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動的能力の領域を拡大した1つ上の仕様

アストン マーティンが推し進める事業プランは、2024年に現CEOのエイドリアン・ホールマーク氏が立案したもの。少ない投資で多くの成果を得るべく、既存モデルの付加価値向上や、ヴィクターやヴァラーなど、超希少モデルの提供が重要視されている。

【画像】20ps増しV8ツインターボ アストン マーティン DB12 S 珠玉の上級グランドツアラーたち 全173枚

その方針の中で誕生しているのが、DBX Sやヴァンテージ S、DB12 Sといった、「S」シリーズといえる。同社は1953年のDB3 S以降、しばしばこのアルファベットを用いてきたが、近年ほど広範囲に展開された過去はなかった。


アストンマーティン DB12 S クーペ(欧州仕様)

2000年代初頭の初代ヴァンキッシュでは、フェイスリフト版としてSが投入されているが、現在は違う。動的能力の領域を拡大した、1つ上のお高い仕様。通常のDB12も、並行して販売は続く。

アストン マーティンの関係者は、ベースグレードの味付けを見直す可能性も示唆している。果たして、Sが得た新たな魅力を探ってみよう。

700psのV8ツインターボに専用シャシー

エンジンは、メルセデスAMG由来の4.0L V8ツインターボで、トルクカーブが調整され、最高出力は20ps増しの700ps。リアアクスル側へ配置される、8速ATも改良を受け、トルクベクタリング機能付きの電子制御リミテッドスリップ・デフも組まれる。

サスペンションは、ビルシュタイン社製DTXアダプティブダンパーが再調整。低速域ではストロークを増やしつつ、高速域では引き締まった姿勢制御を叶え、操縦性を磨いたと主張される。リア側には、高剛性なスタビライザーも得ている。


アストンマーティン DB12 S クーペ(欧州仕様)

ネガティブキャンバーが強められ、旋回時にはフロントタイヤが従来以上に路面を掴み、敏捷性を向上。リアタイヤの設置性も高められた。ステアリングは、切り始めの精度を磨き、感触を改善したとのこと。ブレーキは、カーボンディスクが標準だ。

ボディ周りでは、フロントスポイラーやサイドスカートが新しく、ボンネットにはルーバーを追加。控えめだが、テールスポイラーも備わる。果たして、車重は38kg軽くなり1820kg。チタン製エグゾーストを組めば、限りなく1800kgへ近づけられる。

アップル・カープレイ「ウルトラ」を実装

インテリアの変更点は、さほど多くない。最大のトピックといえるのは、タッチモニターとメーターモニターを統合する、アップル・カープレイ・ウルトラが実装されたこと。他メーカーに先駆けて、新次元のミラーリング技術を利用できるようになった。

これは、単にスマートフォンとの連携だけでなく、インターネット接続が高度化され、クルマ自体のインターフェイスとしても動作するのが特徴。運転支援システムやエアコンの操作も、カープレイ・ウルトラ上で行える。


アストンマーティン DB12 S クーペ(欧州仕様)

既にDBXやヴァンキッシュから採用は始まっているが、2026年末には、すべてのアストン マーティンに展開される見込み。グラフィックの独自性は弱まったものの、従来のシステムより遥かに操作しやすいと感じるだろう。

エレガントかつスポーティな車内

車内の雰囲気は、「S」のロゴで飾られつつ派手さを抑えた彩りで、エレガントかつスポーティ。DB12 Sでは、ブリッジ・オブ・ウィアー・レザーに新しい色の組み合わせが、3種類追加されている。レザーは巧妙に凹凸加工され、特別感を醸し出す。

コンフォートシートは廃盤となり、DB12では共通してスポーツシートが標準となった。薄めのクッションは硬く、もう少し快適性を高めても良いように思うが。


アストンマーティン DB12 S クーペ(欧州仕様)

ダッシュボードから続くセンターコンソールには、カーボンが露出。車載機能の操作性を高めるべく、物理スイッチが複数並ぶ。ドアハンドルなど、細部も美しい。

荷室容量は262Lで、通常のDB12と同値。同クラスのグランドツアラーでは狭い側にあり、開口部も大きくはなく、重たいスーツケースなどは載せにくい。専ら子ども用のリアシートは、買い物の荷物やゴルフバックを置くのに丁度いい。

この続きは、アストン マーティン DB12 S(2)にて。