美容院で、白髪が染まりきらず→指摘すると、美容師がイライラ 「カスハラで訴えますよ」と言われて……私が悪いのでしょうか?【弁護士が解説】
都内に住むAさんは、休日に美容院を予約していました。メニューは、カットと白髪染めを含むカラー。予約サイトには、目安時間として2時間半と表示されていました。
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ところが当日、施術は約1時間で終了したのです。早く終わること自体は問題ではないのですが、仕上がりに不安を感じたAさんは、鏡に映った自分の姿を何度か確認します。すると気になる点が見つかり、手直しをお願いすることになりました。
その際、「時間が思ったよりかなり短かったこと」「施術がやや雑に感じたこと」をやんわり伝えたところ、美容師からは「時間は目安です」と言われました。時間については納得したものの、仕上がりについては何も回答がなかったため、より不信感を抱いたAさんは、さらに髪の仕上がりの確認を続けます。
すると、イライラした様子で美容師は「クレーマーであれば、今後は入店をお断りさせていただきます。また、カスハラとして訴えることも検討する場合もあります」と言いはじめました。仕上がりを確認し、手直しをお願いしただけのつもりが、なぜハラスメント問題に発展してしまったのでしょうか。弁護士の齊田貴士さんに聞きました。
クレーマーにならないための心構えとは
ー 美容院で施術内容や仕上がりを確認し、手直しを求めることは正当な行為といえますか?
正当な行為といえます。施術直後に仕上がりを確認して気になる点を伝え、修正をお願いするのは自然な流れです。美容業の苦情対応の手引きでも、お店側はお客さんからの苦情を貴重な情報源として受け止め、説明・謝罪・アフターフォローなどの対応をすべきとされています。落ち着いた言葉で仕上がりで気になるところを具体的に伝えて手直しをお願いしましょう。「確認するのは申し訳ないかな」と遠慮する必要はありません。気になることはその場で伝えるのが、お互いにとって良い選択です。
ー 店側が「クレーマー」「カスハラ」と判断できる基準はどこにありますか?
厚生労働省によると、カスタマーハラスメントかどうかの判断は大きく2段階あるとしています。一つ目は、要求の内容が常識的かどうか、二つ目は伝え方が度を越えていないかどうかです。大声で怒鳴りつける、長時間居座っている、土下座を迫るといった行為が典型的なカスハラに該当します。
仕上がりの確認や合理的な手直しの依頼は、正当な範囲とみるのが基本です。何度か確認しただけでクレーマーと認定するのは、公的な基準からみても無理があるといえるでしょう。
ー トラブルを避けるため、客側はどのような伝え方や対応を心がけるべきでしょうか?
大切なのは、具体的な事実と希望する対応をわけて伝えることです。「雑に感じました」より、「この部分の白髪が染まりきっていないので、確認してもらえますか?」のほうがお店側も動きやすくなります。
要望があれば、施術前にできるだけ詳細に伝えていただくとともに、施術中も気になったことがあれば、前述のように、具体的な事実と希望する対応をわけて伝えていただいたほうがいいと思います。
感情的になったり、長々と詰め寄ったりするのはできるだけ我慢して、必要なら店員さんではなく、責任者に対応をお願いしましょう。
あとは、もしトラブルになりそうな場合、やり取りの内容のメモや気になる箇所を写真で残しておくなど、証拠を残しておくのもポイントです。
◆齊田 貴士(さいだ・たかし) 弁護士
神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
