「このままでは愛子天皇への道は完全に閉ざされる」皇室典範めぐる目下の議論は、なぜ“天皇の長女”を頑なに拒んでいるのか?〉から続く

「時代が変われば、国民の意識も変わります。『国民統合の象徴』なのだから、天皇の在り方が変わるのは当然のことです。愛子天皇を望む声が多く、ご本人もそれを受け入れるのなら、それでいいじゃないですか」

【初写真】愛子さまは喪服姿で堂々と…ブラックのイヤリング&ネックレスをお召しに

 そう語るのは、ジャーナリストの江川紹子氏(67)だ。


江川紹子

 ◆◆◆

なぜ「男系男子」が大前提なのか

 私は特に皇室の専門家ではありませんが、かつて『週刊文春』を含むメディアに結構たたかれていた頃から、個人的にはずっと“愛子派”でした。愛子さま自身は天皇になるべく育てられたわけではないでしょうが、両陛下の思いを継いで、次世代として戦争の記憶を紡ぎ、被災地に寄り添っていこうとされる姿には確かな資質を感じます。

 そこで女性天皇を容認する声が世論の8〜9割にも達しているにもかかわらず、自民党を中心とした保守派が「男系男子」を大前提として皇室典範改正の議論を進める現状には疑問があります。男系男子の数を増やすため、民間人である旧皇族の方に養子になって皇族に復帰していただく案も浮上していますね。

「愛子天皇」への納得感は高い

 そうした考えの方々はDNAにこだわっているのかもしれませんが、DNAだけで天皇になるわけではありません。生まれ持った資質に加え、教育や環境が天皇を作るのでしょう。それに、現代の天皇制はある種、みんなの納得の中でできているものだと思います。人の気は変わりやすいので、かつてのバッシングを思い起こすと、今の愛子さま褒めの世論もいつ手のひらを返すか分からない、という不安がないわけではないですが、誠実に務めを果たされている姿に、次世代の皇室を担う存在として納得感を深めている人々は増えていると言えるんじゃないでしょうか。あと、ご本人の意思も大事で、国民が自分たちの思いを押しつけてはいけない。ただ、その両方が合致した時、「愛子天皇」を否定する理由はないと思います。

 それより、仮に全く違う教育を受け、自由な環境で生きてきた人をいきなり引っ張ってきて皇族にしても、本人も大変でしょうし、国民がそれで納得するのでしょうか。

悠仁さまにも酷ではないか

 さらに言えば、男系男子に固執することは、次世代で唯一の皇位継承権を持つ悠仁さまに対しても非常に酷なことでしょう。たった1人で「早く結婚しろ、いい女と結婚しろ、子供を作れ」と言われることがどんなにプレッシャーになるかはかり知れません。今はまだ大学生ですが、年齢を重ねれば、誰が未来の皇后にふさわしいかと大騒ぎになるでしょう。子供が持てない事情を持つ人もいるわけですが、もしそうであった場合、人間として否定されることになってしまうのですから、こんな非情な話はありません。男系男子論者は悠仁さまや未来のお妃にも酷いことをしているということを少し自覚したらどうですか。

女性だからできないということはない

 天皇は「主権の存する日本国民の総意に基く」存在と憲法で定められています。主権者である日本国民の多くが愛子天皇を望んでいるとすれば、それを総意と受け止め、女性天皇を認めるべきでしょう。女性であったとしても憲法上は全く問題ありませんし、憲法で規定している国事行為も、女性だからできないということはありません。

 世論調査でも、女性天皇容認が圧倒的多数です。にもかかわらず、男系男子でなければダメだと言っている人たちは、まるで国民の総意に基づかなくたっていいと言っているようなものです。だから男系男子派は憲法違反じゃないですか、とすら思うのです。皇室典範より憲法の方が上ですから、国民の総意に基づかない皇室典範改正なんてしてはいけませんよ。

 政府は「静謐な議論」などと言っていますが、自分たちが男系男子しかダメだと言って変わるつもりがないのなら、議論になんかなりません。皇族の方々の人間性や人生を無視せず、何より憲法を読み直して議論をしてほしいです。

「週刊文春 電子版」では、旧宮家の生活実態や本人たちを連続直撃した【「愛子天皇」大論争に新展開】旧宮家・男系男子の衝撃告白「女系天皇でいい」など続報を配信中。また、女性・女系天皇の賛否についての25000人アンケートの結果や「愛子天皇」をなぜ高市首相は拒絶するのか《宮内庁長官を直撃》など「愛子天皇」論争について詳しく報じている。

〈「男系男子のみが天皇になれる伝統」は存在するのか? イギリス王室の専門家が“女性宮家の創設”に断固として賛成するワケ〉へ続く

(江川 紹子/週刊文春 2026年5月7日・14日号)