 今回の活動には、山口監督にとって特別な再会もあった。湘南ベルマーレ時代に指導したDF鈴木淳之介(コペンハーゲン)と町野(ボルシアMG)がW杯メンバーとして日本代表に名を連ねているからだ。

「個人的には特別なものがある」。そう教え子への率直な思いを口にした山口監督は、「2人とも笑顔で。覚えてくれていたみたいでよかったかな」と冗談交じりに報道陣の笑いを誘った。

 自身の教え子がW杯の舞台に立ち、さらに世代別代表の選手たちがその背中を追いかけている。指揮官冥利に尽きる景色を見ながら、山口監督は「僕らのできることは少ないとは思うけど、そういうところ(W杯)につながるといい。それをジュンやマチが教えてくれている。すごく感謝しているし、自分自身ももっと勉強していかないといけない」と思いを述べる。W杯を間近で経験する日々は、若き選手たちだけでなく、指揮官自身にとっても大きな学びとなっているようだ。

(取材・文 石川祐介)