『サバ缶、宇宙へ行く』©︎フジテレビ

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 6月15日に放送された『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ系)はドラマ終盤の重要局面へと突入する第10話。探究学習発表会での瑠夏(伊東蒼)たち4期生の言葉を受けて、宇宙サバ缶プロジェクトを引き継ぐことを決めた藤倉(池端杏慈)たち“5期生”の物語が展開する。菅原(出口夏希)たちから始まったプロジェクトのバトンが、13年(保存検査の期間を含めれば14年ということになるだろうか)という歳月を経て、ついに最終走者へと渡ることとなったのだ。

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 4期生たちが完成させたサバ缶が認証を得られなかった理由でもある、長期保存によって旨みが落ちてしまう課題、サバの身への味の染み具合。それに加えて、スプーンで食べることができる柔らかさにしてほしいというJAXA側から出された新たな課題にも向き合っていく藤倉たち4人。“黒ノート”を参考にしたり、漁師たち地元の人々から意見をもらったり。ところがその矢先、このプロジェクトが“先輩たちの夢”なのか“自分たちの夢”なのかという考えかたのすれ違いをきっかけに、4人のなかで小さな対立が生じてしまう。

 前回のエピソードでは、かつて夢に破れた経験のある藤倉の姿を通し、“夢”とはどんなものなのか――いずれ裏切ったり消えてしまうのか、それとも自分自身を変えてくれるのか――といった漠然とした問いが掲げられ、菅原が自身の経験を通して語る一幕が描かれていた。対して今回は、そこから一歩具体性を帯びた問いが、物語の中心で揺れつづける。先輩たちから代々受け継いできた夢、誰かに託されたこの夢は、いったい誰のものなのか、という問いである。

 これには劇中で2人の大人が明確なアンサーを提示している。ひとりはもちろん朝野(北村匠海)だ。1期生たちが卒業間際に始めた、小浜の海を綺麗にするというマーメイドプロジェクトに5期生たちを参加させ、夢は“育てていく”ものであることを身をもって実感させる。「先輩たちだけの夢でもないし、自分たちの夢でもない。みんなで育ててきたみんなの夢」であると。また、終盤に登場する宇宙飛行士の奥山(萩原利久)は「最初に夢を持った人たちがいて、その夢に動かされた人たちがいて、君たちがいる」と、夢は“繋げていくことができる”ものと説く。

 育てること、繋げることはまた違うものではあるが、この一連の宇宙サバ缶プロジェクトにおいて、この2つのアンサーはしっかりと一本の線で結びついたものである。事実上のスタートラインともいえる朝野が、代々の生徒たちを見守り支え、育てていったこと。それがあったからJAXAの木島(神木隆之介)にも夢が波及し、そこから奥山という現役の宇宙飛行士にたどり着いたこと。宇宙サバ缶の完成自体は、これまでにも何度かあったように、“育てる”ことのゴールといえるかもしれない。しかし今回、認証を得られたことで、“繋がる”の先にしかない宇宙というゴールがやっと見えてきたわけだ。

 余談ではあるが、5期生たちが柔らかさを追求する上で見つけ出した“神経締め”という方法は、モデルとなった実話では科学的な裏付けが取れないことや手間がかかることなどを理由に別の方法が選ばれたもの。それはさておき、ゴールが見えたとなれば、あとはそこにたどり着くのみ。このドラマのゴールは、「鯖街道を宇宙まで繋げること」に他ならない。最終話では歴代の生徒たちが一堂に会し、その瞬間を見届ける理想的な大団円が待ち受けていることだろう。

(文=久保田和馬)