剛腕は目覚めたか 7回8奪三振1失点の佐々木朗希の変化とは?近鉄OB佐野慈紀氏の考察「ストライクゾーンの中で勝負することができた」“悪癖”改善も評価

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佐々木はしっかりと試合を作った(C)Getty Images

 野球評論家の佐野慈紀氏が現在の野球界を独自の視点で考察する「シゲキ的球論」。今回はメジャー最長の7回8奪三振の好投を見せたドジャース・佐々木朗希をクローズアップする。

【動画】佐々木朗希、メジャー自己最長7回を投げ切り笑顔のシーン

 佐々木の安定したピッチングが注目を集めている。現地5月17日に行われたエンゼルス戦に先発、7回4安打1失点で2勝目をマーク。メジャーで自己最多となる8奪三振、7回のマウンドに上がったのも自己最長、無四死球も先発として初めてのこととなった。

 160キロ超えのフォーシームとフォークのコンビネーションが従来の形だったが、この日はフォーシームの平均球速は約155キロ前後と抑えられながらスプリット、フォーク、スライダーと課題の変化球を多く交え、バッテリーを組んだダルトン・ラッシングの要求通りにゾーンに投げ込む姿が見られた。

 圧巻投球には佐野氏も「全体的に非常にバランスが良かった」と高く評価。
 
 具体的な改善点としてはこれまで佐野氏が懸念してきた投球フォームの中で足を高く上げた際、一瞬力を抜きすぎて体がブレてしまう癖だった。

 「力を抜きすぎて体がブレると手の位置が頭から離れスライダーやフォークが抜けてしまう」としながら、「この試合ではそれがほとんど見られなかった」とメカニックの修正が好結果に直結したと分析してみせた。

 さらにメンタル面での自覚も影響したと推測する。「スネルやグラスノーといった先発の柱が離脱している状況で自分がしっかりしないといけないとより強く思ったのではないか」とコメント。

 チームの先発陣ではタイラー・グラスノ―、左腕のブレーク・スネルも1軍合流直後に再びIL入りを発表。先発ローテーションの運用が注目され、山本由伸、大谷翔平と日本人投手のパフォーマンスにより期待が高まる中、チームのピンチが、若き右腕の責任感を引き出したと見る。

 一方でこの日のピッチングに関しても「劇的な変化を求められているわけではない。ストライクゾーンの中で勝負する形がこの試合ではできた」と与えられた課題をしっかりこなせたことが結果につながっているとした。

 引き続きの快投を期待したいところだ。

【さの・しげき】

1968年4月30日生まれ。愛媛県出身。1991年に近鉄バファローズ(当時)に入団。卓越したコントロールを武器に中継ぎ投手の筆頭格として活躍。中継ぎ投手としては初の1億円プレーヤーとなる。近年は糖尿病の影響により右腕を切断。著書「右腕を失った野球人」では様々な思いをつづっている。